前回は、当選人数(定数)の視点から、現実の選挙における選挙制度を整理してみました。では、AKB総選挙はこうした選挙制度の視点で見ると、どのような制度であったといえるのでしょうか。
以前、AKB総選挙における「当落」に触れた際は、「アンダーガールズ(定数=40)」を1つの基準としていましたが、もう少し詳しく見てみると、AKB総選挙は投票結果によって、「選抜メンバー」(1位~12位)、「メディア選抜」(13位~21位)、「アンダーガールズ」(22位~40位)を決める選挙でした。つまり、「選抜メンバー(定数=12)」、「メディア選抜(定数=21)」、「アンダーガールズ(定数=40)」という3つの大選挙区制の選挙であるといえるのです。
※なお、衆議院では現在、「小選挙区比例代表並立制」が採用されていますが、かつては、1つの選挙区から3~5人を選ぶ「中選挙区制」が採用されていました。AKB総選挙において定数が相対的に少ない「選抜メンバー」の選挙(定数=12)を中選挙区制としても位置付けても良いかもしれませんが、中選挙区制の定義(定数3~5人)からは大きく外れてしまうので、ここでは大選挙区制として扱うことにします。
ところで、定数が複数の選挙では、候補者の最終的な目標が異なる場合があるというところに特徴があります。候補者にとって最も大きな目標は議員になることですから、定数が複数の場合は当選人数の圏内に入ることが1つの大きな目標となり、必ずしも1位になる必要はないということです。
つまり、議員になることが目標である以上、例えば、定数が5の選挙であれば5位でも議員にはなれるのです。もちろん、多くの支持者を集めることも1つの重要な要素ですし、当選後の影響力等を考慮すれば、なるべく上位での当選という目標もあるでしょう。そうした意味では当選はもちろんのこと、トップ当選を目指す候補者もいるでしょう。しかし、選挙に落選してしまっては意味がありませんから(ただの人ですから)、やはり、何位であっても当選人数の圏内に入り、当選することは大きな意味を持ってきます。
また、実際の選挙では、新人よりも現職や元職が有利だといわれています。そう考えると、現職の議員を打ち破って何が何でも1位で当選しようと全ての新人候補者が考えているとは思えませんし、中堅の現職議員であっても1位での当選が現実的に難しいのであれば、先ずは「当選」ための選挙運動の戦略が展開されることとなるでしょう。
さて、AKB総選挙ではどうでしょうか。各メンバーにとって、選挙の結果、「選抜メンバー」、「メディア選抜」、「アンダーガールズ」の、どのカテゴリに入ることができるのかということは大きな問題となります。各カテゴリの定数は複数ですから、何れかのカテゴリに入るという目標があるとすれば、それは必ずしも1位でなくても構わないでしょうし、更に言えば、まさに1位である「センター争い」に、必ずしも参加しない(する意図のない)候補者がいるのも当然ということになってくるのです。
ちなみに、AKB総選挙が持つもう一つの大きな側面である「センター争い」が出てきましたね。これについては次回触れてみたいと思います。