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お姉さんと、ロビーで話すことになった。




姉「昨日はすみません。あまりいい対応しなくて。」

翔「いえ、とんでもないです。大変なときに、すみません。今日もお伺いしてしまって。容体は、どうですか?」

姉「変わらないです。」

翔「犯人は?」

姉「まだ捕まっていません。通りすがりの犯人か、顔見知りか、それもわかっていないそうです。」

翔「そうですか、、、」



姉「相葉さん、、、昨日、謝っていらっしゃいましたよね?」

翔「はい。」



姉「話を聞かされたとき、、それどころじゃなくて。あんな風に帰ってほしいなんて言ってしまって。
一番悪いのは犯人なのに、こうすればこうじゃなかったんじゃないか、とか、そんなことも頭をよぎってきて、、、すみません。」

翔「いいえ、当然です。申し訳ありません。大変な時に、心乱すような話をしたのは、こちらですから。

姉「いいえ。いいえ。本当は、、、

相葉さんに、、、ものすごく感謝をしてるんです。」



翔「え?」

姉「、、、あいかは、、、これまで何度も職場を代えてきました。
あの子は、、あの容姿のせいで、学生の頃から女友達には裏切られたり、いじめを受けたり、

社会人になってからも、セクハラに合ったり、同僚からのいじめに合ったり、偏見を受けたり、、

いつも、そんな目にあってたせいで、、ものすごく気の強い子になっていったんです。

気の強さで、ガードするしかなくて、いつしか、その性格で、まわりから、毛嫌いされるようになりました。」

翔「そうだったんですか。」

姉「でも、、Sunshineに入ってから、、相葉さんに仕事を教えてもらうようになってから、、、相葉さんは、容姿で判断することなく、一人の人間として、叱ってもくれるって。だから、、、仕事が、楽しいって、、私に、、、嬉しそうに、、、っっ、、」



途中から、泣きながらお姉さんは、話す。



姉「あいかはいつも、、言ってました。自分はつい今までのように、悪い態度しか取れない、、でも、、、なのに、、相葉さんは、、ちゃんと教えてくれるって。、、自分がどれだけ、悪い態度でも、、諦めずに、関わってくれる、、、、

今までの職場のように顔で判断されてたことなんか、、
今の職場は全くなくて、

実力を見てくれる。、、だから、、頑張りたい。、、、実力をもっとつけたい、、初めて仕事が楽しいって、、




あいばくんに、教えてあげたい、と思った。



高徳さんのことは、あいばくんなりに、悩んでた。


でも、ちゃんと、


あいばくんの愛情が伝わってたんだな。



感動してる自分がいた。





姉「感謝してます。本当に。


なのに、帰ってほしいなんて、言ってしまって、、、

あいかが、目覚めたら、私、絶対怒られますね?」



翔「いいえ、お姉さんの状況で、、、

当然です。

あいばくんなら、大丈夫です。それよりも、お姉さんが心配です。

どうか、

ご無理なさらずに、、よろしければ、俺、高徳さんに付いてますので、一度戻られますか?」



姉「いいんですか?」


翔「もちろんです。」


姉「すみません。こんなこと、お願いするなんて、、うちは身内が姉妹ふたりだけなので、助かります。」


翔「大丈夫です。ご用事、されてきてください。僕は今日、仕事休みなので。遠慮なく!」





お姉さんは、何度も頭を下げながら、




携帯番号を俺に渡すと、あとは任せてくれた。




マリーゴールド、



高徳さんにも買ってくれば良かった。




集中治療室を、ガラス越しに見ることができる位置まで移動して、



意識戻ってくれ。



そう願いながら、高徳さんを見守った。



俺も、、高徳さんと同じだな。



あいばくんが、諦めずに、接してくれたから、今こうしてここにいる。



あいばくんの愛情で、


おれと同じように、



救われていく人がいるんだ。



どうか、




どうか、戻ってくれ、高徳さん。