「基本の考えは、みんなを喜ばせたい、ビックリさせたい、飽きさせない。」
2015年放送の「SONGS」のインタビューでそう語った明菜が、どのようにファンを飽きさせなかったのか。
今回は1994年の『パルコ劇場ライブ』以降の主なLIVEの構成や演出から考えてみます。
明菜が、デビュー前に観た武道館でのコンサートでアーティストが豆粒ぐらいにしか見えなくてつまらなかった経験から大きな会場でのLIVEを好まないことはファンにはよく知られていますが、実際CM絡みの招待ライブ以外では『夢ライブ』の幕張メッセ(キャパ7860)が最大で、あとはキャパ5000クラス以下の会場でLIVEを行ってきました。
そしてこの頃から自身の希望する規模のLIVEやDSが実現していきます。
歌姫 パルコ劇場ライブ(1994)
明菜の''観客一人一人の顔が見える会場でLIVEがしたい''という念願が叶ったLIVEが、パルコ劇場(キャパ458)で5日に亘って行われた。
当然チケット争奪戦となり、パンフレットも早々に売り切れに。
煙草を吸うシーンから始まり、抑えた照明、ピアノと弦楽中心のバラード、しゃがみ込んで歌う「私は風」。
舞台向けの劇場なこともあって、「私は風」で終幕でもよかったかもと思うぐらい舞台劇を観ているような、表現者としての明菜の真骨頂とも言えるLIVE。
中森明菜 TRUE LIVE(1995)
直前に発売されたセルフカバーアルバム『true album akina 95 best』に、その前にリリースされたオリジナルアルバム『la alteración』の曲を組み込んだLIVE。
『true album akina 95 best』と同様、"WILD" "WORLD" "WHISPER"の3部構成になっており、冒頭の3曲は「MAGIC」との共演でロカビリーアレンジで聴かせた。
神戸と横浜で計3公演の貴重なLIVEだったため、パンフレットには高値が付いている。
Felicidad(1997)
9年ぶりの全国ツアーとなった、アルバム『SHAKER』を引っ提げたLIVE。
第1部 バラード集 ~ 第2部『SHAKER』より ~ 第3部 メドレー ~ アンコール「駅」「難破船」
盛り上がる曲ではなくしっとりとした曲を選択したアンコールが涙を誘う。
SPOON(1998)
アルバム『SPOON』を引っ提げたLIVE。
『SPOON』の曲の他に14曲のB面メドレーが組み込まれており、さらにアンコールではあの「帰省 〜Never Forget〜」の熱唱とファン歓喜のセットリストになっているが、残念ながら映像化されておらず、それを望む声は多い。
中森明菜 2000 ~21世紀への旅立ち~(2000)
全国11都市で15公演行われたLIVE。
映像化された東京公演は、今は無き青山劇場(キャパ1200)で4日間行われたが、舞台装置、特に照明システムに優れた劇場ということで引きの映像の照明がとても美しい。
タイトルに''雨''がつく曲コーナーなどもあり、全体的には生演奏による落ち着いたアレンジの大人のLIVEとなっている。
ALL ABOUT AKINA 20th Anniversary IT'S BRAND NEW DAY(2001)
翌年に続くデビュー20周年を記念したLIVE第一弾。
ワーナー時代のシングルが18曲とライトファンにも楽しめるセットリストになっている。
「❝飽きさせない❞ ② -LIVE構成・演出 後編-」に続きます。