「わたしたちの国立西洋美術館」
を観に、渋谷のシアター・イメージ・フォーラムまで行ってきました。
場所は、JRの渋谷駅から宮益坂を登って、10分ぐらいでしょうか?
■映画 チラシ
制作・監督・撮影・録音・編集を2015年に話題になった、永青文庫「春画展」の内幕を描いた「日本人と春画」の大場敦さんです。
■概要
国立西洋美術館の長期の休館の間に行われた修復作業を縦軸に、それに加えて美術館を支える人々の姿やインタビューを横軸に描かれたドキュメンタリー映画です。
■国立西洋美術館の休館について
(映画の中で語られていたこと、ネタバレですが、、、)
2020年から約1年半の間、国立西洋美術館は長期の休館をしました。
それは前庭の整備のため。
前庭は地下の企画展の会場の天井の部分にあり、そこの経年劣化のための修復工事。それはやるしかない。
そして、世界遺産に登録された国立西洋美術館として、設計者のル・コルビジュエの当初の前庭のプランとかなり違っている現状を、コルビジュエの元々の案に戻すという理由だそうです。
■見どころ
美術館をとりまく数々の現状と裏側が描かれています。
日本特有の新聞社や放送局の主催する展覧会のシステム。
作品購入の決定に至る裏側。
国内の巡回展にまつわる事柄。
現実的に少ない予算。
展覧会場の作品の設営の様子、
などなど。
どれも生々しく、ライブ感たっぷりで、当事者のインタビューや現場の肉声と共に描かれています。
それから、映画の中で撮影されている、普段とは違う姿の、名画や彫刻の数々がスパイスとなって目を楽しませてくれます。
例えば、布でグルグル巻きになったロダンの《考える人》。やはりロダンの《カレーの市民》は宙吊りになって運ばれていくシーンはこの映画のハイライトでしょうね。
また四季の移ろいの中で、美術館の工事で囲ってある風景が、映画の中でとても美しいアクセントになっています。
■映画で登場した作品のいくつか。(昨年と今年、国立西洋美術館で撮影したもの)
●ロダン 《カレーの市民》
●ティツィアーノと工房 《洗礼者ヨハネの首を持つサロメ》
●ミレイ 《狼の巣窟》
●ルノアール 《アルジェリア風のパリの女たち(ハーレム)》
●モネ 《睡蓮、柳の反映》
●デューラー 《『黙示録』:書物を貪り食う聖ヨハネ》 木版
他にも多数の作品が登場します。
■最後にちょっと、真面目な話
美術館はもう今のシステムでは、早々に立ち行かなくなるようです。
多くの人に見てもらい、認識されることが必要だと思いました。
ネタバレですが、映画の最後にこの作品のタイトルが、「わたしたち
の国立西洋美術館」とされた、制作側の意図がわかります。
その通りなのだと思いました。
よかったら是非。
最後までおつきあいいただき、ありがとうございました。