チェ・ゲバラ「モーターサイクル・ダイアリーズ」 | New 天の邪鬼日記

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 キューバ革命の立て役者チェ・ゲバラの若き日を描いた「モーターサイクル・ダイアリーズ」を見た。
 1952年、23歳のゲバラは、親友アルベルトとともにおんぼろバイクで南米大陸縦断1万キロの旅に出た。
  喘息持ちの医学生ゲバラは、正義感が強く好奇心に溢れ、金はないけど若くて情熱的でかなり無鉄砲である。この無鉄砲さが同じく23歳からアメリカ大陸放浪をはじめる「COTTON100%」のオレにそっくりだ。映画のできはそれほどよくないのに、思わず共感してしまう。
 アルゼンチンのブエノスアイレスからバイクで出発し、パタゴニア平原を抜け、アンデス山脈を越えてチリの海岸線を北上する。バイクが壊れ、ヒッチハイクや徒歩で旅をつづけ、飯や金を恵んでもらったり、病気になったり、失恋したり、ナンパしたり、旅をした人ならこの感覚がリアルにわかるだろうな。
 オレもいったペルーのクスコやマチュピチュ遺跡、プカルパからアマゾン川をボートに乗り、ジャングル奥地にあるハンセン病療養所でボランティアとして働く。世間から見捨てられた患者たち、搾取されつづけるインディオたち、警察に追われる共産主義者夫婦、社会の底辺を生きる者たちと生でふれあいながら医学生のぼんぼんゲバラは成長していく。
 この映画は実際にゲバラが書いた旅日記をもとにつくられており、この旅がひとりの青年を変え、その青年が世界を変えたのだ。
 あらためて旅の力というものを思い知るなあ。
 革命や思想や教育なんかより、旅ほど人を変えるものはない。
 オレはすべてを旅から学んできた。
 そしてもっともっと学びたい。
 堂々めぐりの悩みにおちいってる人も、日本にしか通用しない非常識を絶対の常識と思いこまされている人も、頭でっかちで能書きばっかりたれてる人も、
 とにかく旅をしてほしい。
 なるべくたくさん。
 なるべく長く。
 なるべく遠くへ。
 なるべく言葉が通じないところへ。
 なるべく習慣がちがうところへ。
 なるべく準備しないで。
 なるべく無鉄砲に。
 なるべく危なっかしく。
 なるべくひとりで。

 ゲバラのように革命で世界を変える必要はない。
 世界を見る自分の目を変える。
 「世界は」変わるのではなく、
 「世界が」変わる。
 それが本物の革命だ。