注意:櫻葉小説です。
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side 雅紀
。。。遡ること一ヶ月前。。。
バーン!!!!!
雅「ニノ!大ちゃん!大変だよ!!!!」
ニ「ちょっと…今まだお店準備中なんだけど…」
大「まーくん どうしたの?!」
雅「やったよ やっとだよ やっとこの日が来たよーーーーっっっ。゚゚(*´□`*。)°゚。」
ニ「もしかして…?」
大「うそ?ホントに?!念願の?!」
雅「うん!!!うん!!!
やっと…やっと念願の企画開発部に異動が決まったよぉぉぉぉーー!!!!!」
ニ「まじかーー!おめでとう!やっとだね!!!」
大「うわ〜!よかったね!ホントよかったね!!!努力した甲斐があったねぇー!」
雅「みんなのおかげだよ…ホント嬉しい
。゚゚(*´□`*。)°゚。」
ニ「努力したもんな?まーくん」
大「うんうん。めっちゃ頑張った!」
雅「チームニノに協力をお願いして3年目にしてやっと!😭」
ニ「長い事頑張ったよ!偉い偉い!」
大「ホントにおめでとう。松潤は?」
雅「さっきメールで伝えた。」
ニ「喜んでたろ?」
雅「うん。すごく!」
ニ「チームニノは松潤が一番の戦力だからな?」
大「ホントそう!」
雅「うん。感謝してる。」
ニ「でもまーくん?ここからが本当のスタートラインに立てたところだからな?」
雅「そっか…そうだよね?」
ニ「こっからスピードあげていくぞ?」
大「振り落とされないようについてこなきゃね?」
雅「うん!ここまでこれたんだから頑張る!!!」
ニ「必死にコツコツ仕事して、毎年、企画開発部への異動願い出して、上司に飲みの席でも必ず希望を伝えて……そうやってやっと翔やんの部署に入れるんだもんな?」
大「長い道のりだったね。」
雅「うん!うんうん!!!ありがとう!!!ありがとう!!!」
櫻井先輩を好きになったのは、8年前。
俺が入社してまだ1ヶ月ぐらいの頃だった。
研修で仲良くなった松潤は1年目から情報システム部に配属され、バリバリ仕事をやっていた。
対して俺は、総務部に配属され、その中でも、会社のただの雑用と言われる仕事。いつも空調の点検や整備担当だった。
なぜかうちの会社は、その頃、空調の調子が悪く、俺はその仕事からなかなか抜け出せず、空調の仕組みばかりが詳しくなるという連鎖に陥っていた。
それでも俺はどんな仕事でも仕事ができることが嬉しくて最初はやりがいを持ってやっていた。
けれど、俺が整備してもまた調子が悪くなる空調のおかげで他の部署からクレームが相次いだ。
『俺って向いてないのかな?』
『他の人がやったら、空調も調子が悪くならないのかな?』
『同期の松潤とかがやったら、立派にこなせるんだろうか?』
『やっぱり俺だからダメなんじゃないか?』
そんな沈んでいた気持ちの時に追い打ちをかけるように、女子社員から直接文句を投げつけられた。
「いい加減にしてよ!こっちは連日大変な仕事を必死でやってるのよ!!!何度クーラー効かなくなってると思ってんの!仕事舐めてんの?!普通にできないんだったら引っ込んで大人しくしてて!!!」
直接そう投げつけられた言葉が胸に刺さって……昼休みに中庭で力なくベンチに座って 頭の中グルグルしてた。
もう仕事を辞めるべきか……
役立たずと言われたも同然で……
現に、本当に役立たずな自分がいやになる……
この頃は落ち込む事が多すぎて
カバンの中に宝物の『カラフルキャロット』の絵本をお守り代わりに入れていた。
それを取り出して
気持ちを落ち着かせるために
1ページずつゆっくりと読み返していた。
まるで自分は
うさぎだな……
にんじんを細かく砕かないと食べられない普通じゃないうさぎ。
普通の人が普通にできるような仕事さえもロクにできない普通じゃない俺。
そんなふうに
絵本と重ねて……
でも絵本と違うのは……
伝説のカラフルキャロットの奇跡は俺には起こらないということ。
きっとこのまま
仕事を辞めて……
クーラーを正しくできないまま
役立たずの負け犬になるんだ。
そんな時………
「あっ!」
誰かの声がして
顔を上げた。
そうしたら……
そこにはすでに会社でめちゃくちゃ有名になってた櫻井翔がいた。
「その絵本!俺も同じのを持ってる!」
そう言って
キラキラした嬉しそうな笑顔で話し掛けてくれたのが
俺が櫻井先輩に初めて出逢った日だった。