注意:櫻葉小説です。



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「そんな感じで
俺はホントダメダメな兄貴でさ。
春がわがまま言ったり暴れたり泣いたりすると、俺もどうしていいかわからなくて怒ったりもう知らねー!なんて言って放置したり……ぜんぜんいい兄貴なんかじゃなかったんだけど、
それでも春はにぃちゃん、にぃちゃん、ってついてきてくれてね。
冷静になって考えてみたら俺が弟を見てたのって、春が5才〜離婚する10才までの間のたった5年間だったんだ。
なんか幼い頃ぜんぶ面倒見たような感覚になってたんだけどねwww笑えるよな。
その時はとにかくそのくらい必死だったけど……
でもやっぱり俺にとって……すげー大事な家族でね。」


「そりゃあそうだよ。翔だってまだ小さかったのにぜんぶ面倒見てたんだから。朝とかも大変だったんじゃない?」

「朝は春はなかなか起きない子でさ?顔拭いたりして着替えさせたりしたあとはおんぶして学校行ってたwww」

「すごいね(汗)」




「そんなふうに2人で育ってきたのに
まじで突然……
ホント突然親から離婚の説明されて……
弟とバラバラになるって聞かされて……
もうなにがなんだか?
すげー反対したし反抗したんだけど変えられることはなかった。
で、忘れもしないんだけどこう言うんだ。
『翔が決めなさい。春をどっちの方に行かせるのか、翔が決めるのよ』って。」


「その言い方って………どうなんだよ」



「だろ?
………「俺」がどっちに行きたいかを問われるんじゃなくて、「春」の行き道を決めろって言うんだよ。
俺主体じゃねぇの。
まぁでも別に両親から愛されてねぇのはわかってたからいいけどさ?
だから必死に考えた。
春が幸せになるのはどっちなのかって。
俺がそこで間違っちゃいけないんだって。」





「なのに………
神様はいぢわるなんだよな。
………必死に考えたはずなのに………
なのに……
それなのに……
俺は間違っちゃったんだから……」







翔の苦しみが

暗闇の

もっと漆黒へと流れて行きそうで

俺は





思わず翔の手を取った。






翔は俺の顔を見て……

『大丈夫だよ』と言わんばかりに微笑んで………

そして手を繋ぎなおした。






「……で、俺は父親のところへ。春は母親のところへ行った。
俺はそこから
あ、聞いたと思うけど、写真に夢中になってね。
なにせこれまで、弟の世話しかしてこなかったから。
自分が何かを学ぶ事に夢中になることも、遊ぶことも、何もしてこなかったから。
ホントおもしれぇって思って……
写真にのめり込んでその世界に夢中になったんだ。ホント……バカだよなぁ。ちょっと知らない世界を知ったくらいで夢中になってさ。」




まるで

写真に夢中になったことが『罪』とでも思っているような言い方を翔はした。






そんなのが罪なんておかしいよ。

胸を張っていいことだよ。

写真の世界で認められるなんてすごいことじゃん!




そう思うのに………




翔は

俺が口を挟む隙を与えなかった。





「春と離れて数年経って……
偶然、春のことを街で見かけたことがあったんだ。」






そこからの話を………


翔はとても苦しそうに話してくれた。