「あれから、15年。(17)」
三組四名ともに、番組プロデューサーに指示された一週間の期限内で
クリスティーナ・アギレラの衣裳を創り上げた。
今までさ、お互いに他のメンバーの作品をまざまざと見る事なんてなかったけど、
この時はみんなお互いの作品をじっくり見たね。
K&Tカップルは、オーディション前に「Plastic Rouge」ってブランドをやってたんだけど、
Plastic Rougeらしさいっぱいの作品だったよ。
ちなみに、オレねこの「Plastic Rouge」ってブランド名、かなり好き!
15年経った今でもブランド名として一番好きな名前かも☆
Kさんはね、ガラリと今までの作風と変えて来た。
Kさんの今までの作品はヨーロピアンぽい上品な中にアヴァンギャルドさがあって、オレ好きだったなぁ。
けど、作風変えて来たって事は
Kさん、勝負に出たんだ!
超アメリカン・ポップスター風になってた。
そしてオレは前回お話しした
「Wild Soldier」。
いったい、誰がグランプリ獲るんだろう…
アギレラに、そしてアギレラの所属レコード会社に選ばれるのは誰だろう…
……なんて、オレは思わなかった。
ここまで、
ファイナルまで残った。
3/3500まで登って来た過酷で険しかった道程。
やっぱ、こいつら凄いわ!
って、思ったけど
オレの心の中でグランプリはオレ。
誰にも渡さない!
万にひとつ、オレが選ばれなかったとしても
オレの中のグランプリはオレだ!
って、思ってん。
ううん、選ばれたい!
負けたくない!
1/3500になりたい!
頂点に立ちたい!
目の前のチャンスを逃したくない!
って、心の中で祈るように思ったよ。
そして、そんな強い信念のもとに仕上げた作品だからさ…
ところが、
一週間の課題の〆切の日が過ぎて3組全員が衣裳を仕上げたけど
レコード会社でプレゼンする日が延びたみたい。
と、言う事で新たなプレゼンの正式日程が決まるまで自由!って、いきなり言われたんだけど。
何してても良いよって。
どうしたら良い???
これまで、二ヶ月くらいNYに居たけどオレ達なんも観光らしい事なんてしてない。
けど、戦いに敗れたら即帰国!
オレはこの時、なんだか今観光しちゃったら
このNYが想い出になっちゃうんじゃないかなぁって急に不安になったよ。
ジンクスと言うか、なんか願掛けみたいな感じで、
その時はオレ今、観光したらアカン!って、そんな気にはならなかった。
と、ところが、
K&Tカップルは早速、カップルで観光しに色々と出掛けてた! ^o^
まぁ、カップルでNY来てんのに、デートらしいデートもしてないんだしね♪
オレ、このカップルなんだかな、好き☆
残ったKさんとオレは、二人で部屋で話したり、カフェに出掛けたり
数ヶ月ぶりのオフの日をゆっくり過ごした。
もしかしたらさ、Kさんもこの時
オレと同じ思いだったのかな…
そうこうしているうちに、共同生活をしてたアパートメントを引き払う日が近付いて
あと三日後に部屋を出ないといけない、
と言う日に
やっとアギレラサイドから連絡が来た!
プレゼンの日が決まった!
プレゼンの日は四日後らしい!
オレ達は急いで荷物を纏める準備をしなきゃ。
戦いに敗れたら即帰国だからね。
優勝してもちょっとは帰るのかな???
とりあえず、全ての道具も含めて荷造りしなきゃなんないんだよ。
Tさんがスーパーで段ボール箱を貰うって言うので、4人で出掛けた。
アパートメント最後の夜は荷造りも終えちゃったので4人で外食しようか?ってなったんだけど、
誰かが、四人で過ごしたこのアパートメントで食事しない?って言ってみんなそれに同意した。
デリバリーでピザとかいろいろ頼んでお酒も飲んで
初めて四人揃って水入らずで食事をしたよ。
固定カメラも回ってない、片付けたもん☆
スタッフさん達もアパートメントにいないから、カメラ無し♪
なんか、いろいろと話してはしゃいだよ!
楽しかったなぁ☆
そして、決戦の日の朝。
オレ達は、これまで共に過ごした思い出深いアパートメントを出た。
NYに来た当初より少しパンパンになったトランクを引きずりながら…
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