2024年5月にミシガン大学ソーシャルワーク修士を卒業し、現在アメリカでの就職を目指し活動しているKです。

本日はアメリカの就労ビザ(OPT)取得プロセスと注意点について書こうと思います。

 

■OPT(Optional Practical Training)とは?

アメリカの学生ビザを持つ外国人学生(F-1ビザ所持者)がアメリカ国内で自分の学業に関連する実務経験を積むことを許可する制度。期間は1年間(STEM分野であれば3年間)

 

■OPT取得プロセス(アメリカの大学院を卒業した私の場合)

①OPT申請前:

・自分の学校のアカデミックアドバイザーまたは大学院プログラムコーディネーターにOPT推薦状を依頼する(推薦状と書きましたが、大学が用意したフォームに記載してもらうだけの簡易的なものでした)

・学校のInternational OfficeにOPT I-20を申請、OPT申請用に新しいI-20を作成してもらう(この時点でOPT開始時期(就労開始時期)を自身で決める必要あり)

・学校からの推薦を受けたら、USCIS(アメリカ市民権・移民局)に申請書(フォームI-765)を提出。この申請書には、申請料と他の必要書類(新しいI-20、パスポートのコピー、I-94フォーム、パスポート形式の顔写真等)が含まれます。

・USCIS承認までは1か月~3か月程度、承認の連絡が来た後、2週間程度でEADカード(就労証明カード)が自宅に郵送されます

・上記の後は大学のルールに沿って、大学のInternational CenterにEADカードの写しの提出や雇用先組織の情報を提出します

 

OPT申請プロセス詳細(ミシガン大学Webサイト):

Applying for Optional Practical Training (F-1 Students) | International Center (umich.edu)

 

■タイムライン(2024年5月初旬卒業の私の場合)

・2024年3月中旬頃~:OPT申請前準備(学校からのOPT推薦状受領、OPT用のI-20作成、USCIS申請用の顔写真撮影)これはそんなに時間かからないです。急げば1週間~2週間程度で完了

・2024年3月30日:USCISへの申請完了

OPT開始日は卒業から約2か月後の2024年7月1日に設定しました。

私の場合は日本への一時帰国を考えていたこともあり、急いでいたのでPremium Processing(追加料金を払って優先的な処理を依頼)を利用しました。合計で$2,095かかりました(Premium Processing分は$1,500程度)

通常の申請の場合は、約$470のみがかかります。(最新情報はUSCISのWebサイトを参照してください)

・2024年4月12日:USCISからのApproval Notice(承認通知)をオンラインで受領

・2024年4月25日:郵便で米国の自宅にOPT承認の証明書類とEADカード(就労許可証)が到着

 

■注意点

・OPT開始日(=就労が開始できる日)の設定

これは自分で大学側に新しいI-20を申請する際に、プログラム修了の90日前から60日後までの好きな日を自分で決めることができます。私はゆっくり就活したかったので、一番遅いプログラム終了の60日後に設定しました。卒業前にすでに雇用先が決まっている場合は早く設定する必要があります(OPT開始日より前には働くことは不可、またOPT開始日が過ぎていても、USCISから郵送されるEADカードを受領するまで働くことはできません)

 

・OPT申請準備(大学側との調整)及びUSCISへの申請は早めに!!

私はいつから準備すべきか迷ったのですが、USCISへのOPT申請自体は自分の卒業日(I-20のプログラム終了日)の90日前から可能です。一番遅くても自分の卒業日(I-20のプログラム終了日)の60日後までに申請する必要があります。また大学側からOPT I-20が発行された日から30日以内にUSCISへの申請を完了する必要があるので注意です。

 

