「あれから、15年。(40)」
お店の売り上げが、あんまり上がらないんだ。
毎回、試着してくれてめっちゃ似合うし気に入ってくれてもね、
やっぱ支払いの時、カードやねん…
それでね、キャンセルなるの。
だいたい3人に2人はキャンセルになるねん。
そんな中でね、やっぱどうしても欲しいって
あとあと、家に帰って思ってくれて
現金を握りしめてもっかい店に来てくれる、
そんなお客さんが何人か居て、もうね
もう本当に感激した!
そんな日々。
AKIUE-GOの店の中でヒット作が生まれた。
そう、カード使えなくても一度家に帰って現金握りしめてもう一度買いに来て下さるアイテム。
それが「Swallow Skirt」だ。
120$、当時でだいたい12,000円くらい。
Swallow Skirtはね、最初ペンギンスカートだったの。
でもさ、ペンギンの英語がすぐに思い浮かばず、試着したお客さんに説明してる時にね。
Swallow言ったの。
だから、そっからSwallow Skirt!
Swallow Skirtはまぁ、売れて売れてね。
リバーシブルのギンガムチェックサイドを赤、ピンク、ネイビーブルー、水色、イエロー
デニムサイドをブルーデニム、ブラックデニムと
いろんなカラー展開で創る様になったよ。
毎日ね、毎日夜アパートメントに帰ってから縫うの。
これね、裏のギンガムチェックサイドに「キセ」を付けて縫わないといけなかったり、ゆとり持たせないと突っ張ったりするから
縫うのかなり大変なの。
何よりもカーブが長くてバイアスになるから、結構時間掛かる…
昨夜(←15年前の)もさ、徹夜で縫ってたよ。
今日ね、9th streetで昨夜塗った商品入れたデッカバン抱えて、チャリンコ漕いでたらね、RINAと会ってん。
「GO、あんた顔色悪いよ!
真っ青やん!」
「あのね、昨晩寝られへんかってん。
ちょっと、急ぎで商品を今日店に出したかったから、
徹夜で縫っててん」
「…噂で聞いてるけどさ、GO
あんた、そんな事してたらダメよ。」
「うん、解る。
swallow縫うのに時間取られて、新しいデザイン考える余裕もあんまりなくなるし
結局、swallow頼りになっちゃってるし…」
「GOあんたね、あたしが言ってるのは、そんな次元の問題じゃないの。
売れ筋商品は、どんどん出した方がいいわ。
でもさ、せめて売れ筋商品くらいはちまちまと自分で縫わずに外注に出しなさいよ!」
「でも、お金掛かるよ…」
「もう!あんたってどんだけ…
…大丈夫、あたしが良い事教えてあげるわ。
今からうちの店にちょっと来なさい。」
「あ、Hannaが心配するから一回AKIUE-GO行きたい。」
「そんな事は後回しにしなさい!
子供じゃないんだから!
はい、今からうちの店行くわよ。」
そんなこんなで、RINAの店に連れてかれた。
RINAは店内で誰も居ないのを見計らって話し始めた。
「GO、いい?
今からあたしが言う事は誰にも教えないで。
あんただけに話すんだから。
アリスにも喋っちゃダメよ。
あんたがアリスと仲良くしてんの、あたし、本当はあんまり気に入らないし。」
「う、うん」
「絶対よ、約束ね!」
RINAが念を押した。
#9thStreet #AKIUE-GO #デッカバン