1月3日(土)日光「幾何楽堂」新年会ライブ
「さあ、正月はゴロゴロしよう!」と夢見ていたら、新年早々ライブのオッファーである。
幾何楽堂は去年も最多ライブ回数を数える、いわばオレのホームグラウンドだ。さんざんお世話になったし、餅つき大会やおせち料理に誘われて、昼夜2本くらいやらずんば、ずんば? ずんばなるまい。
オーナーの小坂さんはじめ、「日光森と水の会」のメンバー、東京や群馬などからもなつかしい面々が60人以上も集まってくる。
photo by DAISUKE
すごいね、この幾何楽堂の求心力は!
今日は4,5人一組でじゃんけんをしてもらい、買った人がリクエスト権を得るという宴会ルールにした。しかもリクエストした人にステージにあがってもらいデュエットするというAKIRA歌のど自慢のノリである。
昼の部
1、 Happy New Year!(Happy Birthdayの替え歌)
2、 祝福の歌(デュエット:小坂さん)
photo by DAISUKE
3、 レラ(ピアノ:あおい。ライブペインティング:大介)
photo by MARIE
4、 ソウルメイト(デュエット:ミホコ)
photo by DAISUKE
5、 絆
6、 Walking in the rain(リクエスト:黒田さん)
栃木県のケーブルテレビで番組をもつお笑い芸人陣の介さんと盆栽界の巨匠手塚さんがトークし、メキシコ帰りのヒデがきわどい体験談を語る。
7、 家族(ボーカル:ちゃー兄。ピアノ:あおい)
8、 パズル
photo by DAISUKE
本格的な杵と臼で餅つき大会がはじまる。
杵ってけっこう重いのね。「すべての人々に幸せを、オレに学びを!」と念じつつ力いっぱい振り下ろす。
昼から呑みつづけている人もさんざん酒がまわり、宴会モードで後半がはじまる。
右が大介の絵。photo by DAISUKE
夜の部
1、 天使のキス(デュエット:EMI)
2、 家族(ピアノ)
3、 愛のカタチ(ピアノ)
4、 Happy Birthday(明子誕生日)
photo by HIDE
5、 だいじょうぶマイフレンド(耕平役:トシ。エリ役:マキン&トモ。及川役:小池さん)
6、 サンガイジュウネコラギ
photo by HIDE
今日はホームレス・トモヒコの壮行会も兼ねているはずだったが、本人が東京に職を探しにいったまま帰ってこない。
ちょっと心配である。
1月4日(日)日光「幾何楽堂」トモヒコの壮行会
「トモヒコが帰ってきたんで、今日も歌ってくれませんか?」
幾何楽堂から電話がある。
トモヒコ(30歳。体重120キロ)は、6歳で母を亡くし、知的障害を持つ妹と父親に育てられた。父親はトモヒコの貯金を使い込んだり、糖尿病で倒れ、トモヒコが介護したり、3年前に亡くなった。
トモヒコは郵便局の保険業務で働いていたが、右手がふるえ、動かなくなる病気になり、クビを切られる。
金も底をつき、10月ごろ自殺場所を探しに日光へやってきた。
小坂さんや山本さんたちが天然氷をつくっている氷室の裏山にテントを張り、ひっそりと暮らしていた。
photo by HIDE
ある日裏山の神社にお参りしようと山本さんたちが山を登ってびっくりした。
「誰かいる!」
テントに声をかけ、出てきたのがトモヒコである。警察や行政に事情を話したが助けてはくれない。そこで幾何楽堂が手を差し伸べた。
トモヒコに仕事を与え、シャベルやネコをつかわせているうちに奇跡が起こった。
何度病院に通ってもだめだった右手が動くようになったのである。
今にも死にそうな顔をしていたトモヒコはみるみる明るくなり、元気をとりもどしていく。
もう一度生きる希望を見出し、今日がトモヒコの再出発の日である。
トモヒコは身請けしてくれる従兄弟広瀬さんとやってきた。
いまだ解消できない父親とのトラウマ、家族への想い、社会のなかで孤立していく自分。オレ自身が同じ道をくぐってきたので、鍼灸師がつぼに針を刺すような選曲をした。
photo by HIDE
1、 ぼくの居場所
2、 ミタクオヤシン
3、 たったひとつの命
4、 背中
5、 愛のカタチ
6、 雲のうえはいつも晴れだから
7、 家族
オレもなんだか神がかりになり、トモヒコの気持ちにシンクロしていく。
それはまるでシャーマンが部族の仲間たちと患者を癒すような儀式だった。
とちゅうからトモヒコは声をあげて泣いていた。
まわりでは幾何楽堂の仲間10数人が温かく見守る。
ぬぐってもぬぐってもあふれてくる涙が、
長い間凍てついたトモヒコの孤独を溶かしていく。
「アキラさん、ありがとうございました!」
ライブが終わったとたん、スモウレスラーのようにトモヒコは飛びついてきた。
どすこい!
photo by TOMO
まだまだ涙は流れつづける。
妹を出産したとき6歳のトモヒコを残してこの世を去った母への想いも、
競馬や介護の膨大な借金だけを残して亡くなった父への恨みも、
知的障害をもち大島の施設で暮らす妹への心配も、
死へ逃げようとしたふがいない自分への憤りも、
洗い流していく。
photo by HIDE
「もう一度、生き直してみます」
「またつらくなったら、いつでも日光へもどっておいで」
仲間たちが手を振る中、従兄弟の広瀬さんの車に乗ったトモヒコは東京へ旅立っていった。
人の想いっていうのは本当に尊いものだねえ。
みんな不細工な日常を生きながらも、心のどこかには神様を宿している。
トモヒコを発見した山本さんがぽつりとつぶやいた。
「トモヒコはわたしたちからたくさんのものを学んだと言ってたけど、人にとって大切なことをわたしたちに学ばせてくれたのはトモヒコのほうだったよ」
photo by TOMO
※トシが手焼きで焼いてくれたやよいオペラ「命の火」ができましたー!
10月9日に宇都宮『悠日』でやったやよいのオペラ「命の火」DVDが、やよいの自殺未遂するまえの映像をつけて、再発売することになりました。
もちろん作品は歴史的な傑作だし、障害者年金で作業所に通って細々と生活するやよいの「行動費」にもなります。やよいの創作活動を応援する意味でも、やよいに注文メールをください。(やよいが動かない指であなたのメールに返信し、直筆のサインも書きます)
AKIRAライブにきた人にも、ぜひセルフストーリーオペラのすごさを知ってほしいのです。オレが発明し、今後どこへ向かうかわからないほど熱気を帯びた「創作が立ち上がる刹那」をあなたに知ってほしいのです。
「命の火」をあなたもやよいと同じようにもっていることを、はらわたの底から実感してほしいのです。
自殺未遂するまえやよいの天才的なファイヤーダンスを見よ!!
オペラ「命の火」DVD(撮影:矢古宇。編集:TOSHI)2000円
購入希望者は、枚数/住所/氏名/電話番号を明記の上、やよい宛にメールしてください。
nekotalo@ir.namaste.jp
やよいから商品と郵便振込先を送ります。商品が届きましたら2000円(+送料200円)を一週間以内に振り込んでください。振込手数料はそちらでご負担してください。