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政治学から見るAKB総選挙

政治学から見るとAKB選抜総選挙は興味深い要素が盛りだくさん。
それらの解説を通して、政治学も学んでもらおうというブログです。

 前回は、大選挙区制の側面からAKB総選挙を見てみました。ただ、皆さんお気づきの通り、AKB総選挙にはもう一つ別の側面があります。そう、センターを決める選挙としての側面です。そもそも、この「センター決める」という側面は、AKB総選挙において大きな意味があり、選挙の最も重要な目的の1つといっても良いかもしれません。では、センター決めの選挙は、選挙制度の視点からはどのように解釈できるでしょうか。

センターに立てるのは、投票の結果1位となった候補者(メンバー)です。そうした意味では、定数は「1」ですから、「小選挙区制」の選挙であるといえます。ちなみに、現実の選挙において小選挙区制では2大政党制に収斂するといわれています。これには様々な要因があるのですが、今回の選挙結果を見れば、1位:前田敦子(139,892票)、2位:大島優子(122,843票)、3位:柏木由紀(74,252票)であったように、2位と3位との間には大きな票差が生まれています。これは、今回の選挙に限らず、前回(第2回総選挙)では1位:大島優子(31,448票)、2位:前田敦子(30,851票)、3位:篠田麻里子(23,139票)ですから、ますます2大政党化しているのかもしれません。こうした各得票の推移等については何れ触れてみたいと思います。

こうして見てくると、AKB総選挙は小選挙区制と大選挙区制との2つの制度が混在している選挙であったといえます。つまり、AKB総選挙はセンター1人を選出するという小選挙区制としての側面と、複数のカテゴリのメンバー(選抜メンバー12人、メディア選抜21人、アンダーガールズ40人)を選ぶ大選挙区制としての側面があり、1つの選挙の中に小選挙区制と大選挙区制とが混在していると考えることができるでしょう。

前回は、当選人数(定数)の視点から、現実の選挙における選挙制度を整理してみました。では、AKB総選挙はこうした選挙制度の視点で見ると、どのような制度であったといえるのでしょうか。 


以前、AKB総選挙における「当落」に触れた際は、「アンダーガールズ(定数=40)」を1つの基準としていましたが、もう少し詳しく見てみると、AKB総選挙は投票結果によって、「選抜メンバー」(1位~12位)、「メディア選抜」(13位~21位)、「アンダーガールズ」(22位~40位)を決める選挙でした。つまり、「選抜メンバー(定数=12)」、「メディア選抜(定数=21)」、「アンダーガールズ(定数=40)」という3つの大選挙区制の選挙であるといえるのです。


※なお、衆議院では現在、「小選挙区比例代表並立制」が採用されていますが、かつては、1つの選挙区から35人を選ぶ「中選挙区制」が採用されていました。AKB総選挙において定数が相対的に少ない「選抜メンバー」の選挙(定数=12)を中選挙区制としても位置付けても良いかもしれませんが、中選挙区制の定義(定数35人)からは大きく外れてしまうので、ここでは大選挙区制として扱うことにします。


ところで、定数が複数の選挙では、候補者の最終的な目標が異なる場合があるというところに特徴があります。候補者にとって最も大きな目標は議員になることですから、定数が複数の場合は当選人数の圏内に入ることが1つの大きな目標となり、必ずしも1位になる必要はないということです。

つまり、議員になることが目標である以上、例えば、定数が5の選挙であれば5位でも議員にはなれるのです。もちろん、多くの支持者を集めることも1つの重要な要素ですし、当選後の影響力等を考慮すれば、なるべく上位での当選という目標もあるでしょう。そうした意味では当選はもちろんのこと、トップ当選を目指す候補者もいるでしょう。しかし、選挙に落選してしまっては意味がありませんから(ただの人ですから)、やはり、何位であっても当選人数の圏内に入り、当選することは大きな意味を持ってきます。


また、実際の選挙では、新人よりも現職や元職が有利だといわれています。そう考えると、現職の議員を打ち破って何が何でも1位で当選しようと全ての新人候補者が考えているとは思えませんし、中堅の現職議員であっても1位での当選が現実的に難しいのであれば、先ずは「当選」ための選挙運動の戦略が展開されることとなるでしょう。


さて、AKB総選挙ではどうでしょうか。各メンバーにとって、選挙の結果、「選抜メンバー」、「メディア選抜」、「アンダーガールズ」の、どのカテゴリに入ることができるのかということは大きな問題となります。各カテゴリの定数は複数ですから、何れかのカテゴリに入るという目標があるとすれば、それは必ずしも1位でなくても構わないでしょうし、更に言えば、まさに1位である「センター争い」に、必ずしも参加しない(する意図のない)候補者がいるのも当然ということになってくるのです。


 ちなみに、AKB総選挙が持つもう一つの大きな側面である「センター争い」が出てきましたね。これについては次回触れてみたいと思います。









 選挙といえば、通常どの様な選挙であれ、「投票所まで足を運び」、「投票用紙を受け取って」、「当選させたい候補者の氏名を記載し」、「投票箱に投票する」という一連の流れは共通のシステムとなっています。しかし、選挙といっても様々な制度があり、事実、日本の選挙においても複数の選挙制度が存在しています。


 選挙制度の分類には様々な視点があるのですが、ここでは当選する人数(=定数)という視点に着目してみたいと思います。そうした視点で選挙制度を整理してみると、主に次のように分類が知られています。


1)大選挙区制:当選人数が複数
2)中選挙区制:当選人数が複数(3~5人)
3)小選挙区制:当選人数が1人


 一般に当選人数が複数人の場合は、「大選挙区制」と呼ばれていますが、これは参院選の選挙区選挙や、県議会選挙、市議会選挙を思い浮かべてみると分かりやすいでしょう。大選挙区制では、選挙での投票の結果、獲得票数が多い順に定数の数(選挙によって、また、選挙区によって定数は異なります)だけ議員が選出されます。なお、この大選挙区制のうち、特に、定数が3~5人のものを、「中選挙区制」と呼んでいます。これは、かつて衆院選で採用されていた制度ですが、日本特有の選挙制度であったといわれています。また、衆議院や参議院で採用されている比例代表制も、当選人数(定数)が複数という点では大選挙区制といえるでしょう。

 

 このような大選挙区制に対して、定数が1、つまり、当選する人数がその選挙区から1人だけの場合は「小選挙区制」と呼ばれています。選挙での投票の結果、最も多くの票を獲得した1人が当選するという制度です。これは、現在の衆院選の小選挙区選挙や、都道府県知事などの首長選を思い浮かべてみると分かりやすいでしょう。

 

 さて、AKB総選挙は、こうした選挙制度の分類から見ると、どの制度であるといえるのでしょうか。次回は、AKB総選挙に当てはめてみたいと思います。