クルド難民
君を想って海をゆく
リオレ作品は『マドモアゼル』等を見ても分る通りいかにもフランス的な恋愛至上主義な主張が強い。この作品で扱っているのはクルド人の難民問題。邦題の海とはドーバー海峡。主人公の恋人は英国に難民として受け入れられたが自分は受け入れられなかったので自分の足で彼女を追って英国へ渡ろうとする。ヨーロッパ横断の旅をしてフランスで立ち止まる。この先は海だから泳ぐしかない。この青年の境遇に同情した愛する妻に捨てられかけているスイミングスクールの講師が彼に協力。だが海より強敵は入管だ。協力者まで捕まえてしまう。入管は国境を守る最前線だから甘い顔はできない。親が決めた男と結婚させられる彼女をどうにかして連れ出したいと願う主人公の気持ちがシンプルに胸に迫った。