当たり前のグラフが「統計の詐術」??? | 猫の遠ぼえ『次の世代に残したい日本』

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『ひろのひとりごと』の山本博一さんがハイパー・ビジネス・オンラインに寄稿した『「アベノミクスは失敗」に反論。どうみても雇用は改善している』が反響を呼んでいる。

ひろさんの『「アベノミクスは失敗」に反論。どうみても雇用は改善している』
2015年05月02日

論説の詳細はぜひお読みいただくとして、一番のポイントは「失業率は下がっているが、そのトレンドはリーマンショック直後から続いているからアベノミクスの成果ではない」という批判に対する反論で、ひろさんらしくグラフを使った分かりやすく分析だ。

ところが、ハイパー・ビジネス・オンラインへの寄稿ではひろさんの先輩らしい菅野完氏が、さっそくこの論説に異議を唱えている。


菅野完氏の『アベノミクス批判への反論」が自ら陥った「統計の詐術」』 
2015年05月03日


私はこれを読んで、指差しクイズ何とかの議員や「官邸の圧力は自分がそう感じるからある」の某元官僚の顔が思い浮かんだ。名指ししたうえで、決めつけやレッテル貼りオンパレードであり、批判の矛先は、あちらこちらに向いている。

そこで、タイトルに「統計の詐術」とあることから、ここではひろさんが提示したグラフに関する批判に絞って検証してみた。

ひろさんは、まず失業率の推移を示す次のようなグラフを示している。これが「失業率は下がっているが、そのトレンドはリーマンショック直後から続いているからアベノミクスの成果ではない」との批判の根拠だから、最初にそれを読者に紹介しているのである。


たしかに、このグラフだけを見るとその主張は正しそうに見える。しかし、そもそも民主党政権時代に雇用が改善した実感などないし、他の雇用に関する指標はそれを裏付けている。そこで、ひろさんは、「完全失業率=完全失業者数÷労働力人口」だと説明したうえで、次のグラフを示している。


「失業率」を分解すると「失業者数」と「労働力人口」になるが、その推移からはグラフに書かれている通りに転換点がはっきりと分かる。失業率はリーマンショック以降ずっと一貫して下がっているが、中身が全く違うことがこれで明らかになったのである。

ところが、菅野氏はこれがいけないと言う。

まず、最初のグラフが「率」なのに、次のグラフが「数」に変わっているのが欺瞞だ、統計トリックだと述べる。しかし、欺瞞も何も「完全失業率=完全失業者数÷労働力人口」なのだから、「率」が「数」になるのは当たり前ではないか。こういうのを「根拠のないレッテル貼り」というのだ。

そもそも、この人、ひろさんがわざわざ説明している失業率や労働力人口の意味がちゃんと分かっているのかどうかもあやしい。そうでなければ次のようなことは書かないだろう。


(引用ここから)
 このグラフでは、完全失業者数(率でない事に注意)の下方トレンドが再び示された上に、労働者人口の増加傾向が重ねわせられる。「このギャップをみろ!これだけ仕事がふえたぞ!」といいたいのであろう。
(引用ここまで)


労働力人口とは「15歳以上で労働する能力と意思をもつ者の数」であり、これが増えていることは労働する「意思」を持つ人が増えたということで、「仕事が増えた」ことを示しているわけではない。「労働」人口を「労働」人口と書いているから、意味が分かっているのかどうか。

次に菅野氏は、二つ目のグラフのY軸がおかしいという。

6500万人レベルの労働力人口と数百万単位の失業者数を同じ20万人刻みのスケールで並べ、しかも始点が違っているのがトリックだというのである。とんでもない言いがかりだが、人によっては「なるほど」と思いかねない言い分ではある。

関連性のない指標をスケールを調整して関連があるように見せるトリックはたしかにあるが、今回は失業率算出の基になる「完全失業者数」と「労働力人口」である。関連性どころか、それぞれの変化が失業率に直接反映するのだから、一つのグラフにすることには大いに意味がある。

これを、氏は「6500万と200万というあまりにも違いすぎるオーダーを無理に一つのグラフに押し込んでいる」から、トリックだという。だから、「率」で比較するべきだと。しかし、オーダーが大きく異なる完全失業者数と労働力人口の変化を「率」のグラフで比較するほうがよほど無理がある

ここでも、完全失業率、完全失業者、労働力人口の関係や意味を分かっているのかとの疑念が湧く。

また、縦軸の始点が異なっているという指摘だが、たしかに、グラフの起点を0にするのは基本ではある。しかし、それでは何が何だか分からないグラフになるときに、スケールを合わせたうえで左右2軸のグラフにして比較しやすくするのは一般的な手法だ。

ちなみに、完全失業者と労働力人口をそのままグラフにすると次のようになる。

このグラフは、空き地さんのツイッターから拝借した。

菅野氏は、このように用語の意味が分かっているのかどうかさえ怪しい認識を示したうえで、次のように断定する。


(引用ここから)
 当該記事は、「統計トリックを暴く」と嘯くが、統計トリックを使っているのはあきらかに山本氏である。

 これほどまでに乖離のある指数を実数同士で比較して「増減があった!」などと騒ぐのは、児戯に等しいと断ぜざるを得ない。
(引用ここまで)


しかし、間違った解釈をして騒いでいるのは、つまり児戯に等しい振る舞いをしているのは菅野氏の方だ。

菅野氏は記事の前段の部分で次のように述べている。


(引用ここから)
 完全失業率の分母たる労働力人口が増加するにもかかわらず、完全失業率の下方トレンドが維持されるということは、分子たる完全失業者数が少なくともそれ以前と同等か減少傾向である必要がある。つまり、「労働市場に参加する人数が増えたのにも関わらず、失業者数が以前と同等かそれ以下となっている」ことを示している。従って「就業している人が増えている」とは言える。

 この辺りは、加減乗除の四則演算の話でしかなく、小学生でもわかる理由だろう。
(引用ここまで)

グラフが何を言いたいかをぼんやりとは分かっている感じだが、やはり、「労働力人口」と「就業者」を混同している。「労働力人口=就業者+完全失業者」が分かっていないのではないか。
小学生でも分かる四則演算は何とか分かったが、それ以上は難しすぎたようである。

このような、ピント外れの批判の掲載を許したハーバービジネスオンラインの編集部各位には、猛省を促したい。

(以上)

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