✴・※・✴・※・✴・注、櫻葉小説です。





Side S  〜翔・過去の回想〜





何とかして泳ぎつつ二人で海から上がって

一番近くの家
(以前畑仕事をやったことのあるお宅)

に頼み込んで

シャワーを浴びさせてもらってバスタオルや着替えも貸してもらえた。





そのお宅には丁寧にお礼を言って

外へ出た瞬間

俺はまた雅紀を怒鳴りつける。





「雅紀!今、秋なんだぞ?!
風邪引いたらどうするんだよ!
大体海に入るなんて溺れたらどうすんだ!
危ない事するんじゃねえぞ!!!」


「もうしょーちゃん大げさだなぁ……
俺、泳ぎ得意だから大丈夫だって!
泳ぎって言うか
運動全般得意だから〜」



「泳ぎがいくら得意でも
お前!海の怖さをなめんなよ!!!」




「え?!しょうちゃん何か海で大変なことでもあったの?」




「何もねぇ!」



「何もねぇーんか〜い!」



「なくても海が危険なことくらいわかんだろ!!!!!」



「だ〜か〜ら〜!大丈夫だってぇ〜」






雅紀が飛び込んだ瞬間

俺が、血の気が引いたことも知らないで

怒っても

全然真剣みを帯びて話を聞かない雅紀に

心の底からイラついて






雅紀の両頬を、ガシッと両手で掴んだ。





「っっ!!!!」




びっくりして目をまんまるにしている雅紀を無視して




俺自身も顔を近づけ、

ドアップの状態で言い聞かせる。







「びっくりしたんだからな!
心配したんだからな!
、、、心配するようなこと、、、するんじゃねえよ!
、、、危ねぇーだろ?!」








俺は真剣に雅紀に伝えているのに

なぜか雅紀は

俺から、戸惑った様子で目線をそらす。






「聞いてんのか?!」





「しょ、、、しょーちゃ、、、/////
わかったから、は、離して/////」





「雅紀!大事なことなんだからな?もっと
命を大事にしろよ!
お前に何かあったらって思うと、、、
俺、、、耐えられねぇ、、、」





「しょーちゃん、、、/////」






一瞬、目線が合わさったけど

またすぐにそらす雅紀。








伝わってるんだか伝わってないんだか
わからない状況に

また俺はイラついて

雅紀の両方のほっぺたをぎゅっと潰した。




「いでででででーーーーっ
離せーーーーーっ!!!!
バカ翔〜〜〜〜〜!」






そこまですると、

すっと離して背中を向ける。








「何かあってもさっきみたいに

俺が絶対守るけどな。」







照れ臭くなって

背中を向けたまま言ったけど

本心は強い気持ちでそう思った。








「 /////、、、うん。」







後ろで小さく返事をした雅紀は、





しばらく歩いてから











それから、









俺の手をそっと繋いできた。










ん?










男同士で手を繋いで歩くなんて

違和感あることをされてるのに







離そうと思えば出来るのに








その時俺は、


その違和感よりも











心がぽっとあったかくなるのを




感じて





その手を振りほどく事を







しなかったんだ。