注意:櫻葉小説です。



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「偶然、公園でたむろってる春を見かけたんだ。年上っぽい男女の中にいてね。
4〜5人いたかな。
春はすげー笑ってて。
男たちだけだったら、声を掛けたかもしれないんだけど……男女いたから……
もしもダブルデート中なら悪いなって思って、声を掛けなかったんだ。」


「そうだよね…」


「だけど………
その春の笑顔が……なんか……
通り過ぎた後になってすげぇ気になってきてさ。」


「気になる?」


「うん。
笑ってるのに……笑ってないように思えてきて………」



………笑ってない……


「それで、後からやっぱり気になって引き返して公園に行ったんだけどもういなくなっててさ。」



「その時に
俺は自分に言い聞かせるようにしたんだ。『いや大丈夫。春は幸せなはず。笑ってたのは事実なんだから。』って。」




「あの時俺が声を掛けたら………
春にちゃんと声を掛けてたら………
春の状況を知れたかもしれないのに……
クスリやって、
その売人の抗争に巻き込まれて命を落としたりしなくて済んだかもしれないのに………
俺は………
春を助けられたかもしれないのに………
いや。俺が殺したも同然なんだ。
だって俺が春を母親についていかせたんだから………」





「違うよ。
絶対違う!!!
そんなのは単に生きてるもんの妄想だよ。
あの時ああすれば……なんて思うけど実際はそうしてたって運命変わったのかってわかんねぇよ。過去に縛られるなよっ…翔は今の翔が素晴らしいんだから。素晴らしい人なんだから。
俺!翔が望むなら春さんの代わりになるよ!!!俺が翔の弟になる!!!
翔が苦しまないように……翔が元気のままでいるように!!!代わりになることで翔が笑顔でいられるなら!!!
だからそんなふうに思うなよ!!!」



「お前もそうだぞ?」



「え……?」



「母親を死に追いやったのは自分だと思ってるだろ?違うからな?」



「………俺はっ…、…
俺のケースと翔の…とは…違うから……」



「違わねぇ。
違わねぇよ?雅紀も雅紀のせいじゃねぇよ?お母さん死んだのは雅紀のせいなんかじゃない。」


「………翔」




「………雅紀に初めて会った時、あの時の弟と同じ笑顔に見えたんだ。
春と重なった。
あの時声を掛けなかった事を後々悔やんで悔やんで………
だから雅紀に声を掛けた。
あの時できなかったぶん、この子を少しでも救いたいって思った。
毎日会って毎日確認しながら……雅紀の心に寄り添って……雅紀が春みたいにならないように………
雅紀をいつか救うんだって思ってた。」




翔………




「でもね?
実際は違ってたよ。」



「……え」



「救われたのは俺の方だったかも。
雅紀と毎日会って、雅紀と話すのが楽しくて……雅紀がクスリもやめて変わっていくのが嬉しくて……雅紀といるとすげー癒されてて……
それで……思ったんだ。」




翔は海の方を見てたけど
俺の方に向き合った。




「弟の代わりじゃなく、雅紀は雅紀だなって。ふふふ…当たり前のことなんだけど、そう思って……
弟の代わりに雅紀を救えたら、俺も少しは春に許してもらえるかな?って思ってたのは事実だけど……
でも雅紀と過ごす中で
弟のこととか関係なく、雅紀との時間が楽しくて雅紀だから楽しくてさ。
そういうのをやっと気付けたんだ。
それで、ネックレス返してほしいってお願いした。あれば弟のだから。弟の代わりに……って思ってた気持ちは雅紀に失礼だなって思ったから。」



「そう、なの…?」



「……で、話があるというのはこれ!
これを渡そうと思って。
弟のネックレスじゃなくて、『雅紀のネックレス』としてあげたくてさ?
俺が雅紀に似合うやつを選んで買ってきたんだ!はい!これ。」




翔から
そのプレゼントを受け取る。



「開けろよ?」

「え……う、うん///」





あまりの展開にぼーっとしてた俺に翔が笑いながら開けることを促す。

ラッピングをドキドキしながら開けていき
出てきたケースのフタを開けた。





「すげ…」

「ふふふ、いいだろ?」

「………」

「気に入った?雅紀にぜったい似合うと思うんだよ!」

「………」

「波っぽいだろ?
海が好きなおこちゃまな雅紀にぴったりだと思ってさ!wwwふふふ
な?気に入った?」

「………」

「おーい!雅紀ぃ〜?気に入ったのか?聞いてる?????」







何も言葉が出てこなかった。







ネックレスを返してほしいと言われた時すげーショックだった。

青ちゃんから
それは翔の大事なものと聞いた時もすげーショックだった。

潤さんから弟の話を聞いた時も俺は春さんの身代わりなんだと知ってすげーショックだった。




何もかもすげーショックで……





ショックで……






なのに目の前には

俺のために用意してくれた

俺のネックレスが………




あるなんて………





春くんのネックレスじゃなくて………
『俺専用』のネックレス。








「雅紀ぃーってば?
え……もしかして気に入らない?」




「………




「え?」




「………好き」




「あ!良かった!このネックレス好き?」




「違う。」



「は…?」





「俺……

俺は………翔のことが好き。」








どんな顔をして翔にそう言ったのか覚えてない。






とにかく

想いが溢れて口からその言葉が出たんだ。







「俺は翔のことが………
すげぇー好きなんだ。」









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ネックレスイメージ画。






波っぽいかな☺️