「悲しい酒」と「難破船」 | 中森明菜三昧/はとこばのブログ

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美空ひばりさんと言えば、様々なジャンルの曲を歌いこなし、ピッチの安定した確かな歌唱力を持ち、歌謡史を振り返る番組で必ず特集を組まれる、いわゆる「歌謡界の女王」と呼ばれる大スターである。

私は世代では無いが、幼少期に母が、『美空ひばりは「悲しい酒」を歌うといつも涙を流すんだよ』と言っていて、それを確かめるように映像を見た事が心に残っていた。

 

だから、明菜が「難破船」を歌う時に涙ぐむ姿には、美空ひばりさんの「悲しい酒」を彷彿とさせるものを感じていたが、この視点で語られるのをあまり見たことがない。

 

2曲を比べてみる。

 

 

 

 

ひばりさんは150本を超える映画に出演してきたという実績を持ち合わせるだけあって、歌の主人公を女優のように演じているように見える(実際、小さい時の辛かった事を思い出して涙を流していると言っている)。

方や、明菜の場合は、自分が歌の主人公の気持ちに入り込んで(よく言われる憑依という言葉があてはまるのかはわからないが)自然と涙がこぼれているように見える。

プロなんだから当たり前とは言っても、何度同じ曲を歌おうとも、慣れる、飽きる、ということなく、常に真っ新な気持ちで歌と向き合いここまで表現出来る歌手はそうは居ない。

まさに一曲入魂。

 

昭和から平成にかけてトップに立ったと言われる女性歌手は、波瀾万丈な人生を送っている人が多い。群雄割拠の芸能界で頂点を極めるには失う物もある。

その中でも特にこの二人はそれが歌に昇華され、その見え隠れする人生に人々が魅了される歌手なのではないだろうか。

この2曲も、実際がどうかは別にして、プライベートと結びつけて聴いてしまう人が多いだろう。

 

奇しくも明菜はカバーアルバム『艶華』で「悲しい酒」を歌っている。

 

 

昔の人は貫禄があるので不思議な感じだが、明菜はひばりさんが亡くなった歳を超えている。

そして今も歌い続けている。