注意: 
こちらは櫻葉小説です。苦手な人は回避してください。


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予約したつもりで、し忘れてました💦
遅くなってすみません💦




side S


「おおー!翔くんじゃん!!!久しぶり!元気だった?」


靴屋を訪ねた。

おじいちゃんが亡くなった時
息子さんが俺が泣いているのを見かねて泊めてくれたことがあった。


「その節はお世話になりました。おじいちゃんにお線香をあげさせてもらっても?」

「どーぞどーぞ!上がって!」





おじいちゃんにお線香をあげた後
お茶を出してくれた息子さんに向かい合った。


「お仕事順調?」

「はい。」

「防衛省だろ?大変だろうね?」

「まぁなんとか。」

「翔くんだから心配はしてないけどね。」

「あの…お聞きしたいことがあって。」

「ん?何?」

「人を捜してるんです。」

「人?」

「ここの向かい側にいらっしゃった相葉さんなんですけど…」

「あ〜……そこの一家はもう誰もいないよ」

「誰も?」

「1年くらい前まではいたんだけど……
とはいえ、食堂を閉めたのはもう何年も前になるかな…」




そうなんだ………?



そもそも俺は一度もこの食堂で食べたことがなかった。




うちの母親は共働きで料理はたまにしかしなかったけど
それでも毎日俺の分の用意はしてた。
お惣菜やお弁当をスーパーで買って置いてくれてた。

毎日欠かさず用意はしてたから
俺も夕食を食べに外に行くってことはあまりしなかったんだよな…

そういう理由もあって
相葉くんちの食堂を利用したことはなかった。



「借金あったみたいでさ?取り立て屋がいつも来てたから。」

「えっ……!?」

「たぶんヤクザだろうね?ものすごくガラの悪い連中だったよ」

「ヤクザ………」

「オヤジさんの作る定食美味かったんだけどなぁ……。息子のまーくんってすごく良い子がいたんだけどさ?その子が中学くらいの時から取り立てのやり方も悪化してさ?店の看板壊されたりゴミまかれたり押しピンまかれたりいやがらせの貼り紙ベタベタつけられたりさ?
そのたびにまーくんが清掃して近所に謝りにまわってた。
うちにも何度も来てくれたよ。」



………言葉を失った。



相葉くんの過去が想像を越えるもので
体が震えるような感覚を覚えた。




「商店街の自治会でも問題として議題に上がった事があったけどさ?まーくんがそんな感じの良い子じゃん?だから見守るしか無いかって話になったんだ。本当なら迷惑だから商店街から出てくれって言われかねない状態だったんだ。」



「当時オヤジさん入院してたしまーくんの弟いたんだけどその子も引きこもりでさ?あの時はまーくん必死にバイト掛け持ちして家庭を支えてたよ。
うちに謝りに来た時に俺、言ったんだ。
『まーくん、辛くない?まーくんだけが背負いすぎてない?』って。そしたら『うちはいつもこんな感じなのでこれが普通なんです。』って。なんか、淡々とそう言ってたな……」



「その後はオヤジさん退院し、かずきくんは学校行けるようになって、オヤジさんも食堂閉めて働きに出てさ?まーくんは相変わらず仕事ひたすらしてたっぽいんだ。」


「その『まーくん』を捜してるんです。今どこにいるかご存知ないですか?」


「さぁ?
いつの間にか見かけなくなったよ。まーくん、家を出たのかなぁ?って思ってたけど。まーくんを見かけなくなった後しばらくしてオヤジさんもかずきくんも見かけなくなったな。見かけなくなる直前までとにかくずっとヤクザが出入りしてたよ。怒鳴り声とか物が壊れる音とか頻繁にしてたよ。」


「………そうですか………」


「そこの二階が自宅になっててさ?一階が食堂だろ?今はどっちも閉まってる。」


「因みになんですけど、
その時来てたヤクザって、どこの組とかわかりますか?」


「そんなこと聞いてどうすんの?」


「え……いや。」


「仕事関係?防衛省での調査がなにか?」


「いや…そんなんじゃないんですけど……」


「あんま危ないことに首突っ込むなよ?おじいちゃんが大好きだった翔くんが危険な目に遭ったら俺が天国から怒られるんだから。」


「お世話になりましたもんね…」


「翔くんのこと、大好きだったもんな……」


「ふふふ」


「まーくんもさ?おじいちゃん亡くなって少し経ってから、線香上げに来てくれたんだよ?」


「そうなんですか……」


「そういえばその時……まーくんに、翔くんの話をしたなぁ。防衛省の話。」


「えっ?!」


「新聞記者目指すんじゃなかったんですか?ってどうもおじいちゃんから聞いてたみたいでさ。
おじいちゃん……あんまりお喋り好きではなかったけど……翔くんのことだけはよく話してたから。」


「そうですか………」


「まーくん……翔くんのことすごく食い気味で聞いてきてたよ?あれはアレ♡かな?ってちょっと思ったんだ。」


「……え///」


「ほら、普段はさ?良い子なんだけど、けっこう淡々としてる子なんだよ。外部にあまり関心を寄せないというか……
まあね、あんな境遇だったから……夢とか希望とかは持たないようにしてるって感じだったかなぁ。
でも……翔くんの話聞く時だけ……なんていうか……目が輝いてたっていうの?食い気味で聞くし、目はキラキラしてるし、聞いた後は嬉しそうに笑ってたし……
けっこうわかりやすいなって思ったよwww
あ、ごめん。こんなこと言って不快に感じたらごめんな?翔くんマジでモテるからさぁ。慣れてるだろうけど。。。」




ずっと前から好きだったと書いてくれてた事を、実際にこうして人から聞くことになると、余計に胸が熱くなる。



会いたい気持ちが加速する。







「で!?!?」

「『で』って何?」

「ヤクザですよ!知ってるんですか?知らないんですか?一家がいなくなる直前まで奴らは出入りしてたんですよね?!」

「あ〜」

「あ〜って!!!」

「ホントに翔くん危ないマネとかやめてよ?」

「わかってますよ」

「鬼面組の奴らだと思う。」

「鬼面組……」







それは小さな暴力団というよりは

そこそこ名の通った暴力団だった。







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「鬼面組」
もちろん大病院占拠から取った名前っすよ。武蔵の敵といえば鬼の面だから。

奇面組じゃないからねーーー🤣🤣🤣

(年がバレる)