1777年(安永6年)になります。
馬面太夫はめでたく二代目「富本豊前太夫(とみもとぶぜんだゆう)」を襲名し、芝居町で売られている蔦重(横浜流星)の「直伝」も飛ぶように売れています。
一方で、鱗形屋(片岡愛之助)は、恋川春町『金々先生栄花夢』や朋誠堂喜三二『鼻峰高慢男』の青本でブームを起こしていました。
駿河屋の2階で吉原の主人たちは、蔦重に今年は盛り上がる祭を企画するよう命じます。
そんな中、対立する若木屋から8月いっぱい「俄」を行うと宣言されます。さらに西村屋は錦絵本『青楼俄狂言(せいろうにわかきょうげんづくし)』を売り出すという。
大文字屋は25両という大金を納めて正式に祭りへの参加を表明します。
蔦重は平賀源内(安田顕)に「俄」のことを面白く書いてもらおうとしますが、断られ、朋誠堂喜三二に頼めばいいと言われます。
平沢常富(尾美としのり)こそが朋誠堂喜三二の正体だというのです。
蔦重は、吉原が「駿河屋一派vs若木屋一派」と2つのグループに分裂し、対立している状況を悩みます。
蔦重は、すぐさまこの対立構造を『源平合戦』に見立てて耕書堂で書いてほしいと平沢に頼みます。
しかし、もともと鱗形屋の仕事をしていた平沢は鱗形屋との板挟みで手を引くことに。
いよいよ始まった祭。
太夫の見事な浄瑠璃に黄色い声が飛び、芸者たちの見事な舞などが続いた後、大文字屋の「雀踊り」が始まります。と、すぐそこに若木屋の「雀踊り」がやってきて、観客を沸かせます。
蔦重はこの祭りの盛り上がりを記録に残そうと、勝川春章に『明日余情(めいげつよじょう)』を書いてもらい、これが飛ぶように売れます。
祭りの最終日。
祭りに紛れて小田新之助(井之脇 海)とうつせみ(小野花梨)が足抜けします。
【鱗形屋】
ドラマは安永6年(1777年)秋です。
史実では鱗形屋 孫兵衛(片岡愛之助さん演じる)は江戸にはいなかったようです。
鱗形屋は安永4年(1775年)に恋川春町『金々先生栄花夢』を刊行するなどして、出版界をリードしていたが、同年手代が大阪の商人の版権のある本をコピーして販売するなどし、処罰をうけ、さらに旗本の用人の窃盗の手助けをするなどして、江戸所払いになっている。
安永10年(1781年)頃江戸に戻るが、没落し、廃業することになる。
その後西村屋の養子になったとある。
