映画『暗殺教室』の感想 | アキラの映画感想日記

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映画を通した社会批判

回想編

 

 

劇場版 暗殺教室 365日の時間

 

やはり朱雀の代表的アニメといえば今作のようなジャンプコンテンツが浮上する。トンデモ設定の出オチ的インパクトで掴んで展開する風変わりな生徒と教師の師弟ドラマ。いきなり月が破壊され、その犯人が教師として生徒に暗殺を指導し一年以内に自分を暗殺しないと次は地球を破壊するってな訳で地球の運命は落ちこぼれ中学生のクラスに託されるってな設定。今作は後日談のようにして暗殺成功の数年後に大人になった主人公たちが懐かしの教室に戻って来る所から始まったので新エピソードを期待してしまったが見事に期待は裏切られました。とりあえず思い出話風に本編の美味しい所を拾ってゆくというダイジェスト版です。この方法なら単なるダイジェストと違って話の内容を追える作りになっているのかと思いきや、そうでもありませんでした。それなりに話の大筋を追える説明的な台詞の部分がちゃんと入る構成にはなっているものの割と本編が記憶に残っている私でも細かい所で「君誰だっけ?」な感じになるので初見の人にはあまり親切には思えません。むしろ最後のファンサービスって感じでファンが本編を見終わった後に劇場でその感動を反芻する事を目的に作られたって感じです。

 

とにかく今作は感動エピソードとシリアスエピソードを大筋を追える形でタップリとお届けって形で確かに殺センセーの過去の秘密とかもちゃんと分るように作られてはいるが最後に出欠を取るシーンは泣かせを狙っているのだろうが無駄に長くて自己満足にしか感じられませんでした。そもそもシリアスとバトルばかりでバランスが悪いのです。このマンガの魅力といえばトンデモ設定から派生するギャグ要素。個人的にはビッチ先生ってのが渾名としても秀逸で冷酷な殺し屋が生徒に翻弄されるうちに可愛いギャグキャラに変わるという今作の中では好きなキャラだったので、この映画版では影が薄過ぎてガッカリです。まあ話としての重要部分だけを詰め込んでも映画としては面白くならないという典型を見せて貰ったって感じです。もし本編シリーズを見ないで本作を見たら本編に興味を惹かれるか?と訊かれたらNOです。なんつっても本編の重要部分のネタバレだけは盛大にやってくれているから。これを見たらもうミステリー要素として本編を楽しむ事はできません。ただギャグマンガとしては本編の方にも充分に楽しめる要素は多いので映画版ではなく本編の方を見ましょう。