注意:櫻葉小説です。



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………涙も出なかった。








潤さんとのやり取りで
困惑してて
頭の中はぐちゃぐちゃだった。




青ちゃんは実家に帰った?

翔は海外に行っている?

潤さんは翔のことが好きだった?

俺は……
翔から振られた?





突然そんなことを信じろという方が無理な話だよ。





だって翔は言ったんだよ。





「期待してていいって言ったろ?不安に思うなよ?」

って。

「一人じゃ頑張れない事でも二人なら頑張れるかもしんねぇだろ?
一人じゃない。雅紀には俺がついてる。」

って。

「話してみて悪化したらすぐに連絡して?駆け付けて抱きしめるから。」

って。







翔が確かに言ったんだよ。






そう言ってた翔は



嘘偽りなく翔だったし翔の言葉だったんだよ。







ネックレスを握りしめた。

握りしめたまま……

ラインにメッセージを入れた。






何度入れても既読は付かなかった。

やっぱり電話をするけど繋がらなかった。







「………翔」






俺は今……
フラれたのに未練タラタラってわけ?

それとも……
はじめから何もかも夢だったのだろうか……?




「あ、アレかな……?
翔は田舎町を渡り歩いて、悩める青少年を救う活動してる人だったのかな……」


「惚れられたらこんなふうに
去っていく……そんな主義とか?
そうだよね。誰もが見惚れるイケメンだもんな…」






立ち上がり……
フラフラと歩いて海へ出た。






翔との思い出が詰まった海は……

水面が陽の光に照らされて光っているはずなのに

まるで
無風で無色みたいに
意味なくただそこにあっただけだった。








「っ……っ!
そんなわけねぇーだろっ……!」






海を目にしたら
涙が大量に流れてきた。

泣くのは違う。

泣きたくない。

泣いたらおかしなこれらのことを認める気がする。

だから泣くな!

泣くのは違うっ!




「翔……を信じる。
信じてる……。だって俺……、あの時……言ったんだ。『待ってる』って。」



翔が
返事をくれるまで待ってるって……
俺は翔に言ったんだ。



どれだけおかしな事が起きようと……
どれだけ信じられないような情報が入ってこようと………

翔に直接言われない限り
俺は信じられない。


だから潤さん……

ごめんだけど潤さんの言ったことは聞けないよ。

諦めて次の恋を探すなんて……

そんなこと1ミリも思えない。






翔は俺にちゃんと答えをくれる。

『待ってろ』って言ってくれたんだから。




待つ。
待つよ。

翔の事……

諦めるなんて絶対できない。

翔が直接俺に話しに来てくれるまで待つ。





携帯を握りしめた。

流れた涙は痛いくらい強く、袖で拭った。

そして流星に電話をかけた。






「もしもし?今いい?」

「おう。なんだよ」

「流星、フラちゃんの連絡先わかる?」

「わかるけど……」

「フラちゃんに聞いてほしい。翔と青ちゃんと、急に連絡が取れなくなったんだ。
カフェも休業になってた。
潤さんは
青ちゃんは実家に帰って翔は海外に行ったって言ってた。
そんなの信じられねぇし
その話が本当だとしても、青ちゃんと話がしたい。
フラちゃんなら、青ちゃんと仲良くなってたから連絡先わかるよな?」

「まじかよ?!」

「頼む。聞いてくれないか?」

「わかった!今すぐ聞いてみる!!!」







いったん流星との電話を切った。

そうして俺は
その間に3丁目のおばあちゃんを訪ねた。







できることはなんでもしよう。

できることなんて限られてるけど……





それでも

こんなこと……
ひとつも信じられないんだから。