「あれから、15年。(42)」
「Here's fine.
Keep the change. 」
RINAが書いてくれた住所の近く辺りでタクシーを止めて貰った。
RINAに勇気付けられて、気持ちが盛り上がってたのと、
ディレクターさんのお金なので、勝手に運転手さんにお釣りは要らないと言ってしまった☆
地図と住所を見ながら、目的のアトリエを探して歩く。
それは入り組んだビルの中にあった。
普通に歩いてもまず、見付けられない
なんだか、秘密めいた場所。
扉には厳重な鍵。
重厚なDoor Knockerを叩くと、これまた重厚な覗き扉が少し開いて、
その中の目とオレの目が合う。
そして、ドアを開けてくれた。
そのアトリエは双子姉妹が経営している、縫製のアトリエで
オレの相手は姉妹の姉である、アンさんがしてくれた。
一見、ちょっと無愛想で怖そう…
ここでちょっと記憶違い!
オレはこの日は焦って勇み足だったのだ!
Swallowのサンプルになるスカートは持って行かず、
いつも店に置いてあるデザイン画のコピーを持って行ったの!
だから、あんなに苦労する事に…
「I want you to sew this…」
Swallowのデザイン画を見せる。
「I want you to sew this, how much is it?」
アンさん
「………」
無言。
いろいろと思い付く英単語を並べて必死に説明したけど、伝わらない。
そりゃそうだよね。
オレは特に英語が出来ないし、日本でも縫製工場に依頼する時は
デザイン画、製図した型紙、出来ればサンプル、
そして「縫製指図書」や「仕様書」があってこそ、工場さんに伝わり縫って下さる。
オレ、日本でパタンナーやってたのに、
わかるはずなのにそんな事も考えずに、
いきなりアンさんに
「これ縫って下さい。
工賃は幾らですか?」
だなんて!
失礼にも程があるよ…
それもボディランゲージと単語だけのへんてこりんな言葉しか話さない…
アンさん、あの時はごめんなさい。
忙しそうなアトリエ。
いきなり、英語が出来ないデザイナーがデザイン画を持って
これ縫って下さい、幾らですか?
だよ…
でも、なんだか最初の印象と違ってアンさん優しそうに話しは聞いてくれるの。
でも、その日はオレ
あまり迷惑にならない様に、明日また来ます言って
すごすごと帰ったの…
ディレクターさんはこのシーン全部カメラに収めてるし! (^^;;
帰り道、タクシーの中でディレクターさんが言うの。
「さて、GOくんどうするー?」
どうするー?って言われても…
「【縫製仕様書】が必要だと思います…」
「あ、じゃそれ書くのね」
「無理です…」
だってね、オレ情けないけど
普段の生活の英語も簡単な単語並べるだけで、かなり怪しいの!
日本語の仕様書はかけても、細かい縫製用語の英語なんてわかんない…
この時はね、ネットとかも今みたいに充実してない時代で
翻訳ソフトとか、縫製用語とかそんなん調べれる時代じゃなかった。
書けないよ…
でも、RINAにせっかく紹介して貰ったんだ!
RINAの財産なのに!
無駄にしたくない、絶対!
でも、番組スタッフさん達もオレよりもちろん、かなり英語出来るけど
縫製用語がわかんない。
ん~…
どうしよう。
留学でNYに来てるTomomo…
でも、Tomomoはジュディのとこでバイトしてるからビレッジメンバー…
だめ、だめだめ!
口外する事になる!
RINAとの約束を破る事になる!
…
…
……
あれ!?
ちょっと待って!!!
ギックンいるやん!!!
三日前にNYにやって来たモード同級生のギックン!
そうや、ギックンに一緒に行って貰おう!
その日のうちに、ギックンに会って
翌日、またアンさんとこに一緒に行ってってお願いした。
ギックンは細かい「仕様書」を書いた経験はないんだって。
でも、なんとかするしかない。
オレはその夜、
出来うる限りの、思い浮かぶ縫製の英単語を型紙に書き込んで、
仕様書にも書き込んで、
デザイン画の横にも書き込んだ。
単語がわからないところは、細かく細かく絵図で書いて
終わったらまた朝になってた。
そしてギックンと、あくまでもリアリテイ番組、
カメラを回さないといけないので、ディレクターFさん&ホッティと一緒に
アンさんのアトリエに行った。
「【英語の仕様書】もどき」と、「型紙」と「Swallow」を持って…
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