注意: 
こちらは櫻葉小説です。苦手な人は回避してください。


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side M




リビングに移動すると
櫻井さんは買ってきたお惣菜を俺にはしゃぎながら見せた。


「これがテレビで出てたやつだぜ?めちゃくちゃ美味そうだろ?こっちは俺が覗いてたら3割引のシール貼ってもらえたんだ!!!これもこれも3割引!すげえだろ?」


「んふふ。ホント。すごいね!」

「雅紀、テレビ見ながらゆっくり座って待ってろ!夕食の準備、俺がするからな!」

「んふふ。はーぁい。」


惣菜に目を輝かせる櫻井さんがかわいいと思う。………子供みたい(笑)


しばらくすると準備ができたと言って、テーブルに呼ばれた。




「乾杯しよう!」




見ると

お皿に盛り付けられているお惣菜と
なぜかパックのままのお惣菜。
そしてそれに似つかわしくない高級なシャンパン。
というかお皿の盛り付け方は、かなりヒドイ。


「ぶっっ………」

「ん?どした?」

「櫻井さんて……時々天然?ていうか残念?」

「は?なにが???」

「だってなんかもう……全部アンバランス。」

「は???なんで?美味そうじゃん!」

「美味しそう…は美味しそうだよ?
だけど盛り付けのセンスとかマジでゼロwwwパックのままのやつは何でパックのままなの?だったら全部パックのままならまだわかるけど……」

「このパックは丸いから。
丸さがすげー高級っぽいだろ?お皿よりも…」

「クスクスクス……」

「なんだよ!」

「いや…もうなんか…かわいいなぁ〜と思って。」

「意味わかんねぇ!食うぞ!」

「はい。ありがとう。いただきまーす。」

「待て待て!乾杯だから!」

「乾杯?」

「江口さんと雅紀の和解!」

「そっか。色んな事が解決したもんね。」

「おう!」




櫻井さんの優しさが沁みる。
櫻井さんと一緒の時間はパラダイスみたいに楽しくて幸せ。





美味しくご飯を食べた後……
櫻井さんが片付けもしてくれた。


そして
ゆっくり座っている俺に片付けを終えた櫻井さんがやってきた。



パタ………



俺の目の前に一冊の本を置いて微笑んでくれる櫻井さん。





「え……」

「それ、どうかな?と思って買ってきた。雅紀に。」





これ……俺に?

だから帰って来るの遅かったの?

この本を探すために……?





「もちろん必要ないと感じるなら読まなくて……」

ガバっ!!!




俺は櫻井さんに抱きついた。




「嬉しい!!!もちろん読む!読みたい!ありがとう!!!櫻井さんありがとう!」




買ってきてくれた本は
『飲食店を出すには』というタイトルの本だった。

過去の仕事で一番やりがいがあったのがファミレスのホール担当だったと話したことも
櫻井さんは覚えてくれてて

俺が家で料理作るのが好きなのもわかってくれてて……



それでこの本を………




「慰謝料、いつまでも手元にあるのも雅紀はイヤだろ?だったらお店出すお金に使えばいいよ。1000万じゃ足りなかったら、俺が不足分出せるから。雅紀のやりたい店をやればいい。」

「櫻井さんっっっ!」

「飲食店、やりたいんだろ?」

「うん!やりたい!!!」

「ふふふ。そうかな〜と思ってた。」

「時間かかると思う。でも……いつかやりたい。」

「いいじゃん!応援する!」

「ありがとう櫻井さん!!!」





いつか……

いつかね?


あの


櫻井さんのことをいつも見てた思い出の食堂みたいな

ソースのフワッと香る

ヤキソバの専門店……




やりたかったんだ。