ONSENSデビュー記念コンサートの記録 | New 天の邪鬼日記

New 天の邪鬼日記

小説家、画家、ミュージシャンとして活躍するAKIRAの言葉が、君の人生を変える。

0405前橋ライブ



 まずは前々日の夜、19歳のドレッドボーイ・信也が群馬からやってきた。去年の12月に信也は子宮筋腫で入院したお母さんに「COTTON100」と「神の肉」わたした。お母さんは涙を流して息子に感謝し、オレは信也に連れられてお母さんをお見舞いにいって似顔絵を描いてあげたことがある。(2004年12月21日の日記
 「COTTON100」をもってカンボジアへ旅立った信也はドレッドをバッサリ切ってしまった。
「あれ? 君は信也じゃないよね」タケちゃんが首をかしげる。
 そこでオレはすかさずこう言った。
「ああ、今日は信也の代わりに神野圭二くんがきてくれたんだ」
 すっかりタケちゃんはだまされる。
「ふうん、そうなんだ。じゃあ圭二、よろしくおねがいします」
 いねえよ、「神野圭二=神の啓示」なんて、すげえなまえのやつなんか。かくてタケちゃんは信也を圭二だと思いこみ、3日間ずっとだまされていた。

 前日は朝6時から器材の積みこみを開始……するはずが起きたら9時じゃん! やばっ、11時に群馬でスタッフやパーカッショングループたちと待ち合わせているのに。
 あたふたしながら車を飛ばし、12時ごろ沼田の山奥にある山荘に着いた。
 パーカッショニストの理恵ちゃんは早稲田の学生をしながらプロのバックミュージシャンとして活躍してる。
 ジャンベの成聖瑠(ナセル)は21歳でなんと5ヵ月後には父親になる。成聖瑠はこの運命を喜んで受けとめる大きな器をもっている。
 成聖瑠といっしょにバンドを組む21歳の友太はナイスなお調子者で、オレの「Happy birthday」をやけに気に入り、1時間も独りで歌っていた。
 夕方6時にガソリンスタンドの仕事を終えたリュウも合流し、全員がそろった。1ヵ月前はコードも知らなかったリュウはそこらへんのアマチュアなど足下にもおよばないほどすばらしいベーシストに急成長した。オレたちとの練習をビデオに撮って帰り、それで毎日練習したという。
 さすが恐怖の完璧男である。しかしリュウは完璧に近づけば近づくほど最後に大きなポカをやらかす。
「今回は最後まで完璧でとおします」
 やつの気合いをいれるため、坊主に頭を丸めてしまった。怖いぞ、ただでさえ怖い顔にスキンヘッドとは。はっきりいって同じ霊長類には見えない。

