手書き感はアリ?ナシ?「のび太の恐竜2006 」 | 心日和だより【気ままに映画レビュー】

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「ドラえもん のび太の恐竜2006」
 61点 /100点
監督 渡辺 歩 2006年

ドラえもん映画のレビューを以前からしたいと思いつつなかなか機会に恵まれなかったのですが、時間も少しできたので少しづつレビューをしていきたいと思います。

その記念すべき1回目はリメイク1作目となった「のび太の恐竜2006」。

2015年で35年を数える長いドラえもんシリーズの中でも節目となった作品の一つ。日本において長期化しているシリーズ映画は数多くあるが、過去作品を同一シリーズ内でフルリメイクしたものは他に例を見ず、TVシリーズの引継ぎとともに本作を請け負ったスタッフ陣にかかるプレッシャーの大きさは想像に難くない。

TVシリーズから映画まで一貫してドラえもんアニメ作品の重鎮として芝山努氏が務めた旧シリーズと違い、新体制ではTVと映画は全く別物として作られれており、原作のテイストをそのまま再現しようと努めたTV版とはテイストが全く異なる。



まず、全体的に「手書き感」というべき表現方法で描かれており、背景もキャラクターも淡いタッチの作画が目立つ。全体的には大げさなアクションが多く、原作でめったに見られなかったドラえもんの歯もかなり出てくる。このオーバーアクションは好みが分かれるところ。

また、手書き感を活かしてからなのか、分業にしているのか、キャラクターのデザイン(作画)が安定しない。特に引きの画になると「下書き感」がでているといいたくなるほど「雑」に感じてしまう部分があり、「これはアンオフィシャルの映像だろうか?」と目を疑うシーンがいくつかあった。特に浜辺の水浴びのシーンは上記のオーバーアクションと重なりキャラクターの顔も動きも不自然で、私は見ていて不快になってしまった。

ストーリーは当作品以降「新」と付いているリメイクと異なり基本的にはオリジナルを踏襲しており大きな変更点はない。ただ、なぜ、日本ののび太の机に無理をしていかなければならないのか、タケコプターはどう使えば長期の運転でも耐えられるのか、といった説明部分がごっそり切られており冒険の動機づけがかなり弱くなってしまっている。ここはしっかりと説明すべきでドラえもんの「日常」が「非日常」へとなる根幹の部分である。

基本、同じだったのだが、ラストシーンだけは大きく変えられ、のび太たちは自力で日本まで向かい、自力で現代へと帰ってきている。これは「ピー助に後ろ髪引かれながらの別れ」をラストに描きたいということなのだろうが、このシーンはほぼ同じシーンが前半にある為、ここを山場に持ってくるのは少々無理がある。
そもそも、前半では心の整理がついていないのび太とピー助双方の別れであるから涙を誘い、2度目の別れはピー助が「あるべき場所、あるべき相手」を見つけており、それを見て安心してのび太は別れを告げられる彼らの「成長」があるのであって、ラストも同じように「別れたくないよー」では意味がないのである。なぜ、ここだけこんなに大きく変えてしまったのだろうか。個々がなければもう少し印象は変わってくる。

リメイクの宿命であるため、旧作と比較してしまうが、新体制1作品目として悪くない出来である。ただ、やはり手書き感とオーバーアクションが受け入れられるかが大きなポイントであることは間違いない。

各10点満点
ストーリー 6
音楽 5
ロケ 7
キャスト 7
監督 6

5点x10
エンタメ指数 ★★★★★★☆☆☆☆ (6)

合計     61点 / 100点

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オリジナル。どちらを先に見るかで双方の評価は大きくわかれるはず。
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