第一回全国ネアリカ大会 | New 天の邪鬼日記

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小説家、画家、ミュージシャンとして活躍するAKIRAの言葉が、君の人生を変える。

9月11日(金)東京東中野「ポレポレ座」全国ネアリカ大会
オペラ「ネアリカビジョン」
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色彩の洪水に呑まれた。
ポレポレ座の開場をはいると、ネアリカが壁を埋め尽くさんばかりにサイケデリックな色彩を放っている。
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感無量である。
今から7年前の2002年、父親の急死によって家族を失い、悲しみのさなかオレはメキシコに旅立った。
旅先で出会った驚愕すべき先住民アート、ネアリカを現地で学び、帰国する。
New 天の邪鬼日記-090911neauichol.jpgウイチョル族のネアリカ

自分でネアリカをはじめたが、あまりの時間と手間に挫折する。
アイヌモシリ一万年祭へいっしょにいった仲間たちに手伝ってもらい、日本での記念すべきネアリカ第一号が完成する。
New 天の邪鬼日記-鹿のカムイ.png鹿のカムイ

「そーか、ひとりじゃむりでも、みんなで作ればいいんだ!」
今まで「芸術は個人のもの」という古いアートの概念を破壊し、未来のアートを先取りする「芸術はみんなのもの」という共同制作が生まれる。
それから1年間、2メートルの巨大ネアリカ10点が560人ものボランティアによって完成する。(ネアリカの制作風景
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家族を失ったオレを、ネアリカという毛糸でつながれた新しい家族たちができたのである。
彼らが全国に散っていき、ネアリカはメキシコから日本中に飛び火していった。
2007年、宇都宮ギャラリー悠日でおこなった「大ネアリカ展」の公募で優勝と準優勝をかっさらったアーティスト夫婦、ヒデとサチが「ネアリカ第二世代」の旗手として登場する。
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本職のデザイナーである彼らは恐るべきクオリティーと豊かなイマジネーションでネアリカの可能性をさらに拡大していく。
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オレもライブと同時にネアリカワークショップを全国でおこない、幼稚園せいからお年寄りまでネアリカの喜びを伝えていく。
今ではミクシィのネアリカコミュも743人になり、今回記念すべき第一回「全国ネアリカ大会」が東京で開かれたのだ。
集まりすぎてもうこれ以上展示できないくらい、北海道、東京、神奈川、千葉、栃木、群馬、新潟、静岡、京都、大阪、兵庫、広島などなど、100数十人の出品者(共同制作もふくむ)から送られた約80点のネアリカが一堂に会したのである。
むふふ、地球の裏側でこんなことが起こっているなんて元祖ウイチョル族もびっくりだろう。

夜はオペラ「ネアリカビジョン」である。
ポレポレ座はもともと映画館なので、プロジェクターも使える。
ヒデがメキシコで撮影してきた写真をバックにオレが「神の肉 テオナナカトル」の第二章「ペヨーテの狩人」P121~157を朗読し、10曲の歌を添える。
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1、 青空のむこう
2、 旅立ちの歌
3、 愛を知らない子どもたち
4、 老人と星
5、 おさない瞳
6、 世界は足りてる
7、 祝福の歌
8、 ミタクオヤシン
9、 背中
10、 わたしたち

書き下ろしの脚本とちがって、自著の朗読に歌を重ねるという新しい試みも大成功だった。
観客はいっしょにメキシコへと連れて行かれ、ウイチョルの儀式をともに体験したようなトリップを体験した。
とくに「神の肉」を読んだ人にはむちゃくちゃリアルだわ。
オレがいったウイチョルの村やヘススのトラックや泊めてもらった泥レンガの家など、そのまんまの情景がヒデの写真によって再現されたからね。
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奇しくも今日9月11日は、ニューヨーク同時多発テロ「祈りの日」だ。
宗教や民族の「ちがい」から起こる対立を超えて、ネアリカは異なるものを結びつける魔力をもっている。
ウイチョル族の宇宙観そのものを指す「ネアリカ」という言葉の意味は毛糸絵画だけじゃなく「あの世とこの世を結ぶトンネル」、「異なるものをつなぐ虹の橋」という意味もある。
世界を牛耳る政治家や戦争で儲ける秘密結社が地球をモノトーンで塗りつぶそうとしても、オレたちには飛行機よりも強力な武器がある。
「虹色の毛糸」だ。
なんの権力ももたないオレたちが、ひとりひとり旅をし、異なるものと出会い、ちがいをリスペクトし、想いを分かち合い、創造的な生き方を学び、モノトーンの世界を虹色の毛糸でおおっていく。
ネアリカはたんなる毛糸絵画ではなく、世界をつないでいく魂の糸なのだ。

「ちっぽけな自分に世界は変えられない」と嘆くより、
一本の糸をはれ。
そこから世界は導かれる。