コードネームミラージュについて | 北条明の世界

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コードネームミラージュ

「コードネームミラージュ」は、2017年に放映された深夜ドラマである。

原作は、「魔弾戦記リュウケンドー」の広井王子氏。

 

もともとこの枠は、牙狼シリーズを放映していた。

制作も、同じ東北新社とオムニバス・ジャパンである。

その流れで、第1話を見て、そのまま全話見た。

長男が、なぜかすごく気に行って、途中から、土曜日に塾から帰宅後、一緒に見ていた。

牙狼シリーズは、テレビ版は全作品見ているが、牙狼シリーズとは少し違った切り口で、新鮮かつリアル(というかもしかしたらある世界的な感じ)に感じた。

主演が桐山漣氏、他にも要潤氏、石丸謙二郎氏、久保田悠来氏など、仮面ライダーシリーズの出演者が多いのが、親しみやすかった。

 

ストーリーは、警察庁に、極秘に組織されたK-13のエージェント、ミラージュこと森山真一を取り巻く事件、人物を描いていく。

主人公ミラージュは、事故により、常人を超えた戦闘能力を得るが、その代償として、過去の記憶、感情を失っている。

感情がないのにもかかわらず、非常に魅力を感じる人物像になっている。

ドブネズミや定食屋の姪が好意を寄せるのにも、説得力がある。

アクションはもちろんかっこいい(車の下から足を撃つなど)が、ミラージュが、記憶や感情を取り戻すのか、それとも死ぬのか、最後どうなるのかがすごく気になりながら見ていた。

個人的に、髪型は、左翔太郎の髪型の方が好きである。

 

御崎は、優秀であるが、情に厚いところがよかった。

ドブネズミもミラージュも助けようとしていた。

非常に好感の持てるキャラクターだったと思う。

要潤氏は、本当にかっこいい。

氷川誠と性格は違うんだけど、やっぱり氷川を投影しながら見ていた。

 

左文字は、「電王」のオーナーっぽい感じもあるけれど、より腹黒い人物として描かれている。

純粋に正義側の人間として描かれなかったのは、ドラマとしては、単なる勧善懲悪にならずよかったが、最後、あれだけ悪に染まっているのに、未だに権力の中枢にいるというのは、ちょっと納得がいかない。

 

鯨岡は、悪として、十分な存在になっていたと思う。

単に暴力で押してくるのではなく、経済的実力を伴っているのが、説得力があった。

ちょっと狂った感があるのもよかった。

第22話で自殺したとされていたが、実は生きていたのはよかった。

自殺するなんて、鯨岡らしくないし、そんなちっぽけなキャラで終わって欲しくなかった。

 

ドブネズミ、スモークも感情移入させられるキャラクターだった。

ロビンは、AIでありながら、真一を慕い、全力で尽くす、人間以上に感情のあるキャラクターになりえていた。

人間なのに感情のないミラージュと対になっていたと思う。

そして、一番魅力的だったのが、鐘ヶ淵豊である。

優秀な科学者でありながら、くだらないことばかりやっている親父で、しかし、実は真一のことを心から大切に思ってくれている魅力溢れる人物であった。

このように、今まで見たことがないようなアクションと同時に、登場キャラクターの魅力が、この作品を支えていたと思う。

 

鯨岡が、術を植え付けた相手に、術を開放するトリガーとして、「復讐の炎は地獄のように我が心に燃え」を聴かせるのだが(実は曲の中に音声透かしが入っている)、この曲がすごく耳に残った。

エンディングも、この曲だが、普段、つい歌ってしまうことがあるくらいだった。

エンディングが、1クール終了時に変更にならず、最後まで一貫していたのもよかった。

 

第18話で、鯨岡に操られたスモークを殺し、、第21話のラストで、ボニー&クライド風の二人組を左文字の命令で処理したことで、ミラージュの中に変化が表れ、また警察権拡大法案の成立をめぐり、終盤に向けて、ストーリーが動き出す。

第23話で、ドブネズミが左文字の命を受けた甲斐に殺され、第24話で、御崎は沖縄に左遷、ロビンも破壊される。

そして、鯨岡は生きていることが明かされるが、左文字は中央警察庁の長官に就任、ミラージュは、鯨岡に会ったようだが、結局は組むわけでもなく、イスラエルにいるらしいということが、鯨岡の言葉で語られる。

つまり、鯨岡も左文字も、どちらも処理されることも失脚することもなく、ミラージュもどうなったのかわからないという、ちょっと不完全燃焼感漂うラストであった。

ずっとストーリーに惹きつけられて見ていただけに、もう少し納得感のある終わり方にして欲しかったと思う。

これが、第2シリーズに繋げるためということであれば、別であるが。

 

ラストに対して感じるものはあるが、久しぶりに、勢いのある深夜ドラマを見た気がする。

牙狼シリーズを継続しつつ、ちょっと違った切り口のドラマをまた制作して欲しい。