いろいろはずっとある『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』 | 拝啓、ステージの神様

拝啓、ステージの神様

ステージには神様がいるらしい。
だったら客席からも呼びかけてみたいな。
観劇の入口に、感激の出口に、表からも裏からもご一緒に楽しんでみませんか。

ため息をつくと幸せが逃げていくとよく言われるけれど、ついたっていいと思う。

息をついたら次は吸えばいいのだから。
 
ミュージカル『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』を観て、数日が過ぎ、そんなことを思った。
 
チャーリーはため息つきがち。
妹も友だちも案外ドライ。
いや、ドライというより、皆、自分のことでいっぱいなんだもの。
そりゃあそうだ。大人だって毎日自分とごく近い自分の周りのことで忙しいし、いっぱいいっぱいだ。
子どもならなおさらだよ。
 
悩みの深さはいろいろで、誰かにとっては「え、そんなこと?」だったとしても、別の誰かにとってはため息が抑えきれないことだったりもする。
 
『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』では、お馴染みのピーナッツファミリーたちの日常が、スライドを1ページずつめくるように繰り広げられる。
その1ページの中で、彼らは歌ったり、踊ったり、ため息ついたりするのだけれど、
その場面が終わると、次のスライドがまた目の前で繰り広げられる。
忘れちゃうこともあれば、ずーっと引っ掛かったままのこともあって
それこそが日常だよね、と思う。
 
舞台はシンプルでカラフルで、ホッとした。
色のある暮らしがいい。
色々ある日常がいい。
それぞれのカラーがあるってことは、わざわざ声高には叫ばなくても、多様性そのもの。
 
で、彼らは気づく。Happinessの作り方を。
♪happinessは、このミュージカルの最後に歌われる曲。
歌詞が素敵で、チャーリー・ブラウン(花村想太)、スヌーピー(中川晃教)、ライナス(岡宮来夢)、ルーシー(宮澤佐江)、サリー(林愛夏)、シュローダー(植原卓也)たちピーナッツファミリーが、自分が今思う幸せを歌う。
5色のクレヨンとか、パンをわけっことか、腕時計とか、もう本当に日常。いろいろ。

この曲、何番までも作れるし、誰でも作詞家になれるなと思った。
そして卒業・卒園式の定番ソング「思い出のアルバム」の歌詞を
学童保育の四季の行事を当てはめて歌ってボロ泣きしたことを思い出したりもした。
 
誰にとっても日常はいろいろで、色のある暮らしがある。
ずっと前から。
それはこのミュージカルが1967年に生まれて、全世界で上演され、
2021年の今、日本でも、コロナ禍でも上演されているということが証明している。
 
子どもの頃、壊しては作り、作っては壊ししていた、ピーナッツファミリーのジグソーパズルは、この舞台のカラフルな美術に似ていた。
今の私のHappinessは、そんなことを舞台を観て思い出したり、こうして書いたりできること。
 
 
 
 
 
<公演日程>
2021年3月30日(火)~4月11日(日)
シアタークリエ
 
2021年4月15日(火)~4月18日(日)
サンケイホールブリーゼ
 
2021年4月20日(火)
日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
2021年4月23日(金)
長野市芸術館 メインホール