固定資産税の非課税制度とは

 

 まず、固定資産税の非課税は「課税をしてはいけない」という「課税禁止の制度」ですが、これには(1)「人的(所有者)非課税」と(2)「物的(用途)非課税」の2種類があります。

 

(1)「人的(所有者)非課税」

道路は通常、国道、県道、市町村道等のいわゆる公道ですので、これらの固定資産税では公道は「人的(所有者)非課税」になっています。

 

(2)物的(用途)非課税

「物的(用途)非課税」は、固定資産の性格又は用途による「非課税」で、地方税法には約70種類が限定列挙されています。

 

「公共の用に供する道路」私道とは

 

 そもそも、私道は個人の方の所有土地ですので、一般的には固定資産税の課税対象になりますが、その私道が「公共の用に供する道路」であれば、(2)の物的(用途)非課税になります。

 

<固定資産税の「私道」非課税>

※地方税法第348条2項5号

「2.固定資産税は、次に掲げる固定資産に対しては課することができない。ただし、固定資産を有料で借り受けた者がこれを次に掲げる固定資産として使用する場合には、当該固定資産の所有者に課することができる。

……………

5号 公共の用に供する道路、運河用地及び水道用地」

 

<私道の種類>

 では、「公共の用に供する道路」としての私道とは、どのような道路なのでしょうか。

 「公共の用に供する道路」の形態として、(1)「通り抜け私道」(2)「行止り私道」(3)「コの字型私道」(4)セットバック部分の私道があります。

 なお、(4)のセットバック部分は、道路法の道路又は(1)から(3)の私道と一体となって道路の効用を果たしている土地であることが必要です。

 

(1)通り抜け私道

 起終点が公道に接する幅員1.8m以上で不特定多数人の利用に供されているもの。

(2)行止り私道

 2以上の家屋の用に供されている4m以上で不特定多数人の利用に供されているもの。

(3)コの字型私道

 2以上の家屋の用に供されている4m以上で不特定多数人の利用に供されているもの。

(4)セットバック部分(私道)

 セットバック部分は建築基準法道路の拡幅(私道)部分。

 なお、「セットバック部分」の道路部分が分筆されていれば問題ありませんが、分筆されてない場合でも、地積測量図などの資料を添えて申請すれば、「公共の用に供する道路」として非課税を認めてもらえます。

 

「公共の用に供する道路」の必要要件

 

 私道が「公共の用に供する道路」として非課税となるためには、上記(1)~(4)のほかに次の①~⑤の要件が必要です。

① 登記上分筆され位置が特定されているもの

② 客観的に道路として認定できるもの

③ アパート、マンション、貸家、駐車場等における敷地内の道路でないもの

④ 建築敷地として含まれていないもの

⑤ 賃料、通行料を徴収していないもの

 

「公共の用に供する道路」は申告が必要

 

 そして、以上の私道を「公共の用に供する道路」として認めてもらうためには、市町村に申告をする必要があります。

多くの市町村では、税条例に「申告」が義務づけられていますが、仮に税条例に規定されていなくても「申告」が必要です。

 

 ※「申告」については、市町村のホームページで確認するか、窓口で相談してください。

 

(以上です)