目玉がいくつも欲しいよ『ピピン』 | 拝啓、ステージの神様

拝啓、ステージの神様

ステージには神様がいるらしい。
だったら客席からも呼びかけてみたいな。
観劇の入口に、感激の出口に、表からも裏からもご一緒に楽しんでみませんか。

拝啓、ステージの神様。
彼を生きる彼が素晴らしかったです。

6月10日から開幕した、ミュージカル『ピピン』。
客席には年配の団体さん(20~30名くらい?)がいらして、どうやら観劇がツアーの中に入っているみたい。
そういえば、シルク・ドゥ・ソレイユをお台場に観に行ったときも、団体の方がいたよなぁ、なんて思い返していた。

その少し人生の先輩(言い方変えてみた)方も、いや、方が、熱狂できるシーンが一幕にあって、それは先輩方のみならず、全客席が熱狂できるであろうことをここに記す。
言いたいけど、これ以上は言わない!
ビバ!中尾ミエさん&前田美波里さん。

『ピピン』は1972年、47年前にボブ・フォッシーの演出・振付で初演された。
2013年、ダイアン・パウルス演出による新演出版が上演され、今回、その日本版としての上演が実現した。

リーディング・プレイヤーに扮するのは、これがミュージカル初出演となるクリスタル・ケイさん。
彼女の歌声が素晴らしいことは、ライブなどで体験済みだった。
持ち歌はもちろん素晴らしいのだが、それ以上に誰かと声を合わせてカバー曲を歌う時の彼女のバランス感覚が素晴らしい。
ホットだけどクールに声を重ねられるっていうのは、当然ミュージカル作品でも存分に発揮されていた。
で、言っておくが、当然、歌だけでないのがこの作品のすごいところ。

そしてなんと言っても、ピピン。
城田優さんが演じる。ほぼ出ずっぱり。
歌、台詞、アクロバットもこれでもかこれでもかとあって、ファンなら舞台袖で酸素吸入器持って待機したい気分になるに違いない。そのくらいハード。

とは言え、作品の中のピピンと城田さんが完全に一体化していて、彼を生きる彼はとても幸せそうに輝いていた。
発光しているものだから、ついピピンを目で追ってしまうけど、この作品、本当にステージの上下左右、斜め上下にみどころがありすぎて、目玉がいくつも欲しいよ~と心の中で悲鳴をあげていたほど。

個人的なことだが、『ピピン』開幕の日に一つ歳を重ねた。
人生はまだまだ続くよ、うん、続くもん……。
彼らの旅を見て、改めてそう思えた。


ロビーにはパネルがあって、スタッフの方がシャッターを押す係として近くに待機。素敵なサービス、こんなの日本オリジナルだよね。

今井清隆さん、宮澤エマさん、岡田亮輔さんなど、皆さんキュートに演じてらっしゃいました!

〈公演日程〉
2019年6月10日(月)~6月30日(日)
東急シアターオーブ

2019年7月6日(土)~7月7日(日)
愛知県芸術劇場 大ホール

2019年7月12日(金)~7月15日(月)
オリックス劇場

2019年7月20日(土)~7月21日(日)
静岡市清水文化会館 マリナート大ホール