注意: 
こちらは櫻葉小説です。苦手な人は回避してください。


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side S



少し夜風にあたりたい、と……

時間をもらった。



潤さんがベランダに誘導してくれて
一人にさせてくれた。



二人の優しさが身に沁みる。





ぁっ………さくらいさ…ん




相葉くんの甘い声が聞こえる。

肩のあざを震わせながら

俺の名を呼び求める相葉くんの姿が………






あの相葉くんが

今は葉月となって

VIP扱いを受け………囲われている。





 
俺にとって、とてつもなく苦しい現状に

目を背けたくなるけど




それでも

この現状に力を無くしてる場合じゃないことだけはわかるんだ。





「落ち込んでる暇はないよ………
再会するって、決めたろ………」




一人でつぶやく言葉は
とても虚しく夜風に吸い込まれて消えていく。



一人で考えてたら………
ふと
自分のしていることが無意味なことのように思えてきた。



このまま見つけ出そうとして本当にいいのだろうか……



俺は………単に馬鹿な事をしてるだけなんじゃないだろうか………



『ずっと前から好きでした。』


あのメッセージは過去形であって相葉くんにとって終わった事なのではないだろうか………





カタン………





「寒くない?」


「智さん………」





ベランダの椅子に座り項垂れている俺の横に

端にあった小さな椅子を持ってきて座ってくれた。



「一人で考えて……落ち着いた?」


「……………」


「やっぱり相葉雅紀くんは肩にあざがあったの?」


コクンとうなづく。



「じゃあやっぱり葉月は相葉雅紀くんだね。」



コクンとうなづく。



「ショック………だよね?」


「……………」


柔らかな空気の智さんが同調してくれたから……
だからだと思う。

俺は包み隠さず本音を言葉にできた。





「ショック……です。すごく。」


「だよね。そりゃそうだよ。」


「俺………このまま捜してもいいんでしょうか?」


「なんで?」


「このまま捜しても無意味な気がして。」


「無意味?」


「津和矢という人は確かに悪い事をたくさんしてる人かもしれない。
だけど……要するに……相葉くんを大切に迎えてるってことじゃないんですかね……」


「うん。かなりVIP扱いしてるらしいよ?豪邸に住まわせて何不自由ない暮らしかもね?相葉家はかなり貧困に苦しんだみたいだから、初めての豪邸暮らしに楽しさを感じてるかも。。。」


「ですよね………」


「うん。」


「自分から行った……って事でもあるし。」


「んふふ。わかんないけどね。確認してないし………」


「確認?」


「うん。だって本人に聞いてないからさ。『今、楽しい?それは望んでること?』って。」






確かにそうだ。
本人に何も確認してない。



いいのか悪いのか


無意味なのか意味のあることなのか


現時点では何もわからない。





「俺………きっと怖いんです。」


「うん。」


「相葉くんが………他の人に抱かれてるのが………そのことが………ストレートにショック………」


「うん。」


「そして………他の人に抱かれてる相葉くんから………完全に『あなたはいらない』ってもしも拒否されたらと思うと………怖くて………」


「うん。」



「俺ってカッコ悪い………」



「うん。」



「どんな事でも目を背けず、彼を見つけ出そうと思ってたのに………」



「うん。」



「あっさり逃げたくなってる………」



「うん。」



「あの3日間……きれいな思い出のままで終わらせておけばよかったのかも………」



「うん。」





カラン………




いつの間にか潤さんもベランダにハイボールを手にして、来てくれてた。





「情けないですね………」



「うん。」



「はぁ………いやになる………」



「うん。」

「だよな。」




「あ〜もう!自分のことばっかり!相葉くんが幸せなのか、苦しんでるかもわからないのに!!!」


「うん。」

「だな。」



「ぐるぐる考えてても意味がねぇ!本人に確認するまで諦めなきゃいいってだけなのに!」


「うん。」

「おう。」



「俺………
やっぱりちゃんと捜します!!!そしてちゃんと再会を果たします!!!
他の男に抱かれてても………
それでも俺は彼を好きなんだからしかたないんですもん。」



「うんっ!」

「おう!そーだそーだ!」




立ち上がると
潤さんからお酒を手渡された。


「じゃあ飲もう!付き合うぞ!」


智さんからは背中をポンポン!ってされた。









二人の存在がとても温かだった。



ショックを受けた俺に
何も言わず寄り添ってくれた………

自分で答えを見つけるまで待ってくれた。

そして
笑顔を向けてくれた。

ショックな気持ちもカッコ悪い気持ちも……
あっていいんだと言われた気がした。

そんな情けない気持ちを持ってしまっても
それでも認めてくれる二人に

すごくすごく救われた。





仲間がいてくれることの力強さと大きさを知った。





そしてもう大丈夫だと思えた。

現に

他の誰かに抱かれてても

俺は相葉くんを好きなんだから。




嫉妬で苦しくなっても………
ショックさが拭えなくても………

それでもやっぱり好きなんだから。







どんな事があっても………

ちゃんと相葉くんと再会を果たす。






智さんや潤さんやニノさん。
それに松岡先輩がいてくれる。





だから前を向けるって思うことができた。