注意:櫻葉小説です。
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「つまんねぇー顔してんな」
「は?」
振り向くと少し離れたところに、逆光で顔はよく見えなかったけど、明らかに初対面だとわかるやつが立ってた。
「そんなに何もかも楽しくない?」
「てめ何言って……」
「思わず声かけたくなるほど、つまんなそうだったから。」
そう言いながら
そいつは俺の方に近づいてくる。
「なわけねえだろ。さっきまでゲーセンでわーきゃー言いながら遊んでたんだぜ?」
「知ってる」
「は?」
「見てた。」
「見てた?????」
「単に通りかかって、笑い声が大きかったから目に入っただけだけど。」
「キモッ!見てんじゃねーよ」
「だから目に入っただけだって。www」
そいつは完全に俺の目の前に来た。
まるで雑誌や映画からそのまま飛び出してきたような見事なイケメンでスタイルもよく、『足、長っ!!!』なんてどうでもいいことが頭の中に浮かぶくらいの完璧なやつだった。
「大きな笑い声に気づいてたんなら分かってるだろ?俺が楽しんでたってこと。」
「笑ってたよ。大声で。」
「だったら…」
「つまんなそーに笑ってた。」
「は…?」
「そんなに面白くない?」
「てめえ、言葉通じるのか?さっきからおかしなことばかり…」
「大声で笑ってたのにめちゃくちゃつまんなそうな顔、してたから。」
「んなわけあるかよ」
「あるから声かけてるんでしょ?ねぇ?名前なに?」
「は?」
「名前だよ。お前の。」
この低音の響く、いい声のせいなのか……
それとも、神々しいほどのイケメンだからなのか……
俺はこいつをすぐに突き放すことができたのにそうしなかった。
そうしなかったことが不思議なのに
むしろ
そうしたくなかった。
そう感じてしまう
どうにも自分の感情がわからなかった。
きっと今日の爽やかすぎるほどの気温と風。
そして波音のせいだろう。
こいつと対面していることが心地よいと感じるはずがない。
「あ、ごめん。聞く前にまずは自分から名乗らなきゃだよな?……俺、櫻井翔。ピチピチのハタチ♡」
「相葉雅紀。」
「へぇー雅紀か、どんな字?」
「みやびに、糸へんののり。」
「高校なん年生?」
「2年。」
「よし!雅紀〜!もう名前も年齢も知ったんだ!俺達マブダチだな!ちょっとこっち来いよ!」
そいつは突然俺の手を掴んだかと思うと無理やり引っ張り
海の方に一直線に向かって行った。