消費者物価、インフレ率、デフレータの基礎知識 | 猫の遠ぼえ『次の世代に残したい日本』

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連日のエントリで消費者物価とGDPデフレータについて書いているが、そもそもこれらはどう違うのか。頭の整理のつもりで少し解説をしたい。最初に少し長いが最初に総務省統計局のQ&Aのページにある解説を見てみよう。

G-8 消費者物価指数とGDPデフレーター(内閣府)が乖離していると聞きますが、それはなぜですか。

 消費者物価指数とGDPデフレーターの最近の動きを比較すると、GDPデフレーターの方が下落幅が大きくなっています。この乖離については、対象の違いによる要因が大きく、他に算式の違いなどの要因も考えられます。

(1)対象の違い
 消費者物価指数は家計消費に対象を限定している一方で、GDPデフレーターは家計消費の他に設備投資なども対象となっています。設備投資は品質向上が著しいIT関連財の比率が高いことから、これらの下落による影響が大きくなります。このため、GDPデフレーターの変化率の方が、CPIの変化率より低くなっています。
 また、石油製品などの輸入品価格が上昇している中では、消費者物価指数はその分上昇するのに対し、GDPデフレーターでは製品価格に全て転嫁されない限り、下落に働くため、両者の乖離幅は大きくなります。
 なお、両指数をできるだけ同じ対象範囲にして比較するため、消費者物価指数の総合とGDPデフレーターを家計最終消費支出に限定した指数の間で動きを比較すると、両者はほぼ同じ動きをしています。

(2)算式の違い
 消費者物価指数はラスパイレス算式、GDPデフレーターはパーシェ算式を採用しています。一般に比較時点の数量ウエイトで加重平均するパーシェ算式は指数が低く、基準時点の数量ウエイトで加重平均するラスパイレス算式は指数が高くなる傾向があります。また、品質向上は数量の増加とみなされるので、パー シェ算式の場合、品質向上で下落した品目のウエイトは拡大します。このため、パーシェ算式を用いているGDPデフレーターは下落率が大きくなります。
 なお、GDPデフレーターはできるだけ指数算出に伴うバイアスを軽減することができるようにウエイトを毎年更新する連鎖方式により作成されています。消費者物価指数についても参考系列として連鎖方式による指数を作成・公表しています。
(消費者物価指数に関するQ&A)より


(2)算式の違いのほうを説明するとかえって分かりにくくなりそうなので省かせていただく。ここでは算式の違いでGDPデフレータの下落率が大きくなるという説明を押さえておきたい。そのうえで、「(1)対象の違い」について、もうすこし説明する。

まず、GDPを生産面の構成要素で表すと次のようになる。


GDP(国内総生産)=民間最終消費支出+民間住宅+民間企業設備+民間在庫品増加+政府最終消費支出+公的在庫品増加+(輸出-輸入)


そして、GDPデフレータと名目GDP、実質GDPには次の関係がある。


              名目GDP
GDPデフレーター=―――――――
              実質GDP


実際に実質GDPを求める場合は、民間最終消費支出などの構成項目ごとにデフレータを作成してそれぞれの名目値から実質値を求め、それを合計して実質GDPとする。つまり、構成項目ごとにデフレータがある。(ただし、民間在庫品と公的在庫品は除外されている)

これに対し、消費者物価指数は対象を家計消費に限定している。ということは、GDPで言えば家計最終消費支出以外をすべて対象から外しているということになる。だから、家計最終消費支出のデフレータと消費者物価指数はほぼ同じ動きになると解説しているのである。

尚、上記のGDP構成要素のうち(輸出-輸入)を「純輸出」というが、国内総生産からこの純輸出を除いたものが「国内需要」だ。そして、この国内需要の実質値を名目値から算出するためのデフレータが「国内需要デフレータ」ということになる。

そして、新聞などで報じられるのは、月ごとに集計される『消費者物価指数』は「前年同月比」で、年度、暦年、四半期ごとの『GDPデフレータ』は「前年同期比」であることが多い。そのうち、消費者物価指数の前年同月比を『インフレ率』と呼び、次の式で表される。

インフレ率の計算式

              その期の消費者物価指数-前年同月の消費者物価指数
ある月のインフレ率=――――――――――――――――――――――――― ×100(%)
                       前年同月の消費者物価指数

注)消費者物価指数はいずれも「総合(CPI)」

インフレ率はこのように消費者物価指数(総合)の前年同月比であり、デフレの定義を『物価が持続的に下落していく経済現象を指す』とするときの『物価』とはこの意味だ。ただ、これではエネルギー価格変動の影響を受けるので、政府・日銀ではそれらを除いたコアコアCPIも参考にしている。

ここで、これらの指数の最近の推移を比較してみよう。


解説では「両者はほぼ同じ動き」としている消費者物価(総合)と家計最終消費支出デフレータにはかなり差がある。やはり、対象品目の違いや算式の違いが影響しているようだ。やはり、指標を鵜呑みにせず、そういう違いがあることを頭に入れておいた方がいいということか。

尚、4月の消費増税により消費者物価は跳ね上がっているが、前年同月比でみると増税分は来年4月にチャラになる。そして、その時に民間の消費が活発で増税の影響を除いても消費者物価が狙いどおりに上がっているかどうかが、消費増税を乗り越えたかどうかの一つの判断基準になるだろう。

沢蟹さんが昨日のコメントで現状を「既にデフレ状況にはないが、デフレ対策をやめればデフレ状況に戻ってしまう」と表現した。まさにその通りだと思う。その状況に対応するためにも、政府は即効性のある財政出動など追加の景気対策をいつでも実施できるように準備しておくべきである。

(以上)

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