 当日は信じがたいほどの快晴である。
 真っ白い雪をかぶった尾瀬や利根の山々が朝日に煌めいている。雪山を愛した父があの世から祝福してくれるような気がした。
 昼の12時から器材を大蓮寺に運びこむ。
 もともとライブスペースではない場所をいちから作りあげなくてはならないので、3時からリハの予定が5時半にのびる。今回はタケちゃんが総指揮をとり、完璧な音響システムを作りあげた。
 PAのジェリーさんはオレとも面識があり、すばらしい手腕をみせてくれる。ライブ監督の神野圭二じゃない、信也は自分もミュージシャンであり、驚くほどの活躍をしてくれる。やはりミュージシャンのホッシー、早稲田のデコちゃんも心強いヘルプだ。
 野澤監督がクリちゃんとフクちゃんをつれて東京からやってきてくれる。リハの段階から撮影の構図を練り、プロの仕事を見せつけられる。
 現代書林のマコと石田さん、めるくまーるの太田さんが50冊ずつ「COTTON100%」と「神の肉」をもって参加してくれる。マコなんかパネルまでつくってきてすんごいヤル気だぜ。
 発案者のノリちゃん、みっちゃん&つきちゃん、東京スタッフのミチコ、ゴン、アユ、カオリ、ミッシェルも受付や物販など手慣れたもんである。リュウチームのケンジ、トモヤ、トモコもかけつけ、準備は整う。
 日本を徒歩で横断中の目と眉が4センチはなれてる大介が3日がかりでオレとタケちゃんとリュウに手書きのTシャツをプレゼントしてくれた。
「ゲゲッ、あの目と眉が4センチはなれてる大介が、具象画も描けるなんて!」
 オレのは赤字に龍、タケちゃんのは青地に虎、リュウのは黄色地にイーグルだ。すんばらしいぞ、目と眉が4センチはなれてる大介! 3人ともホモビタ友情に涙し、こう誓った。
「オレたちは命がけで目と眉が4センチはなれてる大介を応援するぞ。どんなことがあっても目と眉が4センチはなれてる大介を世界一のアーティストにしてやる。その暁に、その暁には……このTシャツ、高く売ろうっと」
 順調にスタートかと思いきやVJのヒロが交通事故に巻きこまれた。バックミラーを折られライブに間に合わないとのことだ。大蓮寺には映画上映用の大きなスクリーンがある。そこでオレはこう考えた。
「むむ、ステージの奥に控えるゴールデンブッダ(阿弥陀様)が、オレをかくすんじゃねーよとこの事故を起こさせたのかもしれん」
 いよいよ会場だ。
 前橋くんだりまで(市民のみなさん失礼!)、本当にお客さんがくるのだろうか?
 楽屋で待つオレたちのもとに信也が走ってくる。
「すごいお客さんですよ。うしろまで満員です」
 和尚の蓮池上人がユーモラスな舞台あいさつでオレたちを紹介してくれる。いきなり秘密兵器の新曲「背中」を歌い出す。

父よ 永遠に追いつけぬ孤独な背中よ
不器用で臆病で淋しい背中よ

なぜ愛よりもひとりを選ぶの
母も僕もみんな あなたを求めてた

なぜ現実より夢を選ぶの
微笑みだけ残して

煌めく真冬の雪山
あなたは火を運びつづける
極め極めるほど
遠ざかる頂めざして

父よ 永遠に追いつけぬ孤独な背中よ
不器用で臆病で淋しい背中よ

なぜ家族より仕事を選ぶの
母も僕もみんな 愛してほしかった

なぜ生きるより死を選ぶの
さよならも言わないまま

燃え立つ紅色の森に
あなたは風を巻き起こす
散れば散りゆくほど
想い出は心に降りつもる

父よ 永遠に追いつけぬ孤独な背中よ
不器用で臆病で淋しい背中よ

もう一度生まれ変われたら
あなたとまた暮らしてみたい
あなたを許すときが
自分を許す日と気づいた

父よ 永遠に追いつけぬ孤独な背中よ
不器用で臆病で淋しい背中よ

憎んでも憎んでも愛していたんだ
愛してた それだけを言い忘れたんだ

愛してた 愛してた
愛してた 愛してた

 会場が水を打ったように静まる。オレは不思議な感慨に打たれていた。
 おかしい、ぜんぜんあがらない。
 いつもステージはドキドキなのに、なぜか落ち着いて歌えた。間髪を入れずタケちゃんが激しいストロークで「Be here now」を弾きはじめる。

