おはようございます、沙久良です
11日から3日間出雲へと出張しております。メールへの返信等は14・15日と休み取りますので、16日より行います お待ちくださいませ。
大変お待たせしました、鹿の王の末裔の続きです 久々に長く連載として書きましたが、今日が最終話です。長らくお付き合いくださりありがとうございました
では、続きをお楽しみくださいませ~
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神崎神社から向かったのは、大山・大神山神社奥宮 大己貴神に鸞からのお礼を伝えるのなら、ここが一番良いだろう。
鳥居を一礼してくぐり、遥拝所を見ると、
「あ、白龍が置いてある。」
誰かの落とし物なのか、白い可愛い龍のブローチが置いてあった
「早く持ち主が見つかるといいね。」
と、声をかけてから参道を歩く
夏休みという事もあってか、参拝者がいつもより多めだった。賑わっているのを見れるのは、なんだか嬉しい。
元気よく駆け上がるように上る家族連れの姿を見送り、その後をぽにょちゃんと2人、ゆっくりと上った もう以前の様な駆け上がる体力は残念ながらない。
遷宮中の為、覆い隠された拝殿を見上げる。この風景を見れるのもそう長くないのかと思い、新しく生まれ変わった拝殿や本殿の姿を見れるのが楽しみだった。
御神体は下山神社に御移動されているので、そちらへと向かう 見える本殿の屋根の新しさ、なんと力強く感じる事か
振り返り、お仮殿となっている下山神社を見た 放たれる御神氣の神々しさに一瞬目がくらむ。
由緒看板を改めて読む。ここの亀井氏所縁の神社 これまでも何度も参拝はしているけれど、特に気にもしたことのなかった亀井氏を近くに感じる
(ずっと待っててくださったんだものね。ちゃんと護りながら。)
ぽにょちゃんだけでなく、全ての亀井氏の血を引く者、そして意志を引く者、それらを守り続けていたのだろう。そしてそれはこれからも変わらない。
(今後は亀井氏に所縁のある人が躍進するかもね。)
そんな事を思った。
お礼参りをするぽにょちゃん
亀井氏の家紋の御神紋が見つめている。必要な事を終えましたと報告し、深々と頭を下げた。
お仮殿本殿へと向かい、大己貴神に鸞からのお礼を伝える。微笑む気配と静かに頷く気配があった
今回はあくまで裏方に徹されるようだ。それならそれ以上深く尋ねてはいけない。
(私からもお礼を。本当に御助力いただきありがとうございました。)
深々と本殿に向かって頭を下げると、破顔された気配があった それにつられて私も笑う
ぽにょちゃんに伝えてくださった事から始まり、ここへと辿り着いた。
大己貴神はそれも知った上で待ってくださり、そしてぽにょちゃんが成長する手助けもしてくださったのだろう。
(全て丸っとお視通しで、盤上の駒を操っていらっしゃるかのように。)
それはもちろん、その人の人生という盤で、その人自身が一番より良い道を選ぶ為に考え、駒を配置し、進めていく。
その盤が、駒が、それこそこの国に生まれた人々全てあり、その全てを同時に視て考え、配置し、さらに過去と未来、同時進行にように重なる次元を視ていらっしゃる。
(まるでスーパーコンピューターだわ。マルチバースな世界を全て把握しての駒の運び、そう、私たちは自分で選んでいる様で選ばされている。)
選ばされるのはより良い未来。
それを人が選ばなくても、また選べる機会を幾度となく与え、道を敷く。
(だからいいんだ、今はダメでもいつか叶う日も来る。今は夜でも、いつか明ける日は来る。例えずっと夜にいても、目が慣れるから夜の美しさを知れる。闇を知らなければ光のありがたみは分らない。光を知らなければ、闇の重要さも知れない。どちらも切り離せない。どちらもあっていい。そしてどちらを選んでもいい。それは全て神の大いなる意志の元選ばされているのだから。)
人には人の役割がある。
神々の大いなる意志に動かされ、選ばされてもいいのではないだろうか。
それはきっと根底で神々と繋がっている人にとっては、本当の望みかもしれない。
小さな望みをたくさん叶えて自信をつけ、大きな望みに挑戦していく。
何度も挫折するだろうし、誰かとぶつかる事もある。
全て望み通りにはならないけれど、それでも何かしらを得る事は出来る。
(留まる事は出来ないから、ただ進む。一歩でも半歩でも。)
続けて行けばきっと望みに近い風景がみれるだろう。
それは自分が思い描くよりも遥かに素晴らしく、輝かしい未来なので、望み以上になるはずだ。
(呪詛という重荷が外れたのだ、自らの道を歩めばいい。その道は楽な事ばかりでないけれど、進めば何かしら掴めるから大丈夫。ぽにょちゃん、貴女はもう自由だ。)
そう微笑んで離れてぽにょちゃんを見る私の肩を、大きな手がそっと包み込んだ
