映画『エデンへの道』の感想 | アキラの映画感想日記

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映画を通した社会批判

物質化

 

 

エデンへの道

ある解剖医の一日


アップリンクといえば、前衛やアングラのイメージが強く

一部のマニアにのみウケるレーベルと見られているが

公開当時、ビデオ化されるか否かさえ疑わしかった

アップリンクのこの作品が嬉しい事に図書館に並んだ。

 

まるで臨床学の資料映像の様な内容だが、説明的ではなく

ただ存在する死体を解体してゆく作業を淡々と追っている。

当然の事ながら見る側にとってこの死体とは初対面に

なる訳なので、そこにはどんな感情移入も許されない。

そこにあるのはかつて人間であったはずの物質でしかない。

物質化した肉体を静かに見つめる事で死自体を考えさせる。

情報を削ぎ落とされた死体との対面という正統な方法で

キアロスタミやソクーロフ同様に死というテーマと誠実に

向き合っていますが、作品のレベルとしては『2H』程度です。