まにあわないかもしれない
でも走らないではいらんない
Wake up be here now
今ここしかない

かなわないのかもしれない
でもやってみなくちゃわからない
Wake up be here now
今ここしかない

すりむいた傷
風が乾かし

ずっとずっと待っていたよ
きっときっと出会えるって
Wake up be here now
今ここしかない

過去も未来もありゃしない
あるのは連続する今
Wake up be here now
今ここしかない
Ah be here now

とどかないのかもしれない
でも歌わないではいらんない
Wake up be here now
今ここしかない

愛されないかもしれない
でも愛さないではいられない
Wake up be here now
今ここしかない

あふれる涙
大地に沁みる

ずっとずっと待っていたよ
きっときっと出会えるって
Wake up be here now
今ここしかない

昨日の鎖をふりほどけ
明日に夢を預けるな
Wake up be here now
今ここしかない
Ah be here now

空間を超え
時間を超え

ずっとずっと待っていたよ
きっときっと出会えるって
Wake up be here now
今ここしかない

君とめぐり会えた奇跡
この世に偶然などない
Wake up be here now
今ここしかない

ずっとずっと待っていたよ
きっときっと出会えるって
Wake up be here now
今ここしかない

 「リストカッター」を聴き、自殺を思いとどまった女の子の話をする。会場から鼻をすする音が聞こえた。

どうしようもなく自分が嫌い
だからこのまま消えてしまいたい

なんとなくみんなが恐い
だからこのままそっとしておいて

大人にもまだなれなくて
子どもにもかえれない

生きてるの? もう死んでるの?
それすらわからない

青いカミソリ 白い手首に
赤い血が走る
生きてる わたし生きてる
悲しいくらいに生きてる

たえがたく自分は醜い
だから愛する資格なんかない

やるせなくあなたが恋しい
だからこのままいてもいいですか

幸せにもまだなれなくて
不幸にもなりきれない

生きてるの? もう死んでるの?
それすらわからない

青いカミソリ 白い手首に
赤い血が走る
生きてる わたし生きてる
淋しいくらいに生きてる

わすれがたく空は澄んで
だからいつかは還ってゆける

かえがたく世界は在って
だけどいつかは笑ってくれる

ふつうにもまだなれなくて
狂うこともできない

生きてるの? もう死んでるの?
それすらわからない

青いカミソリ 白い手首に
赤い血が走る
生きてる わたし生きてる
愛しいくらいに

青いカミソリ 白い手首に
赤い血が走る
生きてる わたし生きてる
愛しいくらいに

 ギリシャの弦楽器ブズーキをタケちゃんが弾きはじめる。本堂の豪華な飾り付けとエキゾチックなブズーキの音色が、ギリシャ文明と仏教文化がガンダーラ(現在のパキスタン)が出会ったように和合する。「インラケチ」、マヤ語のあいさつで「わたしはもうひとりのあなたです」という意味だ。

