注意: 
こちらは櫻葉小説です。苦手な人は回避してください。


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side S



ジジ…


[こちら潤。生田応答せよ]

[こちら生田。]

[津和矢、制圧完了!そっちはどうだ?]

[こっちも綺鳥央樹の身柄は確保した模様です。今から相葉雅紀さんを保護します。]

[了解!良くやったな。]

[そちらこそ津和矢制圧お疲れ様でした!]



潤さんの声は軽やかだった。

長年の悲願だと言ってた津和矢の逮捕が出来たんだ。きっと達成感に満ち溢れてるんだろう。






生田「ではそろそろ行きましょう。相葉さん、立てますか?」


「ぃやっっっ!!!」





俺の背中に隠れるようにして身をこわばらせる。





生田「あっ……、」

ニノ「生田!手を出すなって。今まだ混乱してるんだからさ?お前初対面だろ?触られるの怖ぇーんだよ。お前配慮が足りねぇぞ」


生田「すみません💦…ついっ…」




「雅紀?一緒に立とう?正門のパトカーまで歩けるか?」

「うん………」




もう普通に『雅紀』呼びを受け入れてるところを見ると
さっきの会話もしっかり雅紀の中に入ってるんだと確認できてホッとする。



ゆっくり一緒に立ち上がるけど少しふらつく様子があって、反射的に松岡先輩が支えようとしたけど


「いやーーーーっ」


雅紀の拒絶は続いてた。



松「ごめんっ…つい……」


翔「だ…、大丈夫です。松岡先輩気にしないで……」


「はぁっ…はぁっ…はぁっ…」


「雅紀?大丈夫か?」


俺の腕と背中を爪が食い込むほど握りしめ
俺の後ろから離れず震えてる雅紀。

やはり人数的な圧が雅紀を怖がらせてるんだろうと思った瞬間、ニノさんが提案してくれた。


「翔さん以外は車で待っていよう。先に行っておく。もう綺鳥央樹は捕まってるから心配ない。」


「ありがとうございます。」






「ごめんなさい……」




小さくつぶやく雅紀が切なかった。




「大丈夫。大丈夫。大丈夫だよ。」



生田さんやニノさん、松岡先輩やその他捜査官も全員部屋から出てくれた。




そうしたら
後ろに隠れてた雅紀は俺の前に来てぎゅううううっと正面から抱きついた。





こんな時にこんな事を思うのはものすごく不謹慎かもしれない。

だけど

すげーかわいくてたまらなくなった。






「さくらいさん……」


「ん?」


「あったかい」


「ん。俺も。」


「もうさくらいさんしか……むり。」


「ぶはは。それやべえって。」


「やべぇ?」


「かわいくてたまんねぇってこと。」


「ほんと?」


「うん。マジやべえ。」


「ふふふ」


「雅紀もさ?『翔』って呼ぶ?」


「え?///」


「だって俺達、婚約者同士だろ?」


「えへへ///」


「急には無理か?www」


「うん…///」


「そっか///」


「ねぇ櫻井さん?」


「ん?」


「俺………今からどこに連れて行かれるのかな?」


「あ、……そうだよな?知らないと不安だよな?……今から警察病院だよ。事情聴取も落ち着いたら病院でされるみたいだ。」


「そっか………。」


「入院になるから、まずはゆっくり病院で休んで?」


「う、ん。」



「休んだあとは……その……体の検査とか色々あるかもしれない。そのへんも覚悟しておいたほうがいい。」



「ん……。仕方ないよね?」



「どうしても嫌だったら素直に看護師さんに相談して?」


「でも……検査したほうが犯罪の証拠にはなるんだよね?殴られたあととか……」


「そうだな。」


「じゃあ仕方ないよ。」



『仕方ないよ』と言った後にまた俺の服を掴む手に力が少し入った。



「まだ何か不安なことある?」



「……………」



「何でも言って?」



「…………よ、ね?」



「ん?」



「本当に………すべて………終わったんだよね?」



「終わったよ。すべて終わった。」



「櫻井さん………」



「雅紀のお父さんも弟さんも警察がしっかり見つけ出してくれる。津和矢はもう捕まったから安心して?」



「そっ、か。」



「ぜんぶ終わったよ。地獄だったろ?もうそれは終わった。」



「うん。うん、そうだね。ありがとう。言葉で聞きたかった。『終わった』ってハッキリ聞けてよかった。」



「終わった。終わったんだ。頑張ったな?」


「うん。」



「退院できたら迎えに行くから。俺んちに帰ろ?」



「えっ………」



「もう離れないから。」



「ぅ………っ、……グズッ……ぅ…」



「雅紀………帰ろうな?」





溢れ出す涙は

俺の胸でぜんぶ吸収してあげたかった。

つらい思いいっぱいしたな。

我慢もいっぱいいっぱいしたんだな。

切なくて

胸の中にいる雅紀を幸せで満たしたくて

でも警察病院に行かなくてはいけないもどかしさで胸がぎゅっと締め付けられた。





「櫻井さんの家に………?俺………」


「うん。」


「俺………、行っていいの……?」


「帰るんだよ。うちに。
迎えに行くから、一緒に帰ろう?」


「うん……。グズッ……」







顔を上げると

涙でぐちゃぐちゃなのに嬉しそうに恥ずかしそうに笑った。






「もう歩ける。
櫻井さんの家に帰るのが決まってるなら……俺………頑張れる!検査もちゃんとやれる。」


「そっか。良かった。じゃあ、パトカーまで行こう。」



「うん。」








──────そうして





雅紀はパトカーに乗り込み

警察病院へと入院した。





終始、ずっと俺にしがみついてはその他の人をやっぱりまだ拒否ってたけど

それでも頑張って病院に行った雅紀はエラかったと思う。


病院でも
同じように俺以外には誰にも触らせようとしなかった。



病院まで付き添ってたニノさんがボソッと言った言葉がなんだか嬉しくてたまらなかった。



「あれだけ翔さんしかイヤって全身で示されると………翔さんもう一生、手離せないな?」