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大神山神社奥宮での参拝を終え、カフェで休憩をする。
暑かったので冷たいものが恋しい。ぽにょちゃんの奢ってくれたコーヒーフロートがたまらなく美味しかった。
「終わったね。」
「うん、終わった。私、自分に呪詛の大元なんてないんじゃないのって思った事もあったけど、宇部神社であんなに気持ち悪くて、どばっと咳き込んで出た時、本当にあったんだなぁって思ったよ。スマホを見返したらね、その辺りから画像がめっちゃあった。それまではほとんど画像がない。」
「ははは、そりゃそうだ、あの呪詛で精神的に徐々に追い詰められている状態で、画像なんて撮らないよね。そんな気持ちになんてならないし、いつもなら気になる風景も目に入らなくなる。」
「うん、入ってないから記憶も曖昧かも…。そんなもの?」
「そんなものだね。呪詛というフィルターを通した世界より、取った世界の方が遥かに視野も広く、色も鮮やかで輝いてみえる。けれど、呪詛という枠の中でしか見れる事は限られている。でもって、自分を追い詰めるように受け取ったり、時に記憶を改ざんする。本当に困ったものよね。」
「うん、困る。けど、こういう人って意外と多い?」
「多いよ。結構いる。いるけど、気付く人とそうでない人に分れる。気付かない人は伝えても上滑りする。話題を次々にすり替えられる。でも、それもしょうがない、だって気付かないってことは今は解く時ではないのだろうから。それなら放っておく。私はボランティアではない。」
「そうだよ~!こんな大変な事、ボランティアでしてはいけないと思う。」
「だよね。だからまあ、呪詛だと気付いて解決する意思がある人のみ手助けするわ。私だって万能じゃないし、全てを受け入れられるのでもない。それにそもそも身体がアホほど生まれつき弱い。」
すでに両肩からズレ落ちるカーディガンを直しながら話す。
「またちっちゃくなったね!」
「本来の大きさに戻っただけよ。」
お互いに顔を見合わせてまた笑った。
「明日からまた頑張るね!」
「うん、頑張って。自分本来の問題は残るから、これからも大きな衝撃はあるかもだけど、乗り越えられない事は無いから。それに、呪詛にかかっていた時と違い、必ずかざむきは自分に優位になる。もし自分をとことん追い詰めて、時に途端人が変わった様に掌を変えす人がいれば、その人は何らかが憑いている可能性が高いから離れて。嫌われて結構。そんな人に好かれたくはない。めんどくさいから。」
「そうする!」
「うん。」
飲み干して、氷だけになったカップを持ち上げ、名残惜しく思いながら眺めた。カシャリと氷と氷がぶつかる音がする。角が削れて丸みをさらにおび、つるりと滑って離れて、またぶつかって離れて、その繰り返しを揺らしながら眺めた。
(人もまた同じだな。)
色んな事を纏って本質が分からなくなってしまうけれど、それを飲み干してしまえば透明な本当がみえる。
(いっそ皆、私と同じくらい視えればいいのに…。)
苦笑いしながらそう思ったが、もし視えたら生活なんてままならないだろうなと思ってため息をついた。それお視て理解し、受け入れられるほど人の精神は強くはない。
(いいんだ、視えないから学びがある。視えなくとも人は分かり合える。人は人を知ろうとする。時にぶつかり、ケンカして、折り合いをつけながら。うん、私と同じくらい視えなくていい。そんなの少数でいい。こんな人間ばかり増えたら、それはそれで別の問題が起こりそうね。)
はははと笑い、そろそろ行こうと促した。
「さて、西へと戻るか。西日が眩しいわ!ガンガンに照らされながら帰ろう。」
「そうしよう!疲れたら言ってね、運転変わるから。」
「ありがとう。でも大丈夫そう、アイスコーヒー飲んだから。」
「そっか、でも無理はダメだよ。」
「うん。」
呪詛を解き、ただの友達に戻って帰る道は、きっと話題に尽きないだろう。行のように押し黙る事もないだろうし。
眩しいくらいに明るい西日は、今のぽにょちゃんのようだと思いながら、西へ向かう度に茜色に染まる空は新たな始まりの祝辞の色の様だとも思った
(茜さす…、きっとぽにょちゃんはこれから自分自身に恋をする。それは自らを認め、自らを褒めるから。そこからまた新たな作風も生まれるでしょう。それもまた楽しみだ。)
呪詛という制約から解き放たれた今、彼女の目にする世界はきっと素晴らしい
そして茜色のようにその身体に流れる血も輝いてる事だろう
(鹿の王で獣の王、麒麟の血の色はきっと茜色なんだよ。)
うんうんと1人勝手に納得し、目を細めて茜色に染まる空を観ていた。
終
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