わたしはおまえの影であり なお
おまえはわたしの影である そう
おまえはひとりぼっちなんかじゃない
インラケチ インラケチ

わたしはおまえの父であり なお
おまえはわたしの母である そう
すべての出会いが魂の家族
インラケチ インラケチ

インラケチ インラケチ
夜明けは忍び足でやってくる
インラケチ インラケチ

世界はおまえの夢であり なお
おまえは世界の夢である そう
覚醒したまま夢を見つづけろ
インラケチ インラケチ

太陽と月が結ばれる なお
天使と悪魔が口づける そう
愛と憎しみがひとつに溶け合う
インラケチ インラケチ

インラケチ インラケチ
夜明けは忍び足でやってくる
インラケチ インラケチ

わたしは名もない花であり なお
日であり美であり君である そう
すべてものに宿りながらひとつ
インラケチ インラケチ

わたしはわたしの神であり なお
おまえはおまえの神である そう
すべてはおまえの内に眠っている
インラケチ インラケチ

インラケチ インラケチ
夜明けは忍び足でやってくる
インラケチ インラケチ

愛がほしいとおまえが言う なお
恋をしたいとおまえが言う そう
まずは自分を愛してやることだ
インラケチ インラケチ

悟りをくれとおまえが言う なお
真理をくれとおまえが言う そう
無様なおまえがいちばん綺麗だ
インラケチ インラケチ

インラケチ インラケチ
夜明けは忍び足でやってくる
インラケチ インラケチ

おまえがおまえであればいい
おまえがおまえであればいい

おまえがおまえであればいい
おまえがおまえであればいい

おまえがおまえであればいい
おまえがおまえであればいい
夜明けは忍び足でやってくる
インラケチ インラケチ

 タケちゃんがグレッチのホワイトファルコンにギターを持ち替え、新曲「この世界が滅んでも」を歌う。

この世界が滅んでも
声からして歌うから
ひとりぼっちじゃないと
君のために歌うから

あなたが花をながめるとき
花もあなたを見つめている

あなたが鳥の歌を聴くと
鳥もあなたに耳を澄ます

 ミタクオヤシン 
 すべてのつながるものへ 
 ひとつひとつの命が 
 そっと寄りそい合う
 
この世界が滅んでも
声からして歌うから
ひとりぼっちじゃないと
君のために歌うから

なんど傷ついたって
どんな馬鹿にされたって
ひとりぼっちじゃないと
君のために歌うから

あなたが風にふかれるとき
風もあなたを感じている

あなたが木々にふれるとき
木々もあなたにキスをかえす

 ミタクオヤシン
 すべてのつながるものへ 
 ひとりひとりの祈りが
 今ひとつになる

この世界が滅んでも
声からして歌うから
ひとりぼっちじゃないと
君のために歌うから

なんど裏切られても
どんなことを言われても
ひとりぼっちじゃないと
君のために歌うから

あなたが友をいじめるとき
友はあなたの鏡になる
あなたが火をもてあそぶとき
火もまたあなたに燃えうつる

 ミタクオヤシン
 すべてのつながるものへ 
 一粒一粒の涙が
 いつか時を変える

この世界が滅んでも
声からして歌うから
ひとりぼっちじゃないと
君のために歌うから

なんどすりむいてでも
どんなかっこわるくても
ひとりぼっちじゃないと
君のために歌うから

あなたが星を見あげるとき
星もあなたにささやいている

あなたがぼくに微笑むとき
ぼくもあなたに笑いかえす

 ミタクオヤシン
 すべてのつながるものへ 
 7つの世代を越えて
 夢を伝えていこう

この世界が滅んでも
声からして歌うから
ひとりぼっちじゃないと
君のために歌うから

なんど涙流しても
どんな孤独の中でも
ひとりぼっちじゃないと
君のために歌うから

 いよいよデビュー曲である「Born to love」だ。オレがピアノを弾きはじめるがピアノのチューニングがおかしい。Cのキーがフラットしているのだ。リハでは合っていたのに。原因はアップライトに突っこんだマイクが弦に触れていたのだが、気づいたときにはもう曲がはじまっている。お客さんに気づかせないようにタケちゃんがギターを重ね、オレもピアノの音量を抑えボーカルを前にだすようにして歌いつづけた。

青い青い青い砂漠にたおれ
最後の息で君を呼ぶよ
白い白い白い雲がちぎれて
君の笑顔になる

苦い苦い苦いことばかりで
生きてる意味さえわからなくなる
痛い痛い痛いほどの想いを
君に伝えたい

ぼくらはなんのために生まれてきたんだろう?
なくした言葉が聞こえてくる

We were born to love
We were born to love
ぼくらは愛するために
生まれてきたんだ
We were born to love
We were born to love
君を愛するために
生まれてきたんだ

黒い黒い黒い闇を背負って
ぼくは今日まで生きてきた
いつもいつもいつも自分に嘘をつき
ひとりおびえていた

なにがなにがなにがしたいんだ
自分のことさえわからないから
せつないせつないほどの気持ちが
君にとどくかな

ぼくらはいつまで憎み合うのだろう?
遠い約束を思いだすよ

We were born to love
We were born to love
ぼくらは愛するために
生まれてきたんだ
We were born to love
We were born to love
君を愛するために
生まれてきたんだ

赤い赤い赤い子宮のなかで
最初の夢を見ていたんだ
暗い暗い暗いトンネルをすべって
この世界と出会った

甘い甘い甘い唇かさねて
君の孤独を吸い出そう
寒い寒い寒い肌をからめて
深い傷をなめよう

ぼくらはいつのまに置き去ってしまったの?
裸の子どもが泣いているよ

We were born to love
We were born to love
ぼくらは愛するために
生まれてきたんだ
We were born to love
We were born to love
君を愛するために
生まれてきたんだ

We were born to love
We were born to love
すべてを愛するために
生まれてきたんだ
We were born to love
We were born to love
君を愛するために
生まれてきたんだ

