最新アルバム「家族」明日発売! | New 天の邪鬼日記

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小説家、画家、ミュージシャンとして活躍するAKIRAの言葉が、君の人生を変える。

家族をお持ちの皆様、
(それって全人類じゃん)
お待たせしました。
ニューアルバム「家族」は、明日発売されます!!
0803家族ジャケ

思えば長い道のりだった。
「家族」という曲は、1年半ほど前につくられた。沖縄ツアーから帰り、高知ツアーにいくまえ2007年の正月だったと思う。
オレは朝と夕方仏壇に線香をあげてチベタンベルでチーンとあいさつするのだが、いつものように朝チーンとやったとたん、「きみがこの世にやってきた日、ママは命をふりしぼった」というフレーズがメロディーとともに降ってきて、「ぼくらは家族だね」というサビが雷鳴のごとく頭蓋に響きわたった。
「うおー、天国からのお年玉だ!」
信じられない話だが、チーンという1秒で頭の中には曲のすべてが完成していたのだ。いそいでギターをひっつかみ、コードをさがし、あふれ出す歌詞を殴り書きする。わずか30分で4番までの歌詞を書き終わり、完成してしまった。
その後高知へいき、児童福祉施設若草園や白蓮寮(当時のブログ)で発表する。親の離婚や死亡や虐待や何らかの事情で親と住めない子供たちだ。
オレも両親が死に、妹は嫁にいき、独身なので家族はいない。きっとこの曲は亡くなった祖父母や両親からの贈り物だと思った。
「家族」をライブで歌いはじまってからの反響がすさまじい。
北海道から沖縄まで全国にわたるライブ会場で観客がみんな泣き出してしまうからだ。はじめはオレもあっけにとられ、「ここは花粉症が風土病なのか?」といぶかり、何が起こっているのか理解できなかった。
後追いで考えると、「家族」は時代のキーワードだったのである。
お金や電気製品をもてば幸せになれると信じこまされ、オレたちは自らの絆を断ち切ってきた。
個人主義、核家族、ジェネレーションギャップなど、「自由」を手に入れるために家族はしがらみ以外の何者でもない「悪」そのものだった。
富と自由を手にしてひとりになったとたん、オレたちは荒涼とした砂漠に立っていた。
父や母や友人の名を叫んでも、声はむなしく空に吸いこまれていく。
誰も答える者はいない。
ひとりぼっちだ。
これがすべてを切り捨ててまで手に入れた、「自由」の正体だったんだ。
きみは泣き崩れ、本当に大切なものはなんだったのかに気づく。
いちばん身近にいて、
見えなかった母の笑顔、
不器用な父の振る舞い、
テレビドラマのパーフェクトファミリーからもっとも遠い、ちっぽけで無名の小さな集団、
それがきみの家族だ。
世界でたったひとつ、きみだけの家族だ。
吹き渡る風のなかから、かすかな歌声が聞こえる。

ぼくらは家族だね
ぼくらは家族だね

問いかけるように、かみしめるように、きみはつぶやく。
もしかすると父や母も同じ問いかけをし、きみを呼んでいたかもしれないのだ。
きみはひざの砂を払い、立ち上がる。
見失った家族を探しに旅に出る。

こちらから試聴できます。