注意:櫻葉小説です。
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俺はなおも床にへたり込んだままで潤さんの話を聞いていた。
10才というとまだ小4。
そんな子供の頃から5才の子の面倒を見てたのか。
「翔が春を一生懸命世話して世話して……
それなのに翔の両親は、
翔が15才、春が10才の時に離婚することを決めた。自分たちはほとんど子供の世話をしなかったのにお互いがお互いに『子育てもしない』なんてなじりあって……。」
そっか……
だからあの時………
展望台に取り残された子供の泣き声に必死になり探し、
言い訳をした母親に
心を痛めてたんだ………
一生懸命
弟の面倒をずっと見てきた翔だったから……
潤「離婚することになって……
翔の両親は、翔に残酷な決断をさせた。」
雅「残酷な……決断…?」
潤「うん。
それが今も翔を苦しめることになってるんだけどね……」
雅「え……」
潤「両親は離婚して、それぞれが翔と春を別々に引き取る事を決めた。
二人一緒の道はない。バラバラになる道しか与えられなかった。
そのうえで……
両親はどっちがどっちに行くのかを翔に決めさせたんだ。」
雅「え………」
風「そんな!」
斗「翔さんに決めさせたの?!」
流「春くんの行き先も?翔さんに決めさせた?!」
潤「そう。
『春はまだ幼いから、翔が決めなさい』って言われたらしいよ。
翔くんはきっと弟と一緒に暮らしたかったんだと思うよ。自分が一生懸命、世話してきた弟だから……。
でもそれは許されなかった。そして弟の将来を、翔くんが決めなければいけなかった。
翔くんは決められないと訴えたそうだけど、聞き入れてもらえなかったって。迷った末、2人(両親)を見比べた時に、まだ少し父親よりも子供の世話をしていた母親の方に弟を行かせた。
全然世話をしない父親よりはまともに生活できるだろうと思ったのと、経営悪化したのも父親の方が深刻だったから。
だから母親の方に弟を行かせた。それが裏目に出てしまったんだ。」
風「え………」
潤「翔くんは父親の再婚相手がいい人だったから、それからは特別裕福ではなかったらしいけど、とても幸せに暮らせたみたいなんだ…
ところが弟は……
翔くんとは逆に
ひどい暮らしになってね…
翔くんは……
弟を母親のほうに行かせたのは自分だと……
最終的に死ななければならなかったのも、自分が弟を母親のほうへ行かせてしまったからだと………
今でも苦しんでる。」
まるで翔の悲しみを表してるかのように………
カフェ内は一気に静まり返った。