 ここで前半終了。
 ONSENSと入れ替わりに、Percussionの理恵、ジャンベの成聖瑠、友太、ベースのリュウが力強い演奏に観客が踊りたくてむずむずしているのがわかる。「しかしここはお寺の本堂なので失礼かもしれない」という声が聞こえてきそうだ。
 ONSENSが7分後にくわわり、後半がはじまる。照明のナオも自信に満ちたライティングをみせる。
タケちゃんのサンポーニャが郷愁へいざない、「Holy night」を歌った。

We dance in the holy night and sing in the holy night
We fly to the holy sky and swim into the holy lake

Put fires on let's burn down those stars
Everything in brightness and everything in darkness

We dance in the holy night and sing in the holy night
we drink up the holy wine and smoke out the holy grass

Take a shower of blood eat the meat a viegen
Everything in mindness and everything in madness

We dance in the holy night and sing in the holy night
We talk with the holy spirit and play with the holy ghost

Listen to the story from an old man get the knowledge from a crazy man
Everthing in discipliness everything in chaosness

We dance in the holy night and sing in the holy night
We sleep in the holy grave and dream with the holy babe

Let's forget it all and remenber it all
Everythin is beginningless and everything is endless

Let's dance let's dance dan dan dan da da dan da dance
Let's dance let's dance dan dan dan da da dan da dance

(日本語訳)

オレたちは踊る 聖なる夜に オレたちは歌う 聖なる夜に
聖なる空を舞い 聖なる湖を泳ぐ

 さあ 火をもやせ 星々を焼きおとすんだ
 すべては輝きの中に すべては闇の中に

オレたちは踊る 聖なる夜に オレたちは歌う 聖なる夜に
聖なる酒をあおり 聖なる草を吸う

 さあ 血のシャワーをあびろ 処女の肉を食らえ
 すべては正気の中に すべては狂気の中に

オレたちは踊る 聖なる夜に オレたちは歌う 聖なる夜に
聖なる魂と語り 聖なる霊と遊ぶ

 さあ 老人の物語を聞け 狂人の知恵をつかめ
 すべては秩序の中に すべては渾純の中に

オレたちは踊る 聖なる夜に オレたちは歌う 聖なる夜に
聖なる墓地に眠り 聖なる赤ん坊と夢を見る

 さあ すべてを忘れ去れ すべてを思い出せ
 すべてははじまりもなく すべては終わりもない

 途中で信じられないことが起こった。
 和尚自ら観客を立ちあがらせ、踊ろうと誘っているのだ。感謝の念がこみあげ、終わりかけていた曲をふたたび盛り上げる。

Let's dance let's dance dan dan dan da da dan da dance
Let's dance let's dance dan dan dan da da dan da dance

 ONSENSの歌の中でもっとも人気のある「旅立ちの歌」をみんなが待っていた。タケちゃんのイントロがはじまったとたん大きな歓声があがる。

もしも君が傷ついたり つまずいたり へこんだら
青いネガは部屋に捨てて 旅に出てみないか

空に抱かれ 海に抱かれ 陸に抱かれ 夢見る
見知らぬ街 見知らぬ人 見知らぬ自分

せまいせまい平均台 列にならんで
背中押されどこへむかう
落ちろ落ちろ! そして目覚めろ
地面が君を受けとめる

風のように 鳥のように 川のように歌うよ
へたくそでも君にとどけ旅立ちの歌

もしも君がひきこもって つらい思いするなら
冷めた涙雨に流し 旅に出てみないか

森と遊び 虹と遊び 影と遊び 見つける
変わる景色 変わる気持ち 変わる自分を

走る走る暴走列車止まらないなら
窓を開けて外へ飛びだそう
逃げろ逃げろ! そして旅立て
大地が君を歩ませる

花のように 草のように 月のように歌うよ
つたなくても君にとどけ旅立ちの歌

まわるまわる星のうえで旅をつづける
人生はめぐる輪のように
生まれ死んで 生まれ死んで 生まれ
もう一度君と出会うんだ

君のままに 在るがままに 愛のままに歌おう
不器用でも天にとどけ旅立ちの歌

へたくそでも君にとどけ旅立ちの歌

つたなくても君にとどけ旅立ちの歌

ラララ

 今回の立て役者である和尚がステージあがってくれる。
「ふだんこんなに力強い歌を聴いたことのない阿弥陀様もきっと大喜びですよ」
 和尚の美声に観客がうっとりしているのがわかる。イントロはお経でなく和歌にメロディーをつけた御詠歌だ。タケちゃんのノイジーなギターが闇を切り裂き、仏教ロック「南無邪華法蛇花夢」を歌う。

