いやー

肉がさ。

またヤバくなってたのだ。

この店で二度目だよ、二度目。

期限は過ぎてないのに、冷蔵庫に入れてあったのに、
色がヤバくなって、臭いもやばくなってた。

二度目。

二度も同じ目にあって、またクレーム言うならば、なんだか今度は自分が
クレーマーにでもなった気分になる。

悪い事をしていないのに、悪い事をしているかのような。

ポリスメンとすれ違う時に、怪しくないよう歩行する”てい”を装うかのような。
銀行の中では緊張感を持って自然を振る舞う、僕は銀行強盗ではないですという”てい”のような。

電話する。
「すいません、肉の色が若干黒ずんでる感じでして、、、」

なぜか低姿勢。

僕はこういう時、必ず下からいくようにしている。
そして、そんな僕の低空飛行操縦を更に低く飛んできたら、そのまま社会性をもった
態度で望む。
ただ、少しでも上を飛ぶ様な態度に出たら速攻撃ち落とす。

電話の相手はとてもペコリンチョだった。
というか「黒ずんでいた」と僕が云ったあとは、電話口の向こうの人が勝手に喋ってくれた。

「100g、289円のですね」
「日付は2/28ですね」
「国産~肉ですね」

なるほど、すでにこの肉の購入者から数回クレームが来ているとみた。

代りの肉を持ってきてくれると云った。

肉を食べる気分だったので返金じゃなく「肉」を頼んだ。

1時間もしないうちに届けてくれた。

僕が買った肉より「45g多めのものをご用意致しました」と云って新しいのをくれた。
そして、電話代として丁寧な封筒に包まれた「30円」ももらった。

やったー!45gサービス!そして30円もらったー!ラッキー!

な、わけない。

45g多めの肉と30円を届けてくれた彼は本当に申し訳なさそうにしている。
が、バイトっぽい。新人っぽい。
言葉がつながってない。挙どってる。

彼からの言葉は「言わされてる」感満載だ。
言葉に誠意と気持ちはないけど、とても彼はつらそうだ。

だからヤなんだよなー こういう子が来ちゃうと。

キれられないじゃん。

僕は彼の向こう側にいる、エラそうにしながら現場の管理を確保できない
ダメおやじに、この黒ずんだ肉を食わせたいのにー

そして、
彼の日常は、他の家では罵詈雑言を浴びて、毎日家路につくのかなー
彼の飲むビールはうまいのかなー
彼の観るテレビは面白いのかなー

と思った。