自律神経を整える「長生き呼吸法」

順天堂大学医学部教授の小林弘幸先生が呼吸の力を解説した一冊。

 

前回は、「鬼滅の刃」の全集中に学ぶ「長生き呼吸法」を紹介しました。 今回は、「鬼滅の刃」とヨガの呼吸の共通点を探ります。

 

「鬼滅の刃」における呼吸

 

普通の人間では敵わない強さを持つ人喰い鬼と戦うため、剣士たちは「全集中の呼吸」という身体を超活性する特殊な呼吸を使います。 肺に酸素をたっぷり取り込み、血液中の酸素濃度を高めることで、一瞬にして高い集中力と身体能力を手にすることができます。 「体中の血の巡りと心臓の鼓動を速くするの。 そしたら、すごく体温が上がって、 人間のまま鬼のように強くなれるの。 とにかく肺を大きくすること。 血の中にたくさん、たくさん空気を取り込んで、 血がびっくりした時、 骨と筋肉が慌てて熱くなって強くなる」

真菰 「鬼滅の刃」より

 

呼吸法によって超人的能力を本当に手に入れることができる?

 
気になる「全集中の呼吸」。これを身につけると超人的な身体能力を得て、骨が折れても動けるし、鬼の首も斬れるという呼吸法があるならぜひとも身に付けたい! 
 
普段は無意識のうちに行っている呼吸です。いつもは気にかけないから、自分の呼吸が浅くなっていても乱れていてもわからないんです。そこを、自分の呼吸に意識を向けることによって肉体的にも精神的にもいい状態に変えていくというのはそれほど不思議なことではありませんよね。
 
全集中の呼吸はまさにヨガの本質に迫っています。
全集中の呼吸は、文字通り、呼吸にすべての意識を集中するというのはヨガだけでなく、呼吸法そのものの基本的な考え方です。
 

ヨガの呼吸法は「プラーナヤーマ」といいます。

 

プラーナ(prana)はエネルギー、アヤーマ(ayama)はコントロールを意味していて「調気法」と訳されます。

 

ヨガでは、身体の中にナーディーというプラーナの通り道(エネルギーの管のようなもの)があると言われています。そこで、プラーナをコントロールするための行法として呼吸を学び、鍛錬するのです。 ただ身体と技を鍛錬するだけではなく精神を鍛えることを重視するのは、ヨガに限らずスポーツ全般にも言えますね。

 

ヨガの呼吸で期待できる体の変化は、 自律神経の乱れが整う、血流が良くなる、「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンが増えイライラや落ち込みがなくなり、精神の安定や安らぎをもたすなど様々なメリットがあります。

 

自分の呼吸だけに集中することは、ヨガのエッセンスが心を「今」に結びつけることでもあるので、今、実際に起きていることだけを、心が認識するようにすると、心に隠れていた能力が覚醒します。

 

そして、女性がヨガスタジオで美容や健康のために取り組んでいる呼吸法と、ヒンドゥーのヨギーがやる超人的な呼吸法とは、目的が違うので別物です。

 

ということで、鬼滅の刃の戦闘シーンを見ると、呼吸を「今、この瞬間」に意識を全集中させることが共通点となります。