南無邪華法蛇花夢
南無病草乱夢花邪華 darkness
南無病草乱夢花邪華 silence
I find my self in 夢花邪華 lonelyness

We really lost the night of stars
We really lost the night of moon light
We really lost the 夢花邪華 paradise

南無邪華法蛇花夢 Let's chant with the secret words 
南無邪華法蛇花夢 You can talk with the universe

南無病草乱夢花邪華 strongness
南無病草乱夢花邪華 loudness
I find my self in 夢花邪華 battle field

We have to take back the blood of sunrise
We have to take back the blood of sunset
We have to take back the 夢花邪華 kingdom

南無邪華法蛇花夢 Get the knowledge of the secret words
南無邪華法蛇花夢 Get the power of the universe

和尚の平和祈願念仏「南無阿弥陀仏」がパーカッションやギターとからみ、クライマックスへとのぼりつめていく。

Oh what a peaceful sound straght through in my body and soul
Oh I am floating I am floating in her wave and water

南無邪華法蛇花夢 Let's chant with the secret words
南無邪華法蛇花夢 You can talk with the universe

南無邪華法蛇花夢 Get the knowledge of the secret words 
南無邪華法蛇花夢 Get the power of the universe

※日本誤訳

南無病草乱夢花邪華 暗闇
南無病草乱夢花邪華 沈黙
オレは自分を 夢花邪華 孤独の中に見つけた

オレたちは 本当に夜の星を失くした
オレたちは 本当に夜の月明りを失くした
オレたちは 本当に夢花邪華天国を失くしたんだ

南無邪華法蛇花夢 さあ 秘密の言葉を共に祈ろう
南無邪華法蛇花夢 天と語らうことができるんだ

南無病草乱夢花邪華 力
南無病草乱夢花邪華 騒音
オレは自分を夢花邪華戦場に見つけた

オレたちは朝日の血をとりもどさなきゃならない
オレたちは夕日の血をとりもどさなきゃならない
オレたちは夢花邪華王国を取り返すんだ

南無邪華法蛇花夢 秘密の言葉の知恵を使い
南無邪華法蛇花夢 天の力をつかむんだ

ああ なんて安らかな言葉がオレの体と魂をつきぬけていく
オレは浮かんでる 彼女の波と海の中に

南無邪華法蛇花夢 さあ 秘密の言葉を共に祈ろう
南無邪華法蛇花夢 あなたは天と語らうことができるんだ
南無邪華法蛇花夢 秘密の言葉の知恵を使い
南無邪華法蛇花夢 天の力をつかむんだ

 すばらしい演奏をしてくれたバックバンドに感謝する。とくにリュウのベースは完璧だった。忙しいガソリンスタンドの仕事をこなし、ひとり血豆をつくりながら猛練習に励んだリュウには頭がさがる思いだ。今までさんざんコケにしてすまなかった。ラストを飾る曲はリュウのベースを合図にした「Happy Birthday」だ。
 感謝に満ちたみんなの目がリュウに集中する。
 刹那、調子っぱずれなベース音が響いた。
 全曲を完璧にこなしたリュウが最後の最後で大ドジをこいたのである。
 やったー期待どおりの快挙、このミスでまた1年ぐらいリュウをいじめられる。オレは満面の笑みで「Happy Birthday」を歌い出した。

