運動が鬱の治療に役立つことは以前から知られていたが、ウォーキングのような軽い運動にもその効果があるかどうかは、それほど明らかになっていなかった。 ウォーキングは多くの人々が手軽に実行できるという利点がある。

 

 

  ウォーキングの効果

 

1. セロトニンの活性化

 

セロトニンは、「朝日を浴びる」「リズム運動」によって活性化します。朝の散歩は、ウォーキングなどの規則的なリズムを刻む運動の2つを兼ねているので、セロトニンを十分に活性化することができます。 セロトニンは、覚醒、気分、意欲と関連した脳内物質で、セロトニンが低下すると気分が落ち込みやすくなります。逆にセロトニンが活性化すると、意欲がアップし、集中力の高い仕事ができます。 そして、セロトニンを材料に夕方から睡眠物質のメラトニンが作られます。セロトニンが十分に分泌されることで、結果、夜の睡眠が深まるのです。 普通の人でも、仕事が忙しくてストレスフルな生活をしていると、セロトニンを分泌するセロトニン神経が弱ってきます。

 

2. 体内時計のリセット

 

人間には体内時計があり、睡眠、覚醒、体温、ホルモン、代謝、などがコントロールされているので、体内時計がズレると、自律神経のバランスが崩れ、睡眠障害、うつ病など、さまざまな病気の原因となります。 体内時計をリセットするには、太陽の光を浴びるのが効果的です。だからこそ、朝に外に出ることがいいのです。歩くときは、同じテンポでリズミカルに歩きましょう。体力に余裕のある人は、「早歩き」で軽快に歩くといいでしょう。

 

  朝のウォーキングはセロトニン活性化に最適

 

 

セロトニン神経は、「朝に活性化させること」「一定時間しっかり集中して行うこと」が原則。 なので、朝のウォーキングは最適だというのです。そして、継続するほどセロトニン神経が鍛えられ、長く続けるほど、セロトニン神経が強くなる。

 

精神疾患が治りにくい人の特徴は、「昼まで寝ている」夜型の人が多いのことです。 何年も治らなかったうつ病やパニック障害などの精神疾患が、朝のウォーキングをするようになってから症状が改善したした人が多数います。

 

  欧米で注目を集める「歩くだけ」心理療法、「ウォーキング・セラピー」

 

 
イギリスの臨床心理士ジョナサン・ホーバンが、ウォーキングで自身がうつ病と依存症を克服した経験から、「ウォーキング・セラピー」を提唱し、その第一人者として活躍している。

 

ウォーキングにはドーパミンやセロトニン、エンドルフィンといった「幸福ホルモン」や、アドレナリンの分泌を促す効果もあります。その結果、気分が明るくなり、元気で幸福感に満たされた感覚を得られるのです。なかでも、自然の中でのウォーキングは効果的です。音や匂いや景色が、思考、感情を呼び覚ましてくれるのでしょう。

ということで、抗鬱剤には多かれ少なかれ副作用があるが、ウォーキングには副作用もない。毎日するのがベストですが、週に数回でも、朝「スッキリ目覚める」体質づくりにおすすめです。