アメリカのYouTube動画で、体重減量手術をする医師に会うため、巨体の持ち主と、その家族は必死な思いで飛行機や(機内に座ることから既に試練だ)、あるいは車ではるばるヒューストンの病院までやってくる、、から始まる、貴重なノンフィクション動画がある。


ベッドから動くのもままならない患者は、オンラインで医師に進捗状況を話すが、実際に会って話しているわけではないので、患者は適当に「ダイエットしているか」の医師の問いに、ペラペラと自作の物語を話す。得意な決め台詞は「努力しています」だ。医師は結構辛辣な質問もする。それに対しても難なく躱して通話は終わる(患者が先に切るのも日常茶飯事にあるらしい)。オンライン通話がうまくいき、ヒューストンで待望の診察が始まる時には、嘘の物語は全て医師の前に、暴かれる。「あなたはあれから予定の体重を減らせていない、このままでは減量手術やリンパ浮腫の手術はリスクが大きすぎて、危険だ」、、


せっかく苦労して長旅をし、食べたいのも我慢して痩せる手術を受けられる!と希望を抱いて来た、という患者の気持ちは、急にヒステリックになり逆ギレし、診察室のドアを勢いよく開け、車に向かう。私は小さい頃から医師と対面してきたけれど、治してくれる医師に対して、そんな態度をしたことはなかった。


私の母は、私が4歳で手術を受けるまでに、看護師から「お母さん!そんなに甘やかせていたら、大人になった時大変ですよ!」と叱咤されて以来、「病気だからと甘えさせるのではなく、自立させる」という真情があったから、食事だけはバランスに気をつけてくれ、痩せたかったらお菓子を控える、一緒に散歩するなど協力してくれた。医師は最終的に手術してくれるが、それまでは、自分でベストな状態に保つ必要がある、ことを教えられてきた。


「先生も言ったやろ、体重は手術には負担になるんやで。昔はガリガリやったんやから、痩せられるよ。大丈夫」と笑って励ましてくれた。動画の患者たちはただ寝て、母親は料理を作り、ベッドに置く。診察室では医師に見抜かれた腹いせに、大声で喚き、ドアから出ていく。それまでの体重にさせたのは母親、恋人のせいだ。「あんたのせいよ!」長らく世話をして、隣席で話を聞いていた恋人(おそらく、車も運転していただろう)は、びくっとする。信じられない光景だ。


甘く脂っこいものばかり食べて、我慢せず、食べ続けるのは昔のトラウマのせい、虐めに合うのは不運なせい、、みんな、自分が招いたことではない、のだ。


動画を見ていると、ますますダイエットに拍車がかかる。自分のために、今、失業保険を貰えている間に、身軽になるよう、努力しようとつくづく思う。現在、始めてから1キロ減。ここからが難関だ。