中川衛 美しき金工とデザイン 展パナソニック汐留美術館展覧会レポート
人間国宝 中川衛 の個展へ行ってきました。
場所は新橋の汐留。パナソニック汐留美術館。
開館20周年の記念展だそうです。
開館してからもうそんなに経ったんですね。
■展覧会リーフレット
■中川衛さんとは
1947年石川県金沢市生まれ
金沢美術工芸大学ではデザインを専攻、卒業後デザイナーとしてパナソニックに就職しました。
ふるさとの金沢へ帰り、27歳の時に加賀象嵌の道へ、それから技術を磨き、2004年には人間国宝になったという、作家さんです。
現在は母校の金沢美術工芸大学で教授として後進の育成の仕事にも関わっているそうです。
■展覧会について
若い頃関わった、パナソニックの工業デザインの数々の紹介から展覧会は始まります。
その後、江戸や明治の加賀象嵌の作品、また師となる高橋介州の作品も並べられています。
加賀象嵌の技法などの説明もあり、そして本人の作品が展示されていくという展覧会の構成になっています。
デザイナー出身らしく、プロダクトデザイン、建築とのコラボレーション、それから海外との仕事の関連資料など、幅広い活躍の展示があります。
■次世代へ
数多くの作品の展示がされた後、次世代へというコーナーがあります。
ここまでの展覧会の展示は禁止ですが、ここからは撮影可能となっています。
●展覧会風景
展示作品の上に見える奥の方が中川衛さんの作品。
手前の方が主に若い作家の方々の作品でした。
写真には載ってませんが、他にも多数の作品が並べられています。
■そんな中から、中川衛さんの作品のいくつか
●《象嵌朧銀花器「一」》2021年 個人蔵
作家にとって文字の形とは、想像のきっかけになるようで、漢数字の「一」をモチーフにした作品。
●《象嵌朧銀花器「NY.7:00 o'clock」》2022年 個人蔵
一日の始まりの朝7時、終わりの夜の7時。
ニューヨークの高層ビルをモチーフに作られています。
この作品は2022年の作品ですが、同じタイトルで2020年の作品はニューヨークのメトロポリタン美術館に収められているそうです。
●《象嵌朧銀花器「花模様」》2022年 個人蔵
近未来型の形に、古典的な春の桜のモチーフなどが散りばめられています。
とても綺麗でした。
●《象嵌孔雀伏香炉》2006年頃 個人蔵
▼部分
繊細な表現が、目の前で見られました。
よかったです。
■次世代の作家さんの作品
気になった作品をいくつか
●前田真知子 左《象嵌香合「静寂」》2023年 個人蔵
右《象嵌香合「柳鶯」》2023年 個人蔵
小さいのです。本当に細かな仕事です。
肉眼でより、スマホで撮影して拡大した方が良くわかりました。
●笠松加葉 《朧銀象嵌花器「森羅万象」》2023年 個人蔵
この作品はナイーブな感じがして、気持ちに入ってきます。
ライティングの角度によって、作品の表情が変わるんですが、それがとてもよく感じられてお気に入りの作品です。
●長井未来《四分一接合箱「structure Ⅰ》2023年 個人蔵
●長井未来 奥《四分一接合箱「幽光」》2022年 個人蔵
手前《象嵌小箱「zigzag」》2023年 個人蔵
長井さんの作品を見ると、木工のような気がします。人間国宝の黒田辰秋さんの作品を思い出してしまいました。
▼手前の筒の作品を横から撮影したもの
●水代達史 《Canouflage ー彩ー》2019年 個人蔵
生き生きとした鳥の姿がとても印象的。
金属の硬さの雰囲気があるだけど、それだけでない柔らかな感じがしました。
■展覧会の最後には
●中川衛・舘鼻則孝 《Heel-less Shoes 》
コラボしている舘鼻則孝さんは、1985年生まれで、東京藝術大学染織専攻を卒業されています。着物や下駄などを制作していて、レディ・ガガさんのシューズも作られているそうです。
多数の個展や展覧会に出品されていて、ニューヨークのメトロポリタン美術館やヴィクトリアアルバート美術館にも作品が納められている作家さんです。
今回は表側からではなく、中川さんの金工の部分を後ろから撮影してみました。
以前、下記の記事に舘鼻さんの作品の投稿があります。
●中川衛《象嵌朧銀孔雀伏香炉》2016年頃 個人蔵
▼部分
美しい繊細な作品。
この作品が展覧会の最後にあります。
会期は9月18日(月)まで、この3連休で終わりです。
見ているとあっという間に2時間は経ってしまいました。
よかったら是非。
最後までおつきあいいただきありがとうございました。