☆櫻葉小説です。




Side S ←翔ちゃん目線です。



「「「「「かんぱ〜い!」」」」」




みんなで集まる、今日この日、



どういう経緯(いきさつ)でなのかは俺は知らないけど

今回は

相葉くんのマンションで飲むことになった。




相葉くんのマンションに来ること自体が久しぶり。

ほとんど来たこともなくて、中に足を踏み入れるだけで緊張していた。






いつも通り
美味しいものを食べ、お酒も進み、



5人でワイワイ騒ぎながら時間が過ぎていく。






相葉「翔ちゃん、はい」





グラスについた水滴を気にしていた俺に気づいた相葉くんが

おしぼりを持ってきてくれた。

相葉くんちで飲んでいるからだろう……

いつもよりみんなのことを気にかけてくれている。





翔「ありがと。」





おしぼりをもらう手がちょっとだけ震える。




おしぼりを俺にくれる……

たったそれだけで、いとも簡単にドキドキしてしまう自分の心が

情けな過ぎて嫌気がさした。







どうして俺の心臓は言うことを聞かないんだろう……

あれだけ
この恋心を終わらせようと言い聞かせているのに……

自分の頭とは全く別物みたいに

心はいつまで経っても相葉くんにドキドキと反応してしまう……







なんで相葉くん………?


なんでこの5人の中の1人を好きになったりした………?





完全に自分の片想いだとわかっている相手……






……なんで恋心が消えない?






渡されたおしぼりをしばらく見つめながら

自問自答して落ち込んでいた。










そうこうしていると

ニノの相葉くんへの占いが始まった。


相葉くんにこれ以上興味を持ったらいけない俺は

みんなが集まって取り囲んでいるソファーには行かずに

ひとり

ダイニングテーブルで飲みながら

みんなの様子を見ていた。







ニノ「……あ、なんかちょっと良くない感じが出てるよ?」

相「えぇ?!」





ニノ「……んー……ちょっと待って?」

相「はい。」







ニノ「気をつけたほうがいい兆しが出てるな……」

相「マジ?!」






ニノ「………何か心配事とか悩みとか、ある?」


相「ええーと……あぁ、悩みは少しある。」

松潤「なになに?どんな悩み?」

大「………」






相「ニノには、前少し話したんだけど……
今、しつこく言い寄られている人がいて、何度断ってもなかなか諦めてくれないんだ」



松潤「えー!それはちょっと悩むなぁ」






………知らなかった。

相葉くんにそんな人がいるなんて、、、

途端に心臓がズキズキと痛んだ、、、






相葉くんならモテるだろうから

仕方がないこと。

俺が気にすべき問題ではない、、、








ニノ「占いに出てるのもそれだな、きっと。」

松潤「……えっ?どう出てるの?」



ニノ「今、断ち切らないとまずいことになるって。」

相「嘘だろ?!!!!!」

大「……えー」







ニノ「ちゃんと断ってんの?」

相「ちゃんと断ってるよ!!!!」

松潤「どんな断り方?」

相「かなりはっきり言ってるよ!『あなたと付き合う気はありません』って。」




松潤「それでも相手は諦めないんだ?どんな人?」

相「……男の人なんだけどね?」

松潤「男?!!!!!」







男?!!!!!





俺と同じ『男』に言い寄られている相葉くん


相葉くんは……


どう思っている……?







相「うん男の人なんだ。同じ部署で先輩だった人。
今は移動して部署は変わったんだけど、今もしょっちゅう連絡が来て、デートに誘われたり、何度も告白されたりしてる……」

松潤「うわ……そりゃ大変だな……」

相「……うん。結構、悩みなんだよね……」

松潤「いっそ付き合ってみるとか???そんな気はないの?」

相「うん。悪いけど全然そんな気はない。」

松潤「男の人だから?」

相「それもあるかもだけど、その人と……って考えられないんだよね……」







『それもあるかも………』


そうだよな………







ニノ「ほっておくとストーカーみたいになるかも。。。占いで出てるから。」

相「え?!マジ?!ストーカー?!」

松潤「まずいよ!それ絶対まずいよ!」

大「うん。まずい。」

相「えーーー?!ねえどうしたらいい?!
ニノ!解決方法も占えるの?!」

ニノ「オッケー。任せて!」






焦ってる相葉くんの様子から

本当に困ってるんだなって伝わってきた。




複雑な気がした。




相葉くんがそいつにその気がないのはホッとしてるのに……




なのにまるで自分の恋心も

相葉くんの『困る』対象になっているように思えて

やっぱり胸がズキズキと

痛んでた、、、






ニノ「あ、……あぁ!!!」

相「え?!なになに?!」

ニノ「ちゃんと突破口があるみたい!」

相「うっそ!良かった〜!」

松潤「相葉くん、良かったなぁ!」

大「……うん。良かった……」






ニノ「『周りの助けを借りる』って出てる。自分一人での解決ではもう難しいみたいだね?」

相「え?!」

松潤「『周りの助けを借りる』って???
俺達で良ければ何でもするけど?!何したらいいんだろ…???」

ニノ「う〜ん。そこまで具体的に占いで出るわけじゃないから……
そこは俺らで考えた方がいいと思うんだよね?
とにかくまーくん一人じゃ解決は絶対にできないから、俺らで何か考えよう!」

相「え〜?みんなごめん……」

ニノ「いいよいいよ、全然!」








松潤「こんなのはどう?」

相「どんなの?!」








松潤「相葉くんに恋人が出来たことにして、この中で誰か相葉くんの恋人のフリするんだよ。」

ニノ「お!それいいじゃん!」

大「……うん。」

相「ええ?!恋人?!無理だよーーー!」








『無理』…………


俺達と『恋人』が『無理』…………





ニノ「別にあくまでも『フリ』だろ?ホントに恋人になれって言ってねぇし?」


相「あ、いやそーいう意味の『無理』じゃなくて……俺嘘つけないから無理じゃねぇかって意味。」

ニノ「あ〜!そっちね?」

相「うん。」







……ちょっとホッとした…………


『恋人』が『無理』じゃないんだ………







そしたらニノがとんでもないことを言い出したんだ。








ニノ「だったら嘘だと思わなければいいじゃん?」

相「………え?」

ニノ「『俺は本当にこの人と付き合ってる』って思いながら練習するんだよ」

相「そんなのだめだろ!」

ニノ「………なんで?」






相「………俺………間違って本気になったりしそうだし………」








相葉くんの爆弾発言に

全員が一瞬、シンとなった、、、