グリーンマンがとことん刺激された『蒼の乱』 | 拝啓、ステージの神様

拝啓、ステージの神様

ステージには神様がいるらしい。
だったら客席からも呼びかけてみたいな。
観劇の入口に、感激の出口に、表からも裏からもご一緒に楽しんでみませんか。


拝啓、ステージの神様。

その色の虜です。



このブログのスキンを見てもお分かりの通り?
緑色がすこぶる好きなのです。
グリーンマンなのです。
そんなグリーンマンがうっとりしてしまったのが
いのうえ歌舞伎『蒼の乱』です。

天海祐希さん演じる蒼真(そうま)のイメージカラーは、読んで字のごとく、ブルー。
松山ケンイチさん演じる平将門小次郎のイメージカラーは、グリーンです。

この二色は、作品の中で衣装にも、台詞にも、舞台美術にも大きく反映されています。
ちなみに、劇場で作品オリジナルカクテルとして提供されているのも
この二色のものでした。


舞台の中では、衣装で敵味方を表すのをよく見かけます。
登場人物が多い作品や、物語が複雑な場合、時代背景が現代でないものなどは、
特にこれによって観客が作品に入り込みやすくなるということも多いのです。

敵味方という設定でない場合も、それぞれのキャラクターをイメージした色が衣装に採用されることも多いですね。

東北出身の松山ケンイチさんが演じる坂東武者。
宝塚トップ男役出身の天海祐希さんが演じる渡来衆の長。
その背景も手伝って、目の前で繰り広げられる彼らの活躍はとてもリアルに映り、
明るさだけではない、憂いや覚悟を感じさせられました。

劇団新感線の作品への出演は常連となった早乙女太一さん演じる帳の夜叉丸の憂いや覚悟もまた
はじめて彼を舞台で観た時に感じた妖艶さだけではない
太い骨の存在を浮き彫りにしていました。

そして、新感線になくてはならない、橋本じゅんさんの存在。
彼の役は黒馬鬼(くろまき)。え~っと、馬です。
今年の干支です。いや、そのタイムリーさは狙っていないと思いますが。

そして、『蒼の乱』の上演が終了してから3カ月後に同じく東急シアターオーブで上演される
『戦火の馬~War Horse』を意識して、ではないと思いますが。
「馬って……」とはじめはツッコミを入れながら観ていたつもりが、
気がつくと、彼は黒馬鬼という名のちょっとエッチで、でも心が熱い馬にしか見えなくなってくるから不思議です。

物語のラスト、グリーンマンな私はもちろん、客席全体がある情景に包まれます。
客席に直接的な五感を刺激するものが仕掛けられているわけではないのに、
客席はそれに包まれます。
もう少しこの雰囲気に浸っていたいと思いながら、舞台の幕は下りるのです。

この日から、緑色の美しさの虜になった人は私以外にもたくさんいたはず。

蒼の乱
なぜ隣に綿棒かって?タバコがないので。
つまり、やはり新感線のパンフレットは大きい
ということです。



<公演日程>
2014年3月27日(木)~4月26日(土)
東急シアターオーブ

2014年5月8日(木)~5月27日(火)
梅田芸術劇場メインホール