注意:櫻葉小説です。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜




どういう感覚かって聞かれたら……

初めての感覚、と答えたかもしれない。

親子で食事して……
そのあとリビングでテレビ見たり晩ごはんどうするか話したり

親父と2人の時間が……

照れくさいけどイヤではなかった。

フワフワするし
浮足立つような気がするけど

自分の部屋には行かなかった。





親父はやっぱり口数の少ない人で

お互い黙ったままの時間も多かったけど……

なんとなく
母さんと3人でいるような不思議な感覚になってて……

きっと無言でいる時間は
母さんがベラベラ喋ってるんだろうな……

なんて
おかしな気になってたから

俺はその感覚と空間が、その時、嫌ではなかった。





夜になったら翔に連絡して……

こんなに
親子関係が修復できたんだ、と言うつもりでいた。

翔に話したいことがたくさんある。

翔が「良かったな」って笑ってくれるのが、簡単に想像できて、それだけで心は喜びに満ちてくる感じがした。




携帯で話すか……
それとも夜に翔と会えるなら
直接報告するか……





出来れば会って話したい。
翔が会ってもいいって言ってくれるなら、
翔の顔を見ながら話して
翔が笑ってくれるのをこの目で見たいと思ってた。




携帯か
直接会うか




どっちだろうと思うだけで
それ以外の事は何も想像できてなかった。






こんな嬉しいことがあった、
翔のおかげだよ、

その報告はどんな形にしろ当然できるものだと疑わなかったんだ。





そのくらい俺は浮かれてたのか?
親父と話し合えて嬉しさで想像力が欠如してたのか?

いいや、違う。






だって誰が想像できるんだよ……

このまま翔に
報告すらできなくなるなんてこと……







そんなこと

誰が想像できるかよ……












その日
佐々木さんから夜も戻れないと連絡が来て

俺と親父はUber Eatsで夕食を食べた。

親父は結局、本当に今日1日はのんびり家にいたんだ。




お互い食事を済ませ……
やっと
俺は自分の部屋へと行った。




部屋に来るとすぐに翔にラインを送った。





翔……
約束通り親父と話した。

そっちはどうだった?

出来れば会って報告会したいな。

今からでも俺は海に行けるけど、

翔も来れる?






………だけど





その日、そのラインに既読が付くことは無かった。