パンパースぴちょんくん集結 | New 天の邪鬼日記

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小説家、画家、ミュージシャンとして活躍するAKIRAの言葉が、君の人生を変える。

昨日の地震は震度5だったのね。
よく築80年の我が家が倒壊しなかったことよ。
オレは雨漏り降りしきるアトリエで絵を描いている。部屋の中にバケツを置いて、ピチョン、ピチョン、ピチョンのお友だちなだけに、そのようなかわいい雨漏りではない。もうザバザバ降りしきり、天井が抜け、畳が溶け、床までぶち抜けるという怒涛の雨漏りである。
080508雨漏り部屋

泡盛はほしいが、雨漏りはいや!
床にやかんや鍋をおき、雨水でローズヒップティーをいれ、なめこ汁をつくるなんていや!
レインコートを着、傘を差して、絵を描くなんていや!(パレットもてねえじゃん)
080508画伯

いつ立ち退きを食らうかわからないが、絵を描いてるあいだだけでも応急処置をほどこさねば。憎き悪の軍団「おもらしぴちょんくん」を打倒するため、正義の軍団「パンパースぴちょんくん」が集結した。
まず群馬からONSENSのベーシスト・リュウがきた。ガソリンスタンドの店長であるリュウは、暫定税率復活以降、急にひまになったのでたまたまやってきた。いかつい面構えと190センチの長身をぴちょんくんユニフォームにくるみ、満開になったつつじのしたで無邪気にお砂遊びをしている。
080508リュウ砂

いやいや、この砂を土砂袋につつみ、ブルーシートが飛ばない重石にするのだ。
「なかなかはかどりませんねえ」
などとぼやいていると、黒田さんの車が止まり、なかからカモがネギしょって、いやタツローとアヤという若者がバックパックを背負ってやってきたのだ。彼らは湘南の「オッパーラ」ライブにきてくれ、「いつかAKIRAさんに会いに行こう」と誓い、今度尾瀬の山小屋で半年間働くことになったので、なんと湘南から徒歩と野宿で日光へやってきたのだ。
むふふ、アポなし突撃は絶対禁止だが、やつらの情熱に免じて、いや労働力確保のために、歓迎しようではないか。
歓喜のハグもつかのま、タツローとアヤはわけのわからない紙の作業服(ぴちょんくんユニフォーム)を着せられ、危険な屋根にのぼらされる。さびたトタンとちがいブルーシートを張った屋根はすべりまくる。うっかり足をすべらせると「あ~れ~」とスローモーションで屋根から落ちてしまうのだ。とりあえずチョコレートでカモに餌付けして、砂袋をロープでしばるもっともデインジャラスなミッションをやってもらう。
080508アヤタツロー

ユースホステルにむかう外国人観光客がこの異様な光景を指さす。
「ホワットイスザットホワイトマンズ?」
「スーパーマン?」
「NO!」
「ホワイトモンキーズ?」
「NO!」
「パナウエーブ?」
「NO! ザットイズコンテンポラリーニッコウメイブツ、Pumpers Pichonkuns!!」
あまりにもカッコイイわれわれの勇姿に観光バスからフラッシュがたかれる。
080508屋根全員

なんと今日はタツローの誕生日だそうだ(うちに誕生日にくる人多いなあ)。アフリカンシチューを振る舞い、「Happy Birthday」をコタツライブで歌ってあげた。
彼らのおかげで雨漏りしなくなったアトリエに案内する。タツローとアヤはできたての巨大絵画を生で見るという奇跡に感激している。
「ウエブの写真で見るのと、自分の目で見るのとじゃ、まったくちがいますね。大きさとか迫力とかだけじゃなく、絵から伝わってくるパワーに圧倒されます」
これから河原で野宿するという彼らにプパゲッティーやカレーなどの食料をあげた。
「ありがとうございます。尾瀬の山小屋で稼いだら御礼に来ます」
「いやいやオレに返さないで、自分たちよりもっと貧しい人にあげて」
もうオレの心に雨は降らない。
080508山4人