災害報道を見ているとNHKも民放も一部で被災者の直接メッセージを流すようになってきています。手持ちの紙にご自分の名前や知らせたい相手の名前を書き込んで直接その方に伝えるメッセージです。

 地上波放送では一寸前までは考えられなかった手法だとおもいます。しかしやっと地上波も多くの方の進言(がきっとあったのでしょう。)で動き始めたようです。日常では考えられないこの個人宛メッセージは大災害の被災者の皆さんだからこそその伝え方の必要性が優先されて来たとおもいます。NHKでは教育テレビで文字による安否情報を流し続けていますが、NHK総合テレビ、民放でもこの非常時にこのような時間をとることはもっともっとしてもよい「本来あるべき放送の原点」でしょう。

 記者が客観的に伝える災害の全体状況は必要ですが、個人だけではなく役場職員や消防職員、国の官僚のみなさんだって取材されるだけではなくマイクをもらってほんとに伝えたいことを直接語りかける放送がもっともっと出て来てよいと感じます。放送へのパブリック・アクセスといわれるこの考え方は日本では15年も前から論議されてきましたが緊急性と信頼関係を元に今こそ多いに放送局はマイクを住民に手渡してほしいと考えます。

 この伝言板の使い方で十分見ている我々にもとても大事な情報が伝わってきます。生の声が伝える被災の実態、真実の姿を放送局は真摯に受け止めて被災者、被災地に役立つ放送を実践してもらいたいと切に願います。もう一言付け加えるなら、スタジオのキャスターの顔が同じ画面になくてよいのです。如才ない受け答えは必要ありません。気持ちをそのまま受け止めてあげれば十分すぎるほどお役に立てます。

@写真は読売テレビ 「ミヤネ屋」の1シーン