第2の安室奈美恵の記事でも書いたが、

女性アイドルから本格歌手へ移行する事は非常に難しい。

 

本格歌手へ移行する為に必要な条件は、大きく2つ。

本人の意志事務所の能力である。

 

本人の意志は当然の必須事項だ。

歌手になる気が無ければ論外だが、本格的な歌手になりたいと思っていても、アイドルの延長で考えているようでは無理。アイドルの人気はそのまま移行できないので、最初からやり直す覚悟が必要だ。

それに、歌手活動する以上は10年でも20年でも続ける気持ちが必要だ。

グループ・アイドルの場合、メンバー全員が同じ覚悟で取り組むことは難しいので、多くの場合はアイドルを卒業してソロ歌手として再デビューになる。

 

もう一つは事務所の能力だ。

実は、これがかなり重要。

本格的な歌手が所属していない事務所は歌手としての売り方が出来ない考えて良い。

極論すれば、現時点で本格的な歌手活動している(過去に活動していたのではなく)歌手が所属している事務所でなければ、本格的な歌手になる事は諦めた方が良い。

歌手活動はアイドルや芸人とは違う、作詞作曲や演出も含めた音楽的なプロデュースが必要だ。

事務所に本格的な音楽プロデュースが出来る環境が整っていなければ、どんなに歌手としての能力が高くても歌手としての成功は望めない。

それでも、本格的な歌手転向を望むなら、歌手活動に強い事務所へ移籍するか、有名歌手を担当するレコード会社にプロデュースを委託するかである。

 

所属事務所能力の影響はAKBを卒業してソロで歌手活動したたメンバーを見ても判るだろう。

前田敦子の所属は太田プロだ。

太田プロはお笑い系と女優が強い。本格歌手は担当外なので、前田敦子も歌手としては上手くプロデュース出来なかった。

逆に、指原莉乃のようにバラエティ系なら専門分野であり圧倒的にプロデュースが上手い。

指原が強いのは太田プロの力によるところが大きいと考えられる。

 

板野友美ホリプロ

ホリプロはアイドルとタレント活動に強い事務所だ。

アイドル活動ならお手の物だが、本格的な歌手活動は弱いと言える。

当然、板野友美の歌手活動も上手くいかなかった。

 

まあ、元々どちらもアイドルの延長であり、本格的に歌手で売ろうとは考えていないと言うのが実情だろうけど。

 

最近、ソロで歌手活動を始めた高橋みなみも同様だ。

高橋みなみはプロダクション尾木

プロダクション尾木も所属する本格的な歌手は華原朋美だけ。

だが華原も小室哲哉のプロデュースで育った歌手であり、プロダクション尾木が育成した訳ではない。

高橋みなみ本人は歌手希望だが、今の事務所では歌手としてのプロデュースは期待できないと思う。

 

ただでさえ歌手活動が難しい現状では、まともに歌手プロデュース出来る芸能事務所は少ない。

大手事務所ではエイベックス系ぐらいだろうか。

後は大手のレコード会社所属でなければ本格的な歌手プロデュースは難しいだろう。

 

 

では、アイドルの中でも歌手活動に注力しているハロープロジェクトはどうだろうか?

正直言って、ハロープロジェクトのアップフロントアイドル・タレント事務所であり、本格的な歌手活動には向いていない。つんく♂が音楽プロデュースをしていた時は多少可能性が有ったが、今は完全にアイドル・プロデュースに変わっており、本格歌手としての音楽プロデュースは出来ないと思われる。

 

実はハロープロジェクトで過去に一度だけ、第2の安室奈美恵を意識したかのような、脱アイドル的な体制変更に挑戦したことが有りました。

それは2010年℃-ute

あの℃-uteファンに衝撃を与えた「SHOCK!」である。

鈴木愛理だけが1人センターで歌い、後の4人はバックダンサー。

安室奈美恵 with スーパーモンキーズのようだと思ったファンもいたようだが、

それはまさに、鈴木愛理 with ℃-uteの体制である。

これは、メンバー誰もがセンターの可能性があるアイドル体制ではなく、完全に能力で役割分担された音楽アーティストの体制である。

だが、ファンもメンバーも鈴木愛理本人もその状況を受け入れられなかった。

結局、運営事務所も鈴木愛理体制を進めることが出来ず、すぐに元の5人体制の℃-uteに戻した。

それは、鈴木愛理が周りを納得させるだけの気持ちも実力も無かったからかもしれない。

もし、その時に鈴木愛理周りが納得するだけの実力が有ったなら、鈴木愛理第2の安室奈美恵になっていたかもしれない。

 

それでも、そのころのハロープロジェクトには歌手としての能力を育成する体制があった。

ハロープロジェクトでは歌の上手いメンバーがエースであり、多くのソロパートを歌った。

それは、ファンもメンバーも納得出来る状態であり、もし運営が積極的にエースに注力して活動を推進すれば、一流とはいかなくてもアイドルから本格歌手への転向が出来たかもしれない。

だが今のハロープロジェクトには、歌唱力優先の体制はない

人気獲得のために新規加入メンバーに優先的にソロパートを与えたり、メンバーの平等化のためか歌の下手なメンバーでもソロパートが与えられる。逆に歌の上手いメンバーはソロパートが減らされる傾向にある。歌の上手いメンバーが一番目立つ体制がなくなってしまった。

これは、アイドル・プロデュースとしては正解だが、歌手として見れば、歌の上手いメンバーの能力向上意識を低下させ、グループとしての歌唱力低下を招く愚策である。

 

これは、ハロープロジェクトアイドル活動に専念し、多少人気は落ちても歌手活動を中心に活動するならアップフロントクリエイトと言う方向性の明確化かもしれない。

ただ、アップフロントクリエイトでも音楽プロデュースがしっかりできているとは思えないので、

悪く言えば、1軍がハロープロジェクトであり、2軍がアップフロントクリエイトみたいなイメージになってしまう感じはある。

 

まあ、今のアイドルはどこのアイドルでも歌手としての能力は重視していないと言うのが実情のようである。結局、本気で歌手を目指すなら、アイドルになってはダメという事である。