ピカソとその時代 ベルリン国立ベルクグリューン美術館展 @東京・上野 国立西洋美術館 | akki-artのブログ

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ピカソとその時代 ベルリン国立ベルクグリューン美術館展 @東京・上野 国立西洋美術館

 

●展覧会リーフレット

 
 
■ベルリン国立ベルググリュー美術館とは
この美術館のスタートは第二次大戦後パリで画商を始めたベルリン出身のハインツ・ベルクグリューンです。ピカソ、クレー、マティス、ジャコメッティの4人の巨匠を中心とするコレクションを持ってます。
 

★作品紹介 気になった作品を紹介

 

■序

 
●アンリ・マティス 《パリ、ベルクグリューン画廊の展覧会(1954年)のためのポスター図案》1952年
 
 
 
マティスの切り絵の展覧会の図案。マティスのSSの文字だけ手書きですね。
 
 

■セザンヌ ー近代芸術家たちの師

 
●ポールセザンヌ 《セザンヌ夫人の肖像》1885〜86年頃
 
 
セザンヌはモデルを努めていた、マリー=オルスタンと子供をもうけていたにもかかわらす、父にそのことを隠していました。セザンヌが、両親に認められ正式に結婚するのは1886年。
ということはこの頃の作品ですね。
 
静かな眼差し。モデルの人となりと、作家の夫人に対する愛情が感じられますよね。
 
 

■ピカソとブラック ー新しい造形言語の創造

(ブラックは写真撮影禁止でした)
 
 
●パブロ・ピカソ 《ジャウメ・サバルティスの肖像》 1904年
 
 
ピカソの古い友人の肖像。青の時代の作品ですよね。硬い表情が印象的ですね。
 
 
●パブロ・ピカソ 《娼婦 《アビニヨンの娘たち》のための習作》 1907年
 
 
すごく印象的です。アヴィニヨンの娘の習作。あの絵のあの女性のことですね。
 
 
 

■両大戦間のピカソ 古典的主義とその破壊

 
●パブロ・ピカソ 《水差しを持ったイタリア女》 1919年
 
 
この絵は「チョチョラ」と呼ばれるイタリアの伝統的な画像。
色々な作家がカヴァーしているみたいですが、ピカソの作品の良さは、その描く線の美しさですよね。
 
 
 

■両大戦間のピカソ 女性のイメージ

 
 
●パブロ・ピカソ 《緑色のマニュキュアをつけたドラ・マール》 1936年
 
 
ポスター等に使用された作品ですね。
ドラ・マールはシュールレアリズムの写真家。のちにピカソのパートナーとなります。
顔や身体を形を変えてデフォルメしていますが、とても魅力的に描かれています。
ドラ・マールのチャーミングなところが想像されますよね。
 
 
 
●パブロ・ピカソ 《黄色のセーター》 1939年
 
 
モデルはドラ・マール。
表情をデフォルメしていてもその魅力は十分に通じますよね。
黄色いセーターが絵のタイトル。セーターはまるで体に密着している鎧のように見えます。
1939年、ちょうど第二次世界大戦の始まった時の作品。
僕が今回の展覧会一番気に入った作品です。
 
 
 
●パブロ・ピカソ 《大きな横たわる裸婦》 1942年
 
 
戦時下。ドイツ占領下のパリで製作された作品。人形のように動きもなく時間が止まってしまったような裸婦。
悲しさや孤独を感じる作品ですね。
戦争の悲惨さを表現しているんでしょね。
 
 

■クレーの宇宙

 
 
●パウル・クレー 《中国の磁器》 1923年
 
 
クレーは中国に対して興味を深めたらしいですが、この作品は《中国の磁器》のイメージを描いたものでしょうね。作品としてはすごく面白いです。細かなところに面白い描写があります。近くに寄って見ると面白い作品です。
 
 
●パウル・クレー 《口数の少ない倹約家》 1924年
 
 
パウル・クレーは口数の少ない人だったらしいです。周りからもそう思われていたみたい。
つまりこれは自画像。
クレーはこういう印象の人になりたかったんですね。
 
 
 
●パウル・クレー 《ネクロポリス》 1929年
 
 
 
エジプト旅行から生まれた作品。
ピラミッドがモチーフになっているのは明らかですよね。
 
 
●パウル・クレー 《モスクの入り口》 1931年
 
 
四角のマスに色を置いていく、ある意味点描作品。モスクの入り口、というより中国的な感じがする気がします。
 
 
 

■マティス 安息と活力

 
 
●アンリ・マティス 《青いポートフォリオ》 1945年
 
 
白い女性が印象的。
赤い室内とカラフルな色が散りばめられた画面。
青いソファ。色が満載の《青いポートフォリオ》。
 
 
 
 
●アンリ・マティス 《雑誌「ヴェルヴ」第4巻13号の表紙図案》 1943年
 
 
 
切り絵が使用されていますよね。
二人のダンスのポーズが面白く感じました。
 
 
 
●アンリ・マティス 《植物的要素》 1947年
 
 
この構図は素晴らしいですよね。色も赤と緑の補色関係に、黄色と黒。
とても遠くから目につきましたね。
 
 
 

■戦後の作品

 
●アンリ・マティス 《縄跳びをする青い裸婦》 1952年
 
 
切り絵の作品。とても印象的。動きがあるんですよね。
縄が途中で切れているのもいいですね。
 
 
 
●アルベルト・ジャコメッティ 《ヴェネツィアの女 Ⅳ》 1956年
 
 
ジャコメティ特有の細長く伸びた作品。
ヴェネツィアの女とは作家にとってとても大切な連作のシリーズ。
ジャコメッティはこんな風に女性が見えたんでしょうか。
 
 
 
●アルベルト・ジャコメッティ 《ヤナイハラⅠ》 1960ー61年 
国立国際美術館蔵
 
日本にある作品。モデルは日本の哲学者、矢内原伊作氏。
フランス留学中の矢内原氏はジャコメッティのモデルを務めたそうです。
それからジャコメッティの日本での作品受容につながっていくのですね。
 
 
 
 
 
 
●パブロ・ピカソ 《闘牛士と裸婦》 1970年
 
ピカソ89歳の作品。
本当ですか。歳を取ってもすごいですね。
 
男性像の作品が晩年は多いらしいですが、特に闘牛士。剣が印象的。
赤と青の組み合わせだったり、裸婦との組み合わせといったところは、男性の力強さを描きたかったんですかね。つまり自分自身の強さを表していたのでしょうか。
 
 
 
とてもいい作品揃いの展覧会でした。
ピカソ、クレー、マティスが中心ですが、セザンヌ、ブラック、ジャコメッティもあり満足の展覧会ですね。
 
平日の昼間なのにとても多くの人がいらっしゃいました。
また作品撮影も多くが可能でした。
 
よかったらお早めに。