早めの申請をおすすめする理由は、USCIS申請後から承認まで早くても30日、遅いと90日以上!かかることがあるためです。個人的なおすすめはOPT開始日は最遅に設定(プログラム修了の60日後)し、申請自体は最短で済ます(プログラム修了の90日前に手続きを開始)することです。そうすることで私のように追加料金を払うことなく、OPT開始日までにEADカードを確実に受領することができます。友人の中には、すでにOPT開始日が過ぎていても、USCISからEADカードを受領できていないために、就労を開始できずに困っている(雇用先にも影響あり)子がいました。この友人はおそらくプログラム修了後にOPTを申請したために、USCISの処理に時間がかかり、承認及びEADカードの郵送に90日以上かかった結果、OPT開始日を超えてしまったのだと思います。

 

・郵送先住所の設定

もし3か月以内に引っ越す予定があるが引っ越し先が決まっていない等の場合、米国内の友人の住所を設定することをおすすめします。理由は申請開始~承認・EADカードの郵送まで下手すると3か月以上かかることがあるため、確実に3か月後であっても郵便物を受け取れる住所に設定することをおすすめします。

 

・OPT申請時は、F-1ステータスで米国内に物理的に存在する必要があり

これは大学のHPに記載されていたルールですが、私の友人の中には母国からオンライン申請して問題なかったという話も聞きました。確かに申請自体は全てオンラインで完結するのですが、リスキーなのでやめておいた方がいいかもしれません。おそらく問題が起きるのは申請時に書類等の不備があった場合、すぐに対応が必要だからかもしれません。ここはあまり詳しくないので、気になる場合は大学のInternational Officeに問い合わせてみてください。

 

・OPT承認後の日本への一時帰国について

私はOPT承認・EADカード受領後に日本に一時帰国(1か月程度滞在)、米国に戻りましたが、特に何の問題もありませんでした。米国に戻ってきた際、入国審査官にI-20の提示を求められた以外は何の書類(EADカードやJob offer)も求められず、何も聞かれませんでした。大学のInternational Officeに事前に相談した際は、必要な書類をそろえておけば再入国できないリスクは低いが、確約はできない(米国入国は入国審査官の裁量に依存するため)と言われました。またF1ビザの期限が切れていないことも重要とことです。


必要な書類については下記サイトを参照してほしいのですが、I-20やEADカード、Job offer(特に形式の指定はなし)の準備をすすめられました。私の場合、実は米国に戻ってきた時点でフルタイムの職を得ておらず、Job offerは大学のパートタイムでのアルバイト、NPOでのボランティア(NPOに頼んで一応書類にしてもらった)の2つを準備していましたが特に提示は求められていません。

 

日本帰国する必要がないのであれば、アメリカ国内にいるのが一番安全ですが、プログラム修了後に少し日本に帰国したい場合もあると思います。そのため私のおすすめは、OPT申請を早めに済ませ、EADカードを受領した後に日本に一時帰国することです。また帰国前に大学のインターナショナルセンターに相談することをおすすめします。(私の場合は再入国は保証できないと不安になることを言われただけでしたが笑)Job offerはOPTのルール上ボランティアや無給インターン、また複数の職(ただし週20時間以上働く必要あり)でも問題ないので、米国内でボランティア等の職を確保し、米国入国前にJob offerのような書類(一枚紙に私がボランティアとして働くことについて一筆書いてもらう)を準備しておくと安心かと思います。また日本帰国時にオンラインで米国就活するのも手だと思います。

 

OPT申請前後の旅行について(ミシガン大学HPより):

Travel during Post-Completion Optional Practical Training (OPT) | International Center (umich.edu)

 

・OPT申請”中”の日本への一時帰国について

こちらも上記のHPを参照してほしいのですが、申請後よりも申請時&申請”中”(承認・EADカード受領前)に国外に出るリスクは高いようです。コロンビア人の友人はOPT申請時もコロンビア、申請中(EADカード受領前)にコロンビアから米国に戻ってきたようですが、問題はなかったものの、帰国できるか分からずとてもストレスフルな経験だったとのことでした。こちらも大学側に相談することをおすすめしますが、一般的には推奨されていないようです。こちらも入国できるかどうかが入国審査官に依存することが理由かと思います。

 

実際のアメリカでの就職活動については、別途ブログに書こうと思います。