拝啓、ステージの神様。
2種類の緊張、からの肩コリです。
桜新町にあるスタディオ・アマデウスにて上演された
Theater LOVの公演に足を運んだ。
Theater LOVとは、演出家 田尾下哲さん、映画監督の紀里谷和明さん、演出家で俳優の保科由里子さんらが講師を務める
役者のキャリアを問わず演技を学べるスクールだそうだ。
そのTheater LOV第二回公演『ベアトリーチェ・チェンチの肖像』の前に、受講生による試演会があり、こちらも拝見することに。
演出は保科由里子さん。演目は「チェーホフ短篇集~『熊』『悲劇の人』~」。
出演は、初舞台、ほぼ初舞台、演技〇年ぶりという受講生さんたちだった。
短篇2作はどちらも未見だったので、はて、どんな内容で、
どんな感触だろう。いつもとはやや違う感覚で舞台を観た。
始まると、役者の口元ばかりが目に入った。
それはたまたま座った席から見えたのが口元で、そこから下は前の人の頭で隠れがちだったこともある。
しかし、そのまま見ていると、口元だけがクローズアップされて、
映像で拡大されているような感覚に陥った。
セリフを言っている口、だったのだろう。
発してるとか、体からあふれているとか、鳴っているとか、そういうものより手前の状態なのかもしれない。
演ずるって難しいんだよなぁ。
特別な技術やよっぽどの心持ちなんだよなぁと、少し緊張しながら思った。
そして、笑った。チェーホフ面白いじゃん!と笑った。
そして、心の中で、この役、誰がやったらぴったりきそうかなと考えたりもしてみた。
こんな風に「受講生のみなさん、ちょっぴりごめんね」な書き方をめずらしくしてしまうのは、この試演会の後に前出の紀里谷さん、保科さん、田尾下さんが登壇されたアフタートークを聞いたことも理由の一つだ。
ここには書かないが、受講生さんたちに対して、厳しくも愛あるトークだった。
幼い頃、友だちがいる前で、自分の子を叱る近所のお母さんが、私は苦手だった(それ、見えないところでやってよって思ったから)。
でも、今日のはいろいろな意味でありだった。
そのまま、今、新人研修中ですでに辞めたくなっちゃっている新入社員とか、ラクして稼ごうと方法論ばかりに目がいっているフリーランスの人とかにも聞かせたい。そんな感じだった。ハハハ。
なので、もう一度書いておこう。
チェーホフ、面白いじゃん!って思わせてくれてありがとう。
これからも頑張ってくださいね。
『ベアトリーチェ・チェンチの肖像』
16世紀のイタリアで、父親殺しの罪で斬首刑となったベアトリーチェ・チェンチを巡る物語。
彼女の肖像画を描いたのは、イタリアを代表する画家・グイド・レーニ。
美しく、しかし憂いをまとったベアトリーチェの肖像画は、どうした経緯で描かれたのか、真実と虚構の物語に、
脅威を感じたり、同情を抱いたり、ひたすらに過去の他人事に写ったり。
会場のスタディオ・アマデウスが、地下1階にあったことも手伝って
2時間15分、監禁されてそれを見ている感覚もあった。
帰宅した今、この肩の凝り具合が作品の緊張感の証拠かもしれない。
ベアトリーチェ役のドルニオク綾乃さん、
美しく、とてもベアトリーチェだった。
2017年4月21日(金)~23日(日)
スタディオ・アマデウス