死んじまいたいこともあったし
生まれなきゃよかったと思ったし
それでも地べたをはいずり生きてる
これって奇跡なんじゃねえのかい

赤っ恥ばっかかいたし
青っぱなもかまなかったし
過去などティッシュに丸めて捨てちゃえ
これって楽チンチンじゃねえのかい

Happy birthday Happy birthday
この瞬間に君は生まれ変わるんだ
Happy birthday Happy birthday
生まれたての君に乾杯

作り笑いもできないし
皮肉な笑みもいらないし
腹をかかえて笑おうぜ
これって幸せなんじゃねえのかい

だますよりだまされたいし
傷よりキスをつけたいし
ほんとは大好きだって叫びたい
意外に純情なんじゃねえのかい

Happy birthday Happy birthday
この瞬間に君は生まれ変わるんだ
Happy birthday Happy birthday
生まれたての君に乾杯

※スタッフ紹介
Happy birthday 和尚  蓮池上人
Happy birthday ライブ監督 信也
Happy birthday 音響  ジェリーさん。星あらた
Happy birthday 照明  大平なおこ
Happy birthday すべてのスタッフのみなさん
Happy birthday パーカッション  宮武リエ
Happy birthday ジャンベ  ナセル。
Happy birthday ジャンベ  ユウタ。
Happy birthday ベース  真下竜介
Happy birthday ギター  小嶋剛成
Happy birthday ボーカル  AKIRA

おまえらなんでそんなやさしんだ
逆さに振っても金はでないぜ
残高ないけど友情貯金は
長者番付なんじゃねえのかい

君と出会えてよかったよ
腐れ縁は一生つづくぜ
みんなにありがとうってハグしたい
おまえらおんなじバカじゃねえのかい

Happy birthday Happy birthday
この瞬間に君は生まれ変わるんだ
Happy birthday Happy birthday
生まれたての君に乾杯

Happy birthday Happy birthday
この瞬間に君は生まれ変わるんだ
Happy birthday Happy birthday
毎日が君のHappy birthday

 観客は総立ちでみんな素敵な笑顔をしている。
「起立、礼!」
 バックミュージシャンも和尚とハグを交わし、満足そうに手をふっている……リュウ以外は。
 アンコールの拍手とともにオレとタケちゃんが再登場し、コンサート実現のきっかけになった「レインカネーション 輪廻」を歌った。

遠い記憶の小道で
見つけた一輪の花
摘みとろうと引き返しもはや場所さえわからず
ひとり立ち迷う夕暮れ

 長い長い旅だった
 すぎていく無数の影たち
 臭いたつ肌からみつく髪
 笑い声だけを残し
 行きつもどりつ消えてゆく

限りなく限りなく還りゆけ還りゆけ
そこやあそこじゃない
永遠のここへと
限りなく限りなく還りゆけ還りゆけ
過去や未来じゃない
永遠の今へと

脳に描かれた壁画
狩りと祭と婚礼
雨風に消えゆけばなお
鮮やかさをます色彩
遠い遠い宴よ

 燃えさかってた怒りも
 煮え立つ涙も静まり
 引き潮に打ち上げられた
 貝殻だけがひっそり
 日々に洗われつづける

限りなく限りなく還りゆけ還りゆけ
そこやあそこじゃない
永遠のここへと
限りなく限りなく還りゆけ還りゆけ
過去や未来じゃない
永遠の今へと

傷ついた舟はすすむ
血液の河はうねり
遠い昔生まれ落ちた
なつかしいあの海へと
オレを連れもどす

 青い雲間を破って
 光りの梯子が降りる
 永い眠りにはいるとき
 見上げれば空一面
 降り注ぐ花 花 花

限りなく限りなく還りゆけ還りゆけ
そこやあそこじゃない
永遠のここへと
限りなく限りなく還りゆけ還りゆけ
過去や未来じゃない
永遠の今へと

 サイン会ではたくさんの人とハグし、泣きたいほどの笑顔パワーをもらう。
 ネアリカのときと同じことに気づいた。
 オレたちの歌が目的だったんじゃなく、
 歌という手段をとおして、
 みんなと「今ここで出会うこと」が、
 本当の目的だったんだって。

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